彼女に秘密がありました・・・。01
初心者で初投稿の、ぬこのしっぼです。
よろしくお願いします。
この作品は一応、血が出ますので苦手な方は緊急回避で避けてください。
大丈夫な方は、こんな駄作ですが、そのままお楽しみ頂ければ幸いです。
誤字脱字は無いはず……たぶん。
title01
「Love in action献血は400mlまで」
俺の名前は神咲 葵。
容姿は自分で言うのもなんだが多分良い方で意外クラスの女子からウケが良く。
身長は178cmで髪型もポニーテールだったりする。
ついでに言うと俺は昔からよく変なものが見えていた。
多分それは妖怪や幽霊の類だろうと理解するのにさほど時間は掛からなかった。
魂魄や威圧感の強い妖者など、そんなのばかり見ながら育ってきた。
まぁ、生活に支障が出てないので特に気にしてもいないのだが・・・。
そして、そんな俺にも春がやって来た。桜咲く4月、ひらひらと桜の花びら舞うこの季節に窮屈な義務教育を終えた俺は念願の高校生としてデビューを果たし、それなりに楽しい日常が始まろとした矢先、因みに入学して2日目の事だ。
この日は何故か都合よく身体測定だけで終わり、ちょっとルンルン気分で下校してた途中の人気の無い小さな公園の木陰で俺はとんでもない秘密を持った女の子に出会う事になる。その子はやや小柄(165cm)で髪は雪の様に白く長い髪を風になびかせて木陰でうずくまっていた。
彼女は見るからに体調不良ですよと言わんばかりに顔色が青ざめ、もう見るに耐えない様子……と言うか貧血気味なその子を心配した俺は木陰に近づき彼女の様子を窺う為にしゃがんで良く見ると俺はこの子に見覚えがあった。一番新しい記憶では高校の入学式で新入生代表の挨拶をやっていたのを見た記憶があり次いでに同じクラスだった気がする
そんな彼女は見た目通り貧血で倒れて居るようだった。
もちろんこのまま放置するのは忍びないので白い髪の女の子を背負って病院へ連れて行こうとした時に俺の背中で不意に彼女の意識が戻ったようだ。
「よぉ、大丈夫か?」
「かん……ざ…き君、だよね?」
「スゴいなもう覚えたのか?」
「神咲君とても良い匂いだから」
「そうか?」
「……うん」
俺は、この時に不思議に思った今日は何も化粧品の類を使って無いのに匂う物なのかと……まぁ、考えるだけ時間の無駄なので気にしないことにした。
「あのさ、あー……」
彼女に一応、市民病院へ行った方が良いか聞くために名前を呼ぼうと思った時だ俺は彼女についての情報を何も得て無い事に気づいて会話のやりとり詰まってしまう。
それを察してか彼女は俺に名前を教えてくれた。
「音羽百合です。 まだ歩けそうに無いので、このまま病院へ行って貰えると嬉しいな」
「ああ、まかせろ」
俺はをしっかりとユリを背負い病院への道を歩き出す。
「神咲君って見た目より優しいね」
「つらそうな音羽を放っておけなかっただけさ」
「私の名前、発音しにくいなら百合で良いよ」
「だったら、俺も葵でいい」
「うん」
大体20分位だろうかユリを背負ったまま歩き続けると目的の病院へ辿り着く事が出来た。
ユリを抱えたまま正面の自動ドアを通り抜けるがどこに行けば良いのかわからずに立ち止まってしまった時に背中のユイが俺の耳元で次の行き先を指示を出してくれる。
「葵、受付で福山先生が居るか調べて」
「ああ、わかった」
俺はユリに言われた通りに受付で福山先生について尋ねてみた。
「すみません福山先生はいらっしゃいますか?」
「はい、少々お待ち下さい」
受付の女性はそれだけ言うと手元の内線で福山先生に連絡を取り始める。
「はい……はい……ではそのまま御通ししても宜しいですか? はい……わかりました失礼します。」
受付の女性は内線が切れると徐に受話器を置いて「先生は四階の研究室でお待ちしています。ご案内いたしましょうか?」と声を掛けられるが背中のユリが案内できるというので丁重に断りユリの案内に従う事にした。
