表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Myth In World  作者: 龍眼
6/6

〈第五章〉   神の行く道は○○へと続く

「あ゛ぁず〜い・・・アルク君、お水持ってない?」

「ハイ。」

彼の手に握られたコップには、文字通り、水が湧いて出てくる。

「ありがとぉ」

もう、気にもならない、見慣れた光景。

今はそれよりも、この暑さに驚きだ。

あたしは、色白い小さな手からコップを受け取り、慌てて飲み干した。

生き返る。

遙か頭上には、巨大な太陽。

周囲は、果てなく続く、砂の溜まり。

あたしの下には、鋼の硬度に匹敵する、黒鱗。

ステルコットだ。

隣のアルクも、同じように、この戦闘生物に跨っている。

水も、食料も無い旅だったが、必要なときには『出てくる』。

比較的、快適な旅だった。







「そんな・・あたしが、お姫様なんて・・・・・・本当なんですか?」

「ええ。何故、神である僕が、こんな場所に居ると思っているんです。僕は、スティさんを、無事に首都の王城に連れて行くつもりで迎えに来たんですよ。」

「でも、連れて行ったって・・・・どうすれば?」

「城には、まだ国の高官が生きて、姫の帰還を待っています。誘拐でしたから。あなたが、さらわれた後、そこには、《姫は、何時か必ず返す。それまでに、国を滅ぼすような事は、するな》という置き手紙が、残っていたそうです。身代金も、何もなかったので、おそらく、それは本当だろうと言うことになり、王家交代はされず、今は、代理人の方が、政治を行っています。だから、早く、貴方を連れて帰らなければ」

「そんな・・・でも・・なんでそんなことを・・・」

「いいですか?王家の場合、姫の代役が、政治を行えるのは、女王が18歳未満であることが条件なのです。今日から、約2ヶ月後、それが貴方の18歳の誕生日であり、この国の最後の日の予定日なのですよ。」

「この国・・・・・最後?」

「この国は、国連、つまり国際連盟に加盟しています。その場合、この国に手を出す・・戦争、侵略行為などが行われた場合、国連軍が、その敵国の殲滅を行ってくれます。だが、王女がおらず、18歳を越えた場合、この国は強制的に連盟を脱退させられ、国としてのまとまりを失う。」

「・・・・・・・・・・と言う事は・・・」

「ええ、この国はあっという間に、近隣諸国の植民地ですね」







先程のアルクの言葉が頭を木霊する。

自分が姫だと言うことは、この際信じるとしよう。

なにせ、相手は神だ(多分)。

だが、国が滅びるというのは信じられない。

もちろん、王がいないこの国は、もう滅んでいるモノと考えていたが、それと植民地とは、話が違う。

それだけは避けたい。

「ね、ねぇ・・・・後どれくらいで着くのかな?」

「そーですね・・・・・・・・♂の速さが時速10キロメートル程だと考えて・・一日の移動時間が・・15時間くらい?で、え〜と・・・」

指を折りながら計算を行う男の子を微笑ましく見守る。

結果は数十秒ごに出た。

「約2ヶ月ですかね」

となると・・・・約一ヶ月の余裕か。

(あ、そうだ忘れてた”!!)

言わなくてはならない事が有りましたね。

『♂』とは何か・・・

それは、彼の乗っている黒鱗の馬の事です。

ちなみに、名前の由来は不明。



「・・・・・そうですか、じゃ、あの一番おっきいのに僕乗りますから、スティさんは好きなの選んでください。」

「え〜と、じゃあ、この子で。」

「可愛い子ですね。・・・傷だらけで。」

「その子だって、負けず劣らずに鱗剥がれてるじゃない」

「・・・・・・・・・・・・男の勲章!!」

「・・・・オス?」

「細かいことは気にしな〜い。よし、お前の名前は、今日から、『♂』だ!!」

「え?何で読むのか分からないよ!!」

「『血の国より、神に召し居た地獄の番犬、黒鱗の馬刺』・・を略して『♂』。」

「番犬って犬じゃないよ!ってか、唯一の『馬』って文字が、『馬刺』!?・・・で、略しになってないよ!!」

「で、スティさんの方の名前は?」

「あ、あっさりかわされた!!」

「なぁ〜あ〜に?」

「何その、朝からランドセルからって、玄関先で友達に呼びかけるような声は?」

「もう、いい加減に答えてくださいよ」

「えぇ・・・っと、じゃあ・・・『くろうま』?」

「え〜何か、どっかで呑んだお酒みたいな名前ですね」

「じゃあ、『イッカクジュウ』」

「だめ」

「『ブラック』」

「え〜」

「『ポニー』」

「NO」

「じゃあ、何が良いの?」

「『ディープインパクト』」

「だめよ、そんな大きな名前付けちゃ、プレッシャー感じちゃうでしょ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・名前負け・・・?」

「じゃあ、この子の名前は・・・・」
























「モルニー、もうちょっと早く歩いて。出来るだけ余裕で着いた方がいいと思うから」


























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