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犬耳少女と、里帰り。①

地味に改題

各話のタイトルに合わせてみました



夕食を食べ終わった後。

食器を洗い、拭き終わったタイミングでチカが声をかけてきた。


「突然ですがご主人様」

「なんだ、そんなに深刻そうな顔をして。俺から笑いをとろうと言う気か?」

「違いますよっ。ちょっと人が真剣にお話をしようとしただけで、その言い草は酷いのです!」

「……人?」

「シャァラーーッップ! ちょっと話を聞くのですっ」

「ふむ、まぁいいだろう。どうした?」

「んっんん……えー、突然ですがご主人様。実はチカから、一つ提案があるのです」

「提案? 何のだ?」

「来る冬休みの予定についての提案です」

「ふむ。言ってみろ」

「はい。確かご主人様の学校は、明日から冬休み、という事で二週間程お休みが有りますよね?」

「正確には13日間だが……それがどうかしたのか?」

「はい。そのお休みの間なのですが……」



「わたし達の里に、いらっしゃいませんか?」


「……里? なんだそれは?」

「わたし達、獣人の里なのです」

「あぁ……そういえばそんな事も言っていた気がしないでもないな」

「そこははっきり思いだして下さらないと困るのですが……」

「そうか? よしちょっと待っていろ……うむ、思いだしたぞ」

「早! 本当に思いだしてます?」

「ばっちりだ。あの時の会話を一言一句間違えずにそらんじてやろうか?」

「……いえ、いいです。ご主人様なら何ができても不思議じゃないですね。そういえば」



「そうか。で? 里に行くとはどういうことだ? ホームシックなのか? だとしたら、俺はチカの飼い主としてどうにかしてやらないといけない訳だが……」

「いえ。そーいうことではないのですが……何と言いますか、ね」

「なんだ。はっきり言いなさい」

「いや実は、手紙が届いたんですよ。ご主人様が学校に行ってらっしゃる間に」

「ほう」

「それでその手紙は里の長――わたしを、ご主人様の元に遣わせてくださった方です――からだったのですが、内容を簡単に言いますと、「チカお前まだ落とせてないっぽいとかなんなん? とりあえずお前の魅力を持ってしても落とせない宿主が一体どんな奴なのか顔がみたいから、一回里に顔だせ」って感じですね」

「落とす? なんのことだ?」

「……獣人どうちゃらの事を思い出したのなら、その辺りの事も一緒に思いだして……いや、当時も全然わかってなかったですか……まあ、いいですけどー。わたしはぶっちゃけ現状で満足してますしー」

「はぁ? 分かるように話しなさい」

「なんでもないですー」



「とにかくっ。わたしの故郷に行くんですけど、ご主人様も一緒に来てくださいということです!」

「ほう。ほうほうほう……」

「?」

「成程。最初からそう言えば良いのだ。わけのわからん説明を挟みおって」

「……はぁ……すいませんわたしがわるかったですわたしといっしょにごーつーさとおーけー?」

「よしわかった。何時からいくのだ? 今か? 今か?」

「いや、流石に今からは無理ですって。かなり暗いですし、里は相当山奥にあるので危険というか……明日朝一で出たいのですが、どうでしょう」

「……休みの日の朝はゆっくり寝たいのだがなぁ……せめて二度寝含めて六時までは……」

「めっちゃ規則正しいっ!?」


◇ 


「という訳なので、今から行こうではないか」

「何がという訳なのですか!? てか里までの距離も道のりも知らないですよね? 確実に今から言っても朝は超えますよ?」

「いいのだ。正直に言おう。なんかわくわくして眠れなそうだからな! どうせならもうさっさと出発だ!」


ダダダダダ……


「あっ、ご主人様。どこに行かれるんでs」

「よし、準備完了だ。さぁいくぞチカ! とりあえず里はどの辺りなのだ!? この地図上で指さしてくれ!」

「はぁ? いやそれ日本全図じゃないですか。ここら辺だと思いますけど……どんだけアバウトに行くつもりですか。明日になれば迎えが来ますので、それで……」

「そうかわかった。では、行くぞチカ!」


ドンッ―――ギュンッ


「は……いや……はぁあああ!?」

「いやいやいや……あれ? まじで行っちゃいました? 里がどんだけ山奥にあるかも知らないで、あんな普段着で? 碌に荷物も持たずに? 自殺行為ですかっ」

「……いや……でもご主人様ならあるいは……と思う辺り、あの人は大概なのです」

「てか速すぎる……行くぞとか言われても、ついていけねーですよ……」

「しかたないです。わたしはおとなしく、迎えを待つとしましょうか」

「ご主人様は……最悪、お家に帰ってくるでしょう……多分」

「うん。多分」


「……心配なのですねぇ……ご主人様が居なくなったら、チカはどうやって生けていけと」

「……はっ。自分でもわかりました。これは駄目人間の台詞なのです。いけないのです」

「……でも一度ご主人様の元に来てしまった以上、もう後戻りは不可能なのです……せめて、家事手伝いくらいできるように……何時かなろう」


「とりあえずそれは明日から頑張るとして、今日はもうねましょーっと」

「はっ……ご主人様ーー!! お風呂沸かして下さいーー!!」




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