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犬耳少女と、コタツ。

 


「あぁ、暇だな」

「うー、暇ですねぇ」


 今日は日曜日。特にやることもなく、家のリビングでくつろいでいた。

 今日は一段と寒さが厳しく、外出する気にもならんのだ。


「ふむ、しかしコタツは素晴らしいな。これを発明した者に俺は惜しみない称賛を贈ろう」

「なのですよぉ。冬はやっぱりコタツにミカンなのですー」

「そうだな。……とと。チカ、ミカンが切れた。台所にストックが有るから持ってきてくれ」

「……あーあーきこえないですー」

「おい」

「……」


 ◇


「……チカ?」

「ご主人様急に耳が遠くなってしまいましたどうしましょー」

「成程、コタツからでたくないのだな。それは理解した」

「おお、流石ご主人様なのですよ!」

「ただ、それだといつまでたってもミカンは食べられんぞ?」

「……そこはご主人様が……」

「チカ、もうご奉仕とかどうでもよくなっているだろう」

「うー。わたしは他の人に比べてご奉仕欲求が薄かったんですが、ここにきてさらに薄まってしまったのですよ」

「そんなものなのか? それはまたどうしてだ」

「きっとご主人様が仕事をさせてくれないから怠け癖がしみついちゃったんですねぇ」

「俺のせいか……ふむ、やはりペットには適度な運動が必要なのだな」

「そのペット扱いは甚だ不服なのですけどね!?」

「自分で言ったことだろうに」

「や、そうですけどもぉ」


 ◇


「そんなことは置いておいてだ。チカ、ミカンを取って来てはくれないだろうか」

「ご主人様が夜ごはん作るついでに取って来てほしいのです」

「まだ四時だぞ? 飯の支度をするにはちと早いな」

「えぇー。わたしもう我慢できません。一刻も早くミカンが食べたいのです! ぎぶみーミカン!」

「ふむ、では……ゲームでもするか」

「……ほえ?」


 ◇


「ゲーム……ですか?」

「そうだ、ゲームだ。負けた方がミカンを取ってくる」

「ほほほー、成程なのです。面白そうですね、受けて立つのですよ。して、内容は?」

「そうだな……腕相撲なんかどうだ?」

「却下なのですよ!? わたしが勝てるわけないじゃないですかっ。ご主人様は意外にも酷いのです」

「そうか? しかしチカは常人よりはるかに力が強い獣人なのだろう? ならば、」

「ご主人様は全然全くこれっぽっちも常人の枠内に入っていないので却下なのです!」

「む……そんなことはないぞ?」

「……いや、むしろそんなことなかったら世界はワンダーランドなのですよ……」


 ◇


「ではどうする? チカが決めて良いぞ」

「そうですね……ご主人様に勝てそうなゲームは……」

「……」

「ゲームは……」

「……」

「……」

「どうしたチカ?」

「わたしがご主人様に勝てそうなことなんてひとっつも見当たらないという衝撃の事実に気付いてしまったのですよ……」

「そ、そうか」


 ◇


「ではもう、これはチカが行くしかないな」

「そんなうきうき顔で言わないでくださいっ。待つのです、今なにか良い案をだしますから」

「ああ、なるべく早くな」

「……くっ。せめてこの前裁縫を克服していなければ、わたしにも勝期はあったのですが……」

「裁縫か? 今では大得意となったぞ?」

「この化物がなのです……」

「口が悪いな」


 ◇


「……ふぅ、わかりました、決めましたですよ」

「ようやくか」

「わたしの決めたゲームはっ」

「ゲームは?」

「じゃんけんなのです!」

「最終的に運任せとなったわけだな」

「はいなのです! むしろこれ以外勝ち目がないのです!」

「胸を張って言うことではないと思うのだが」

「ふふーん」

「……いや、なんでもない」


 ◇


「では、イザ尋常に!」

「「最初はグー、じゃんけんポン!」」


 ◇


「おお、チカ、有難う。寒かったろう、さぁコタツに入りなさい」

「一発ストレート負けとか……せめてもうちょい引っ張りましょうよぅ……」

「すまんな。俺は生まれてこの方じゃんけんで負けたことが無いのだ」

「運も化物級なのですか……!」

「ちなみにあいこになったこともない」

「……なんという……なんということですかッ……」

「どうしたチカ、そんなところに立っていないで、さっさと入ったらどうだ?」

「あ、はいそうしますー」



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