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とある作家の場合:バズらない夜に思うこと  作者: Sora


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8/8

008_三島由紀夫が見たら:創作と私

私は机に向かい、文字と対峙する。

画面に並ぶ数字は、心を揺さぶり、魂を試す。

SFの宇宙を描き、異世界の冒険を紡ぐ。しかし、その先に何があるのか。

もし三島由紀夫がここに立ち、私を見下ろしたら、何を思うだろうか。


戦後の混沌を生き抜き、文字と肉体と精神を研ぎ澄ませた男。

彼の目は冷たく、鋭く、恐怖を知らない。

私の数字に一喜一憂する姿を、彼はどう映すのか。


PV、ブックマーク、コメント、それは瞬間の歓喜、瞬時の落胆。

三島ならそれを風に揺れる砂粒の波として、静かに見つめるだろう。

「おまえは己の世界を創造しているのか。それとも、波紋に揺れる砂の城を築くばかりか」

私は答えられない。私の心は数字に引きずられ、揺れ、踊る。

「魂は数字で測れぬ。」

その声が耳に届く。


私は空想する。三島が椅子に座り、腕を組み、私を見つめる。

文字の端々、設定の工夫、キャラクターの感情描写。

三島は一つずつ読み解き、短く告げる。

「面白い。しかし、まだ浅い、魂の深さが足りぬ」

「数字に縛られる者の未来に深みはない。」


だが、三島は現代の自由を肯定するかもしれない。

誰もが物語を書き、発表できる世界。

誰もが読者の反応を瞬時に知ることができる世界。

三島なら「愚かに揺れるが、その愚かさの中に、新しい文学の芽がある」とでも言うかもしれない。


画面を見つめる。数字は容赦なく動く。

三島の声が耳元で響く。

「数字は風、波、泡。創作は深海の光。

 読者の声は確かに存在する。しかし追い求め、魂を削るな。」


「物語を通じて己を表現せよ」と三島は言う。

「読者に喜ばれるためではなく、魂が燃えた瞬間を文字に刻め」と。

PVに揺れる心は避けられない

しかしそれを作品の方向に委ねてはならない。

数字は風の音、物語は永遠の響き。


私は再び書く。

数字に揺れる自分を見つめつつ、三島の声を胸に刻む。

数字は風、波、泡。

物語は深海の光。

私の世界を描く。

揺れる心を抱えながらも、揺るがぬ魂で文字を紡ぐ。

数字の向こうに、永遠の物語を求め。

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