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8.陰謀と罠

「…………」

「すみませんすみません! 本当にすみません‼」


夕暮れのアミナテロスの街を黒こげ男に銀髪の女が必死に謝りながら歩いている。

そんな二人を陰から見つめる黒いローブの男が一人。


「あれが末裔か……」


そう呟くと黒いローブの男は、懐から石のようなものを取り出し一人で話し始める。


「目標を発見した。だが本当に覚醒してるのか? そうは見えないぞ」


「いや、間違いない。奴からは呪いの弱体化を感じる」


石のようなものから声が聞こえる。

どうやらそれは遠隔通信のできる魔道具のようだ。

変声の魔術が施されているようで魔道具側の声はノイズが掛かり男か女の声か判別することは出来ない。


「まあ、お前がそう言うならな、で準備の方はどうなんだ」


「問題ないさ、滞りなく進んでいる」


さらに黒いローブ男は話し出す。


「それでタナトス、あいつは言うこと聞いてくれるのか? 前見た感じだとそんな風には見えなかったぞ」


黒ローブの男の疑問にタナトスと呼ばれた魔道具側の声は淡々と答える。


「利害は一致している。問題はない。お前は心配性だなモルス」


その答えにモルスと呼ばれた黒ローブの男は少し嬉しそうに話し出す。


「そうかい、あんな奴でも中々使える能力だからな、利用できるなら万々歳だ」


「そうだお前が心配する必要はない」


そんな会話をしていると見張っていた二人の冒険者がギルドの中に入っていく。


「おっーと、ターゲットがギルドの中に入っちまったぜ、今日の見張りはこれくらいにしておきますかね。しかし今日はなんだか暗い雰囲気だったなあの二人」


「そんなことはどうでもいい、とりあえず今日は帰還しろ」


「りょーかい」


帰還命令を受けギルドに背を向ける。

夕暮れ時、買い物客で賑わう商店街エリアをモルスは歩き出す。


全身黒ローブという少し怪しげな恰好であるが人々は特に目を向けることなく買い物をしている。


そこには何も無いかのように。


商店街エリアを抜け人気のない路地裏に入ると再び石のような魔道具を取り出す。


「あとの心配事は魔王様がどう出てくるかだね~」


「今の所動きはないようだ、心配はない」


タナトスの淡々とした受け答えにモルスは思わず口を出す。


「タナトス、お前には感情というものが無いのか、淡々と機械みたいに話しやがって」


「そんなものは必要ない、私はただ己の信念を貫き通して行動するだけだ」


「怖いねー、あんまり敵に回したくないやつだよお前は」


モルスは呆れながら首を振り、違う話題をタナトスに振る。


「そうだ、もう一方はどうなっているんだ? ネルガルが担当の奴らだ」


「柘榴と黄玉どちらだ」


「ああ、そうだ二人いたんだっけな、黄玉の方だよ」


「特に動きはないが、珍しいなお前が自分以外のことを気にするなんて」


タナトスが物珍しそうに聞いてくる。


「そんな日もあるさ、誰かさんと違って感情で生きているような人間だからね俺は」


「皮肉か? まあいい、あとは明日だ。しっかり配備しておけよ」


「了解。しっかり仕掛けておくよ特大の爆弾を」


モルスの返答にタナトスは珍しく感情的な声を上げる。


「輝きを取り戻す宝石は砕く。死神の名の元にな」

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