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論破!~召喚聖女は王子様が気に食わない  作者: 中崎実


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2/3

その2:てんさい聖女様、魔法陣を書き換える。

 瑠璃(ルリ)ちゃんが魔法陣を書き直すまでにかかった時間、30分。


 その間になんか(よろい)を着て剣を持った人が増えたりしたので、その人らをまとめて床に押し付けたりしてた。

 時々、なんか空中でパチパチしてたり、離れたところの床がグニャっと溶けたりしてたけど、気のせいだという事にしておいた。


「はい完了!」


 汗をかいてるわけでもないのに(そで)でおでこを(ぬぐ)うふりしてから、瑠璃(ルリ)ちゃんがにっこり笑顔になった。


「どう書き換えたの?」


 周りにも教えてやるつもりで、聞いてみた。


「ふっふっふ、天才なワタクシはこの陣に三つの機能を詰め込みました。

 一つめ、対象者保護機能付きで私たちを元居た場所に返します。

 二つめ、帰還確認機能が付きました。

 三つめ、自壊(じかい)機能が付きました。動作終了後、一時間で()()()()()()()()()()のです!」

「無事に送り返した後、魔法陣が壊れるってことであってる?」

「あってる」


 にこやか、じゃなくて『ニタァ』と表現したほうがいい笑顔が返ってきました。


「そして、おまけにお仕置(しお)き機能!」

「ナニソレ」

「自壊する時に使うエネルギーは、真空エネルギーです!」


 なんかすごいドヤ顔されたんだけど。


「は?私文系なんだから、親切に説明して?」

「えっとねー、空間そのものを『なかった事』にすると、その時に出てくるエネルギー」

「なんかすごいやつ?」

「だいたいそんなもんだと思って良いよー」


 瑠璃ちゃんは大雑把な私に合わせてくれました。


「それでこいつらのお仕置きになるの?すごいエネルギーで即死したら、お仕置きされたことも分からないじゃん?」

「なるなる。即死しない程度のパワーに(おさ)えたから、爆風(ばくふう)と破片で怪我する。あ、でも、連鎖(れんさ)反応(はんのう)で空間が崩壊するリスクは排除して無いから、ここの世界そのものが無くなるかも?」


 世界が無くなる、てことはこの部屋も無くなるんだよね?

 つまり、それって。


「それ、即死と変わらないじゃん?」


 わけが分からないうちにこの場所と一緒に消えちゃうなら、そういうことなんでは?


「遅延反応は仕込んでおいたから大丈夫ー、判ってから消えることになるよ」


 それは()()()()()()()のでは?


「連鎖反応は止めないんだ?」

「起きるかどうかわからんし。起きてこの世界がつぶれたところで、あたし困らんし?」


 わ~お。

 大人しそうな顔をしてるけど、瑠璃ちゃんって過激なんだよね……


「それにさ、たぶん、召喚とかってそれ自体が危ない行為だったんだよ。だから、連鎖反応が起きても今さらなんだよね」

「え、あたしらが来るのもヤバかったの?」

「うん、めっちゃヤバい。人間()()()の質量と情報を移動させるのって、けっこうエネルギーが必要なはずなんだよね。そのエネルギー源どうしてるのかなと思ったら、今から使うのと同じ事やってた」

「良く分かんないんで簡単に言って?」

「超巨大エネルギー源を、爆発寸前の状態でテキトーかまして使って召喚してた」


 ……何となくヤバそうな気はするけど。


「そうだねー、すごいでっかい安物モバイルバッテリーを、パンパンに膨れ上がった状態できっちり充電して、それをお手玉してると思ってくれればいいよー」

「え、いつ爆発炎上するか分からんじゃん」

「そゆこと。使った後の始末もまずいし、早く逃げたほうがいいわ。ここ、いつ爆発するかわかんないよ」

「わ~お。じゃ、帰ろう帰ろう」

「はいよー。あ、周りの連中どうする?」

「こうする」


 私が何か言うよりも先に、黙って私のサポートしててくれたサトーが指パッチンした。


「何したの?」

「あいつら、床に接着した」

「どうやって?!」


 見た感じ、何も変わってないんですが。


「皮膚と、服と、床石のそれぞれの分子の距離をうんと近づけてやっただけだよ」

「ん?それでくっつくの?」

「原子レベルでものすごく近づけてやれば?」

「あんたの説明が分からん」

「不思議パワーでくっつけました」


 雑な説明をありがとう、サトー。


「よくそんな使い方出来るね?」


 と、これは瑠璃ちゃん。


「二人も同じだと思うけど、なんとなく使い方が分かるんだよねー」

「あ、やっぱり。この能力だけお持ち帰りしたいよね」

「できないのかな」

「どーだろ?」

「とりあえず、帰ってみればわかるんじゃない?」


 それもそうだね。

 というわけで、三人の意見が一致したので、帰りました。

天災も天才も、読みは「てんさい」。

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