表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

僕と世界と君と。

作者: 半月

僕は人を愛すだろう。

僕は世界を愛すだろう。

僕は命あるかぎり歌うだろう。

生命の歌を、世界の歌を。

僕はこの世界の美しさを、暖かさを見ることができる。

伝えることができる。

空を舞う、鳥たちの夢。

さえずる、鳥たちや風、自然の歌。

見て、聞いて、そして、感じることができる。

この体いっぱいに。

命あるかぎり灯し続けるだろう。

人々を見守りながら。

誰かは突き放されたと嘆くだろう。

誰かはなんて有り難いのだろうと皮肉を口にするだろう。

誰かは自由だと叫ぶだろう。

僕はただそこにあるだけ。

何もしない。

その人の感じ方は、その人にしか変えられない。

その人の幸せは、その人にしかわからない。

僕は自分が幸せであると、歌うだけ。

命あるかぎり命の灯火を灯すだけ。

何もしないよ。

だけど、決して見放さないよ。

何もしないよ。

だけど、隣にいるよ。

君は大切な存在だよ。

僕もそうだよ。

そう、微笑むだけ。

そう、歌うだけ。

僕を偽善者と罵るなら、それでもいい。

それで君が幸せならね。

僕は、何もしないよ。

僕は、何もしないよ。

ただ歌うだけ。

ただ見守るだけ。

ただ愛するだけ。

人を、命を、自然を、世界を、宇宙を、全てを。

ほんの少し光が見えてきた。

もう、朝だね。

僕は、君におはようと言うだろう。

僕は、世界におはようと言うだろう。

僕は、全てにおはようと言うだろう。

僕は自由だからね。

お昼に近づいてきた。

日差しは柔らかくなり、空気は暖かくなってくる。

僕は、君にこんにちはと言うだろう。

僕は、世界にこんにちはと言うだろう。

僕は、全てにこんにちはと言うだろう。

僕は、幸せだからね。

夕方になれば空はもう紫色だ。

夕焼けは美しくて、日の入りもまた、光で僕らをつつみこんでくれるだろう。

僕は、君にこんばんはと言うだろう。

僕は、世界にこんばんはと言うだろう。

僕は、全てにこんばんはと言うだろう。

僕は、生きているからね。

辺りが暗くなって、光が地上を照らしだしたね。

星の光が見づらいけど、冷え込んできて、やがて君は眠気に襲われるだろう。

僕は、君におやすみと言うだろう。

僕は、世界におやすみと言うだろう。

僕は、全てにおやすみと言うだろう。

そうやって繰り返し繰り返し何もしないけれど、決して見放すことなく君のそばにいるよ。

世界は、きっと君が思うより大きいだろう。

宇宙は、きっと君が思うより簡単な摂理を僕らに与えてくれているだろう。

全ては、きっと君が思うよりずっと優しいだろう。

そして僕は、どこにでもいるありふれた存在で、同時にどこにもいない、たった一つの存在なんだ。

そばにいるけど、きっと見えないよ。

見えないけど、きっと見えるよ。

僕はどこにでもいるよ。

そこら辺の石ころに、そこら辺の空気に、そこら辺の塵の一つに。

今日も笑って君に挨拶をするだろう。

明日も笑って世界に挨拶をするだろう。

ずっとずっと先も笑って全てに挨拶をするだろう。

難しい事はね、実は簡単な事なんだよ、と笑いながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