「エレベーターに乗って」
「了解だ」
受付からエレベーター前へ移動しエレベーターのボタンを何とか肘で押すと直ぐに扉が開いてラッキーなことに待たずに乗ることが出来た。
ユリを背負ったままボタンを押すのが思いのほか辛かったので俺ボタンにちかづいて背中のユリに『F4』のボタンを押してもらう事にする。
「ボタン押してもらっても良いか?」
「うん、もちろんだよ」
ユリがボタンを押すと扉が閉まりエレベーターが上昇を始めてすぐの事、二階へ到達した時にエレベーターが停止して扉が開くと車椅子の入院患者とお腹の大きな妊婦さんがエレベーターを待っていた。
エレベーター内は狭くユリと俺でかなり場所を取ってしまい、車椅子が乗る事を考えるとそんなに広い訳じゃ無いので俺はエレベーターを降りて階段で移動するためにエレベーターを下りようとすると妊婦さんが「次ので行くから平気よ」と言ってはくれたが、やはり忍びないので俺はエレベーターを降りて妊婦さんに場所を譲る事にした。
「俺達は階段使うから平気ですよ」
「ごめんなさいね、ありがとう」
俺達はエレベーターに乗った妊婦さんを見送ってから残り二階分を頑張って登る事にしたが現実は甘く無く俺は三階から四階の踊り場で力尽きてしまう。
「ユリ…ごめん、ちょっと……休憩させて」
「葵、辛いなら歩こうか?」
「もう大丈夫なのか?」
「うーん、たぶん大丈夫かも?」
「じゃあ、甘えさせてもらおうかな?」
「うん♪」
この時にユリの笑顔と言葉を鵜呑みにしたのがマズかった。
そしてユリの貧血の度合いを把握しきれて無かった俺もマズかった。
次いでに言うとユリを降ろした場所も非常にマズかった。
背中のユリを降ろす為に俺は膝を着いて体勢を低くしユリに降りてもらうまでは良かったが踊り場に足を着くなり彼女は貧血の所為かふらぁ~として突然バランスを崩し始めユリの重心は階段側へと一気に傾いてしまう。
慌てた俺はユリの腕を掴もうとするが無情にもこの手がユリへと届く事は無く彼女は三階の踊り場へと落ちて行く。
「あぅ~……やっぱりダメかも」
「ゆりッ!?」
良く聞く話で体内のアドレナリンが分泌されると自分の目に映る物がスローモーションで見えるなんて話があるが今の俺はまさにその状態になりながら骨折覚悟で咄嗟に踊り場から階段に向かって飛び込んだ。
もちろんユリを助けるために。
階段へ飛び込んだ俺はユリを抱きしめ自分をクッションにして何とかしようと言う果てしなく無謀な作戦を勝手に立案し行動へ移ったつもりだったが取ったはずの行動と結果、有らぬことに逆になってしまう。
その事実に気づいたのが凄い衝撃と共に三階へ転落してからの事だ。
ユリをかばって階段から転落したはずなのに痛みと衝撃が余りにも少なすぎることに不審感を抱た。
そのことに恐る恐る瞼を開くと本来なら俺の上に居なければならないユリが下になっていて俺はユリの、ろくに日差しにも当たってないような華奢な体を下敷きにすると言う最悪の状況を招いてしまったようだ。
そして俺が青ざめて居るとユリは脳震盪で意識を朦朧とさせていたが徐々に彼女の意識が回復し完全に意識が戻った時のユリの第一声は俺の安否を心配する言葉だった。
「大丈夫……だった葵?」
「大丈夫かユリッ!」
「大丈夫だよ私は葵より丈夫だから」
「ゆり、その冗談はちょっと笑えない」
ユリが真顔でとんでもない事を言うものだから俺は面白くなってつい笑い出してしまった。
「酷いよ、葵……私の事、そこはかとなくバカにしてるでしょ?」
「いいや元気そうでなによりだ。じゃあ……怪我は無いんだな?」
「うん、ありがとう……葵」
人間の表情は意外と素直な物で痛みを我慢しながら笑顔を作れば多少なりとも笑顔が歪んで襤褸が出るのにユリの笑顔では、その様子が少しも窺え無かった。
