表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旦那様、それは勘違いです!ー白い結婚を求められたはずですがー  作者: 清澄 セイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/74

可愛らしいと、思ってしまう【オズベルト視点】

 その後領地視察をつつがなく終えた僕は、馬車に揺られながら先ほどのテミアンとの会話を反芻していた。

 フィリアは、まるで僕を恨んでいるような素振りがない。政略結婚を求めていたのであれば、もっと淡白であってもおかしくないはずなのに、その様子もない。

 素直で自由で、思考がすぐ口や顔に出る。打算や含みがないから話していて心地がいいし、何よりあの笑顔を見ていると、心にかかったバリアがぽろぽろと剥がれ落ちて、すべてを曝け出してしまいたくなる。

 まだ出会って間もないというのに、こんな気持ちは彼女以外の誰に対しても抱いたことがない。先日気まぐれで庭園にいる彼女に話しかけた時には、なぜか干し肉をくれた。そこには深い意味などなく、ただ自分が好きだと思うから、僕にも食べて欲しかったというだけ。

「あの時の笑顔、可愛らしかったな……」

 ただの記憶に、頬が緩む。最近時間が合えば夕食を共にしているが、果たして今日は間に合うだろうか。

 そんなことを考えていると、ふと先ほどのテミアンの言葉が蘇る。


 ――これから奥様には、思いきり好きなことをさせてあげたら良いよ。買い物でもお茶会でも、秘密の恋人でも。

 

 ――彼女は君の行動に口を出さない。そして君は彼女の行動に口を出さない。


「さすがに、勝手過ぎるよな……」

 まさか、自分で自分の首を絞めることになるとは夢にも思わなかった。揚々とあの手紙を綴った当時の自分を恨んでも、どうすることも出来ない。

 理由は分からないけれど、フィリアの肌にジャラライラの花香が馴染み始めていることは確かだ。散々あの香りに悩まされてきた僕がそう感じるのだから、間違いはない。

「生誕パーティー、どうにかして断れないだろうか」

 先ほどから、独り言が止まらない。土台無理な話だと分かっていても、純真無垢で世間知らずな彼女に吸い寄せられた男達が群がる様を想像しただけで、思わず胸の辺りを掻きむしってしまう。

 テミアンは僕もそうだと言っていたが、マグシフォン家には耐性がついている。それとも、それさえ例外となってしまったのか。

 これ以上考えても埒があかないので、小さく頭を振って気分を変えようと車窓に視線を移した。流れゆく景色をいくら睨みつけても、時を早送りすることなど出来はしないのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