夜に彼と見る星座
クリスマスの予定を聞かれた。突然。
片思い中の同期の男性に。
「クリスマスはダメなの。」と言う私。
あれ、これじゃ何もかもを断った感じになってしまうか?
頭が上手く回らない。
こんな展開になるとは思ってなかったのだ。
「ただ聞いただけだから。」と彼。
待って。待ってくれ。
「クリスマスイブは空いてるんだけど…」
「だけど?」
「クリスマスは、お母さんの誕生日でいつも家で過ごしてるの。」
「家族思いだね、俺は誕生日って子どもの頃にケーキ食べたくらいで、大人になってから誕生日に何かするってないからな。」
「え…?誕生日って特別じゃないの?」
誕生日は誰でも特別に過ごしてると思ったから、びっくりした。
「特別に過ごせたらいいよね。」
「じゃあさ、次の誕生日は一緒にお祝いしてあげる。私、ケーキ食べたい。」
話は進み、私のワガママでクリスマスイブに初デートすることになった。
初デートはドライブ。
・佐野アウトレットでお母さんの誕生日プレゼントを買う。
・佐野ラーメンを食べる。
・足利フラワーパークのイルミネーションを見る。
デートが楽しみ過ぎて、仕事がいつもの倍捗った。
恋のエネルギーって、すごい。
嫌な仕事もいつもより嫌じゃない。
デート当日。
クリスマスイブの土曜日。どこも混んでいた。
フラワーパークのイルミネーションは人が多すぎて1回はぐれてしまった。
イルミネーションに見惚れていたら、隣には知らない人。
「ごめん。」と声が聞こえて振り返ると彼がいた。
「私もごめん、ぼーっとしてた。」
「あのさ、嫌じゃなければ手繋いでいい?」
「嫌じゃない。全然嫌じゃない。」
「またはぐれると探すの大変だから。」
「うん。」
こんなに寒いなら手袋持ってくれば良かった。
でも手袋だともったいないか。
握った手と手は時間が経つと暖かい。
イルミネーションに満足し、帰ることに。
途中で寄ったパーキングで見た空がすごく綺麗だった。
「冬って星が綺麗に見えるよね。」
「そうだね。」
「あのMってやつ、カシオペヤ座好きなんだよね。」
「なんで?」
「空にイニシャルあるの良くない?」
「そうだね。」
いつもよりMの字が輝いて見える。
車に戻る時、人がいなかったのに手を握ってくれた。
もうはぐれないのに。
勇気が出た私。
好きって伝えようと決心した。
減る缶コーヒー&増える缶コーヒーの続編です。