まるで本当に痛みを感じて居ないのかそれとも本当は痛いって叫びたいのに我慢して居るのかと、つい考えてしまうが俺にはただ心配する事しか出来ない。
「本当に痛く無いんだな?」
「嘘じゃないよ。神様にだって誓える」
「いや、そこまでしなくて良いよ。怪我さえ無ければ何よりだ」
立ち上がった俺はユリに手を差し伸べるが彼女は立ち上がろうとはせず頬を赤く染めて俺は両手を差し出され甘い声でおんぶを要求されてしまう。
「葵ぃ、おんぶじゃ……だめ?」
もちろん、断る理由なんて何処にも無い。
「ああ、喜んで」
「うん!」
ユリを再び背負うと俺は階段を上り始める。
やはり人、一人を背負って階段を上るのは辛かったが何とか四階の福山先生の診察室へと辿り着く。
少し気は引けたが幸い診察室の扉は引き戸でユリに頼らずに足で開けられそうだったので「失礼します」と一言って入室した。
「先生、こんにちは」
「おっと、お出ましか。今日は随分と遅かったようだが?」
俺達が部屋に入ると真っ先にユリが挨拶をすると福山先生は書類に目を通すのを止めて椅子ごと振り返る。
すると先生は珍しい物を見るような視線で俺の事を見つめてきた。
「珍しい事もあるもんだね。ユリちゃんが運ばれて来るなんて……しかも男と来たもんだ。もしかして、とうとう俺はお役御免?」
「ううん、信用出来る先生は先生だけだもん頼りにしてるんだから、そんな事、言わないで」
「嬉しい事言うねぇ!まぁ、その話は後で……所でユリちゃん何で運ばれてるの?もしかして、その子、自前の救急車?」
「ちがーう、学校の友達だよ」
さっきまで蚊帳の外だったが福山先生が俺に興味をしめしたので一応、自己紹介をしてみた。
「はじめまして、神咲葵です。」
「二度目まして福山卯月だ因みに君は午前中の学校の健康診断で俺に聴診器を当てられたはずだと俺の記憶が叫んでいるんだ。なにせ神咲君の髪型は良い意味で目立つからね。確かクラスはユリちゃんと同じ二組だろう?」
「良くご存知ですね」
「いや、記憶力が良いだけさ。取りあえず世間話はユリちゃんを降ろしてからだ。紅茶でも淹れるよ」
そう言われたので机の横にある患者用のベッドにユリを降ろした俺は先生を手伝うために部屋の隅にある小さなキッチンへと向かう。
「何か手伝いますよ?」
「んー……じゃあ、冷蔵庫の中に試験管があるからそれユリちゃんをへ渡してあげて」
「試験管ですか?」
「ああ、試験管だ」
何故に試験管?と思いながら冷蔵庫の扉を開けると冷蔵庫の中には赤い液体入った試験管があった。しかも何だか見覚えのある赤い色合いだ。
「あの……先生、試験管の中身ってまさか」
「ああ、それは、アレだよ血液検査を装って手に入れた患者さんの血液だよ」
「先生……意外と危ない橋を渡ってませんか?」
「あぁ……可愛いユリちゃんの為だからなー……まぁ、でも採血した検査の終わった血液をユリちゃんにあげてるから問題無いはずだよ?それにしても人の血液を好き好んで飲めるもんだ」
「……ッ!? ちょっと待った、先生、何の話ですか?」
突然、福山先生の口から耳を疑うような言葉が流れてきた。俺がその台詞に驚きを隠せないような表情を見せると先生は気まずそうな表情で俺に一つ質問を投げてくる。
「えっと……一つ聞いて良い?」
「ええ、大丈夫です」
「神咲くんユリちゃんと付き合ってるんじゃ……」
それは……とんでもない勘違いだった。
「……いえ、ユリとはさっき遭遇したばかりですよ」
「……………あーー……マジで?」
「はい、間違い無いです」
「うはーー……」
俺が肯定すると福山先生は右手の平を顔面にあてながら天上を仰ぎ見るように『やべぇ、やっちゃったよ…俺』的なポーズを取り出した
そして俺は空気を読まずに興味本位で福山先生を追求してしまう。
「先生、ユリは血が好きなんですか?」
