昔話:きっかけ
『昔』の話です
きっかけなんて簡単だった。「いつも目が死んでる」って理由。「それがむかつく」とも言われた。
…殴られたから殴り返した。それだけだった。
初めはクラスメイト。一発入れたら吐いた。
二度目はそのクラスメイトのダチ。全員病院に行った。
三度目は二度目のクラスメイトの内の誰かの兄ちゃん。粋がってるだけだった。
四度目はヤンキー校の番長。まあまあだった。
「俺はこの町をまとめてんですが…アンタみたいな強いやつに会ったら、この町を頼みたいと思ってましてね…ボスになってくれませんか?」
「小五に向かって言うセリフじゃねぇな。」
「…だめですかね…。」
「頭…」
「え…?」
「頭ならいいぜ。なってやっても。」
俺はそのヤンキーを振り返る。全身ズタぼろで正座している。俺は無傷と言ってもいい。少しすりむいただけだ。
「名前は…?」
「ここの…ですかぃ?」
「それとお前の。」
「はい…白鮫隊隊長の亀熊龍虎っす!」
「そうか…白鮫隊の頭…名前は…」
俺は少々迷った。実名出すと後々面倒だ。この世界から足を洗う時に。
「…シロとでもしとくか。」
「シロの頭ですかい…」
「まあ刑事ドラマならクロだろうがな。」
そう言うと俺は龍虎に指示を出す。
「白鮫隊全員に知らせろ。隊長の上の頭が誕生したってな。」
「気にくわねぇ奴がいたら来い。ボコボコにしてやるっていうのを入れんの忘れんなよ。」
…
……
………はっ!
「夢かよ…」
…二人とも寝てんのか?今は四時、か。
「…嫌なこと思い出させんじゃねえよ。」
そうして俺はうんざりしながら言う。
「戻りたくねぇよ…『シロ』には。」




