ベランダより
その部屋のベランダからの景色は
まるで崖っぷちのようで
遠くに
たなびく雲を吊るすように
電波塔が立ちそびえていた
灰色がかった紫色の夕暮れ
私の居場所は
まるでここだけのようで
ゆっくりと光を塗りつぶす
夜を見ていた
ちりちりと胸を焼く感傷
誰にも見せたくはない 涙
吐き出すまいとした
コンクリートの冷たさを
糧にしながら
いとも簡単に崩れ落ちる
そこに舞い戻る
それでも、
それでもともがいていた
叫びは渦巻き
そこを出ていくことも出来ずに
影が覆われ消えていく中
星は次々と姿を現した
暗闇に光る飛行機の
赤い点滅を見ていた
燻らせた煙が
白く立ち上った
言葉を紡ぐことの
意味も知らずに
囁いていた
積み上げれば
尖った月の先
誰かと
語り合えるかのように