「もう、お互いに支え合う関係なのかと思いました。普通、野郎が女の子を背負って来るなんて、ありえないと思いませんか?まぁ、俺が迂闊だったよ。気になるんなら話す事にするさ変な誤解を生む訳にも行かないからな、だが内密してくれよ?」
「……わかりました」
「ユリは世間一般で言う吸血鬼なんだ。彼女の身体は俺達より運動能力が高く頑丈で、とってもオーバースペック。ついでに犬歯も常人よりも長い。しかも日光が嫌いで十字架やニンニクが嫌いなのかは分からないが人の血液を好む、あの生き物さ」
「凄いですね。結構、びっくりです」
「おーい、セリフと表情が合ってないぞ」
「そうかですか?」
内心、少しだけ驚いたがオーバリアクションにはならなかった。
始めに言ったと思うが俺は本来なら見える筈の無いものが見えてしまう規格外の人間だ。
変な妖怪の類などを頻繁に見ている所為だろうか俺にとってユリの秘密は本当に些細な物なのだろう。
何せ俺も常人から見れば化け物と呼ばれてもおかしくない人種なんだろうから……。
「あんまり驚かないんだな」
「えーと……あれですよ規格外の人間はユリだけじゃ無いって事ですよ」
「興味深いが早く持っていってやれユリがお腹を空かせて待ってるぞ」
その言葉を耳にした瞬間、俺は少しだけ思考に走る。
もしかしたらユリが公園の木陰でうずくまってる理由が貧血では無く単なる行き倒れだったとしたらと言う考えが頭の中を巡りだすと少しだけ笑えて来た。
「ユリって結構、可愛いですね」
「今更だな……」
一人で込み上げる笑いを抑えていると突然部屋の内線が鳴り響きだした。
すると先生は自分のデェスクの上にある受話器を慌てて掴んだ。
「福山だ………はっ!?…………マジかよ急患手伝えってか…………人手が足りて…………はぁッ!!!新人が血を見てぶっ倒れただぁ!?…………ちッ…………ちょっと待ってろ直ぐ支度する。それとそいつを早く引きずりだせ邪魔だ」
話が終わった先生は受話器を乱暴に置いて紅茶を入れるために沸かしている薬缶の火を止めた。
「悪い忙しくなっちまったようだ。良かったら、またユリと遊びに来いよ」
「ありがとうございます。またその内、機会があれば」
「ああ、んじゃあユリを頼むわー」
先生はそれだけ言い残してこの部屋を慌ただしく出て行った。
残された俺はいい加減ユリに血液を渡そうと彼女の居るベッドへ引き返すがユリは物の見事に寝ていた。時刻は夕方4時30分このまま寝かせて置くのもアレなので取りあえずおれはユリを起こそうと彼女の肩を暫く試験管を持って無い右手で揺すってみたものの一向に起きる気配が全く無いので少し乱暴に揺すってると突然右腕が無理矢理引っ張られてしまう。
俺はバランスを崩した挙げ句顔面をユリの胸にダイブしてしまう。
「待てユリ正気かッ!?」
そして、そのまま彼女に抱きしめら……否、俺はそのまま彼女に拘束されてしまう。
とても常人では有り得ない位の恐ろしい怪力で全然、体が動かせない。
何とか抜け出そうともがいていると彼女は何とも恐ろしい寝言を言い出した
「良い匂い…むふふ、捕まえた~……もう我慢できないよぉ…お腹ペコペコだよ~……むにゃは~♪」
俺はこの後の展開が容易に予想できてしまう。
俺の頭の中には『捕食』の二文字しか浮かばなかった。
まさに死亡フラグが立った瞬間だ。
「いただきま~す」
頑張って抵抗してみたが抗うすべは無く首の辺りにユリの地味に鋭い犬歯が突き立てられて俺は美味しく捕食されてしまう。
しばらく血液を吸われ続けた俺は次第に意識を失って行った。
ご存知だろうか?
献血は1日一回、400mlまでが目安なのだ。
いかがでしたでしょうか?
一応、二話で完結だと思われます……たぶん
よろしければ簡単な感想をいただければ画面の向こうで作者が踊りだします。
今後の糧になるので気が向いたらヨロシクです!
この駄文に最後までお付き合い頂いた皆様に感謝を




