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犬耳少女と、学校。

 


 朝4時45分。

 俺の起床時間だ。

 ベッドから抜け出そうとして、ふと、ベッドにまだナニカが入っていることに気づく。


「……むにゃぁ……」


 ああ、そうだ。そういえば昨日の晩、犬を拾ってきてしまったのだったな。

 折角気持ち良さそうに寝ているんだ、起こすのも可哀そうだな。


 俺はそっとベッドから出て、服を着替えてキッチンへと降りて行った。


 ◇


「さて、今日は火曜日。卵焼きの日か」


 俺は毎朝の食事は曜日ごとに固定している。

 正直メニューを考えるのが面倒だからだ。

 月曜・目玉焼き。火曜・卵焼き。水曜・茹で卵。木曜・スクランブルエッグ。金曜・卵かけご飯。

 土曜・焼き魚。日曜・豚の生姜焼き、だ。


 土日以外は面倒なので卵料理だ。料理とすら呼べないようなものもはいってはいるが、大丈夫だ。問題ない。


 昨日チカが食べ荒したので材料は心もとないが、朝食の弁当の分ぐらいは余裕だろう。

 学校帰りにスーパーにでもよることにしよう。


 ……そういえば、チカの分のご飯がないな。今日は俺は学校に行かなくてはいけない。その間に餓死されたりしたら大変だ。

 俺は急いで近くのコンビニに、ドッグフードを買いに走った。


 ◇


「これでよし、と」


 皿に盛り付けたドッグフードをみて、俺は満足げに頷く。

 ちゃんと朝、昼、と二皿に分けたからな。これで大丈夫だろう。

 俺はポケットから、何故か家にあった犬笛をだし、ピィィッ!っと吹く。

 これでチカも起きてくるだろう。遅くまで寝ていると健康に良くないからな。


「いってきます」


 玄関にある母上の写真に小さく呟き、俺は家を出た。


 ◇


「おう千日せんかー。おっはよぅ!!」

「お前は朝からテンションが高いな。どういう脳構造をしてるんだ?一回見せてくれくれ。じっくり観察した後ぐっちゃぐちゃに掻き回して戻してやる」

「さらっと怖いこというなよ!?」


 朝っぱらからテンション高く、語尾にエクスクラメーションマークを二つも付けて挨拶をしてきたのは、俗に田中と呼ばれる生き物だ。

 ヒト科ヒト属バカであり、去年から同じクラスに配属され続け、俺の平穏を壊すアホウだ。正直どうしてこんなにもテンションが高いのか、俺には理解できない。


「お前のそのテンションは、いったいどこからきているのだ?宇宙か?宇宙的な電波でも受信してそんな残念なことになってしまったのか?」

「相変わらず辛辣ですね!!」


 まぁ、それは辛辣にもなろうというものだ。


 こいつは、なにをどう勘違いしてそうなったのか全くわからんが、去年同じクラスになった初日に俺に告白なんぞしかけてきたような下級人類だからな。

 ストーカーまで仕掛けてきたんだぞ?


 全く。俺のどこをどうみたら女になるというのだ。乳房もなければ、ちゃんとモノも付いているというのに。制服だって男モノだぞ?

 しいて要素といえば、この長い髪くらいか。

 しかし髪型だけでは男を女と判断する根拠として薄い気がするな。

 声も、まぁ、低いとはいえんが充分男性の範囲内だろう。


「まぁまぁ千日君。そのくらいでやめといてあげなよー。田中君の精神は障子紙を通り越して二枚重ねのティッシュの一枚分だけみたいな強度なんだから。まぁ確かに田中君のテンションはうざいけどもー」

「追い打ちをかけてんじゃねーですよ、委員長~!」

「あら、ごめんなさい。それもこれも田中君のテンションがうざいせいね」

「まったくもってその通りだな。はっはっは」

「」


 今俺と一緒に田中を撃沈させた女は、工藤巫女くどうみこといって、うちのクラスの学級委員であり、そこでうずくまっている田中と同じく去年から同じクラスだ。

 なかなか俺とも性格が似通っていて、すぐに意気投合した仲である。


「ふっっかぁぁぁぁぁ「「うるさい」」ごぼふ!」


 なんか復活しそうになった田中を工藤さんと二人で足蹴にし、俺は彼女に話をふった。


「工藤さん。すこし相談があるのだが?」

「なぁに、千日君?後、アタシのことは巫女ちゃん♪ってよんでくれると嬉しいなぁ」


「実は昨晩、犬を拾ってだな」


「スル―ですか。相変わらずスキルレベルがお高い……何、犬?」

「そう、犬だ。家で飼うことにしたんだが、飼い方がよくわからなくてな」

「それでアタシに相談したいと」

「ああ。工藤さんさんも確か犬を飼っていただろう?なにかアドバイスをもらえればと」


 飼い主経験者の工藤さんなら、きっとなにかいいアドバイスをしてくれるに違いない。

 ただでさえうちのチカは意味が分からないからな。


「へぇ、どんな犬?やっぱ雑種みたいな?」

「そうだな……犬種はわからないが、茶色のふさふさしたタレ耳だったぞ」

「タレ耳かぁ、うらやましいねぇ」

「そうなのか?」

「うん。……でも今の時点でアドバイスって言われてもなー」

「やはり駄目か」

「そうだ!今日の放課後千日君の家にいってもいい?そしたらなにかしらアドバイスできる事あるかも」

「本当か!それは助かる。是非、来てくれ」

「おっけー!念願の千日君ハウスだよ~!」


 工藤さんはなぜか、倒れている田中を踏みつけながら、小躍りしていた。

 とりあえず田中が手を伸ばしてきたので、蹴っておいた。


「ぎゃふんっ!!」



田中ェ……


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