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プロローグ:なぜ俺は彼女に惚れたのか自分でもわかってない

 俺はいつになったらリア充になれるのか、というのは思春期真っ盛りな童貞野郎どもの一番の悩みの種だろう。

…ごめん、その手に持った斧を置こうか。パソコン壊れちゃうよ?確かに俺、山岸透も中二童貞、ぼっち、オタクの不名誉三冠王だが。しかし!転校生が来る今日、頑張ってその転校生に話しかけることができればば案外人生バラ色になるかもしれない。男だったら友達に、女だったら彼女になってくんねーかな…(可愛かったらの話だが)。

俺の期待に応えるように教室のドアが勢いをつけて開いた。


「おっす。お前らー転校生を紹介してやるから席つけやー。」

「転校生?女子っすか!?」


クラス担任の大岡弘美先生の言葉にうちのクラスのモテ男、笹本康太が反応する。こいつは変人で一日の初め朝のHRに今日は〇〇を攻略すると目標を掲げる。中二の九月夏休み明けなのでまあ攻略済みが八割です。ハイ。


「…残念だが、お前の期待どおり女の子だ。」


よし、可愛い子であってくれ。


「入ってこい、山倉。」


 目を奪われた。え、むちゃくちゃ可愛いやん。黒髪ポニーテール。胸は普通。「やべぇ」「かわいい」という声が聞こえる。


「山倉茜音といいます。よろしくお願いします!」

「山岸の隣に座ってくれ。あいつだ。地味にイケメン君(大笑)の。」


笑うなよ大岡。泣くぞ。っと消しゴム落ちちまった。と俺が消しゴム拾おうと屈んだとき、


「きゃっ」


と悲鳴。何事かと思って前を向くと…


山倉が倒れこんできました。押し倒される俺。ラブコメ?おっかしいなー別に今日食パンくわえた女子とごっつんしてないのになー。胸にはやわらかい二つの感触…やべもうこれ死んでもいいや。


「ごめんなさい!」


山倉が真っ赤な顔で謝ってきました。「別にいいよ。」と軽く言う。


「よし。山岸はラッキースケベの称号と案内役を与える。山倉も剣道部に入るそうだしな。」


不名誉な称号またゲットした。いらん。だが案内役はうっれしいな!


案内役とは忙しい教師どもの代わりに一時間教師に任命された生徒が学校を案内する役の事だ。俺は山倉のためにいろんなとこを紹介しつつ雑談に取り組んだ。


「山倉はどこに引っ越したんだ?」

「春草アパート。」

「俺と同じアパートじゃん!」

―――――――――――――――――――――――――

「それよりさ。私剣道部に入ったんだけど。」

「ん?入った?」

「入部届は出した。」

―――――――――――――――――――――――――

「初心者なんだけど俺。」

「私は二段。」

「すげーな。部長の俺よりつえーんだ。」

「え。初心者なのに部長?」

「俺一人だもん。剣道部。」

「え?」

「みんなやめちまったよ。」

―――――――――――――――――――――――――

「あなたは強いの?」

「人と戦ったことねえし。」

「じゃあ、きょうの放課後!私と勝負しない?」

「まあ、対人戦のルールは知ってるが。」

「じゃ決まり!放課後ねー。」

「おい。」

「何?」

「まだ全部案内してない。」


そう言った瞬間真っ赤になって「知ってるもん!」と抗議する山倉。やばいやっぱかわいい。


…まあなんやかんやで俺と山倉で対決し、ぼっこぼこにされ今に至る。神棚に向かう形で俺と並んで面をとる山倉からはいい匂いがする。剣道したあとだよ?まあとりあえずいつも通り号令をかける。


「正面に、礼。ありが…」

「まって。」


言いかけると山倉の制止が入った。


「人とやるときにはお互いに礼も入れるよ?」

「へー」


初めて知った。山倉の言うとおりにお互いに向き合う。こうしているとやはりドキドキする。可愛いのだ。しかもあっちもこちらを見つめてくる。今俺顔真っ赤だと思う。


「…号令は?」


気恥ずかしくなったのか山倉が聞いてくる。チョイ頬が赤い。


「お互いに、礼」


速めに言って礼をすると…


「いてっ」

「いたっ」


頭がぶつかった。笑いあう俺達。そこで気が付く。俺は…


…俺はたった今日一日一緒にいただけだが、


…俺はどうやら本気でこいつに惚れちまったらしい。





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