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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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その他

豚肉ってオイシイよね!

作者: 魔桜

あまりにも欝な状態なのでストレス解消のために小説執筆。

読まないことを推奨。といっても、そこまで描写は詳しくは執筆していないから、読んだあとの影響はすくないかと思われる。

 僕は豚肉が大好物だ。

 鶏肉や牛肉なんかも好きなんだけど、今では豚肉を頬張っていることが多い。実はちょっと前までは、舌の上で転がすことができなかったんだ。好き嫌いしちゃだめだって、テレビの教育番組でいかにも私は幸せですって顔した女の人が、そんな無責任なことを口走っていた。

 だから僕も、遵守しようと思った。

 素直であることって大切なことだ。誰かに命令された通りに生きるってことが、最優先事項。そこに個人の主義主張が挟み込む余地なんてない。そうやって、どんな体型だったかも忘れた育ての親に教えてもらったことがある。それが正しいと思っていた時期が僕にもあった。だけど、もっと重要視しなければならないことがあるって気がついたんだ。

 それは、自分の気持ちに素直になるってこと。欲望を吐き出すってこと。邪魔な存在を排除するってこと。

 誰だって、目の前の壁があったら壊したいって思う。

 ハードルがあれば飛び越えようって思う。

 そこに肉があれば食べようって思う。

 それはとっても自然な感情の帰結で、訝ることなんてどこにもない。一点の曇りもない理論だ。誰かに相談したことはないけれど、きっとそうなんだ。いや、したかもしたかもしれない、相談。いや、相談というよりは、最後通告なんかはしたけど、聞く耳を持ってもらえなかった。

 でも、しょうがないよね。

 話し相手が、醜い醜い豚だったんだから。どうしてそんな水面に石を投じるみたいな、無意味で無価値なことをしたのか今でも分からない。今思えば、僕はまだその時は極小の期待を心に抱いていたのかも知れない。だって、生まれた時からずっと傍にいてくれた豚なんだから。

 解体する時は、結構手間取った。

 包丁でぶった切れるみたいなことを、漫画で予習していたんだけど、これが中々予定通りにいかなかった。筋肉の繊維ですら刃を擦っても、僕の腕力がないせいなのか斬れない。仕方ないから木材を切断するようのチェンソーをわざわざ購入したんだけど、今度は骨にせき止められた。初めてしったけど、骨って意外に硬いんだね。

 やっぱり、人生はうまくいかないな。

 それから細切れにした豚肉を生で咀嚼してみたんだけど、これが予想以上に酸っぱくて喉に通らなかった。それに、なんだか臭みが強くて、鼻腔に突き刺さるようできつかった。牛乳やワインなんかをぶっかけて、少しは緩和した気がするけれど。

 焼いたら焼いたで、黒煙が家の中に充満して大変だった。ちょっと前までは二人家族だったんだけど、今ではもう僕一人ぼっちになってしまったから、色々とあと処置に時間がかかってしまう。僕的には豚肉を食べるのはグッドアイディアだったのだと自負しているけれど、やっぱり計画性がなかったのだと猛省する。せめて、どこか別の場所から愚鈍な豚を引っ張ってくればよかった。

 だけど、どうしても我慢ができなかったんだ。

 いい加減、人の言葉を喋ることができない豚を野放しにしているのは、あまりにも苦痛。もはや顔も見たくなかったので、胃の中に肉も、骨も、思い出も収納することにした。ちょっと胃もたれぎみであるけれど、静かになったのだからいい気分でこれからは生きていける。

 ああ、そうやって光に包まれた未来予想図を脳裏で描いていると、完全無欠な幸福の糧になってくれた豚肉がより一層旨味を醸し出してくれるような、そんな嬉しい波動が胸に響いた。

 そんな、気がしたんだ。

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