表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/394

94.半覚醒 〔無双劇12〕

「それはどういうことかな?」

「理解もできないのか? 言葉の意味そのままだ。 俺がすべてを統治すれば良いだけのこと」

「力で支配するつもりか?」

「この俺に勝てると思っているのか? だとしたら滑稽だな。 俺はお前たちを上回っているのだから」

自意識過剰な帝国の皇子殿下ズィピアスが堂々と宣言するが、帝国関係者以外の視線はなぜかシフトを見ていた。

(何この流れ? 僕に戦えと? 面倒事を全部僕に押し付けようとしてない?)

などとシフトが考えていると注目されてないことが気に入らないズィピアスが怒りを露わにする。

「おい! お前ら聞いているのか! 今日から俺に全員従え!!」

ズィピアスが右手にはめていた手袋をとる。

そこにはあの奇妙な紋様が浮かんでいた。

(またあの紋様か・・・いったい何が・・・)

シフトは考えようとするが頭の中は靄がかかっていく感じを受ける。

(おかしい・・・まともな思考ができない・・・)

それはシフトだけでなくルマたちもグラントやタイミューたちもこの場にいる全員が同じ状態になる。

「ふははははは・・・この力があれば俺が世界の支配者になれるのだ!!」

ズィピアスが高らかに宣言する。

「お前たち、俺の前に跪け! そして、新たな王を祝福しろ!!」

シフト以外の皆がズィピアスのほうを見て跪く。

シフトもそれが当たり前なんだと膝をつこうとしたとき、世界がセピア色に染まり不思議な声が聞こえた。

『おいおい、この程度の魅了に屈するなよ。 お前の力はこんなモノじゃないんだぜ』

その瞬間、シフトの魅了が解けて思考が元に戻る。

「・・・これは・・・靄が晴れた?」

『やっと正気に戻ったか』

「誰だ?」

シフトは周りを見るが誰も動いていない。

[神禎石]の時と同じ現象が発生していることに気づいた。

『僕か? 僕はお前だ。 正確に言えば僕はスキル(【ずらす】)そのものだ』

シフトは目を見開いた。

その声はどこからでもなく自分自身の中から聞こえてきたのだ。

「なっ?! スキル(【ずらす】)が僕に話しかけてきたというのか?」

『その通り。 理解が早くて助かる。 それにしてもあの程度の攻撃で屈するとはまだまだだな』

「それは悪かったな」

スキル(【ずらす】)に悪態をつかれて思わず不機嫌になるシフト。

『癪ではあるがあいつ(帝国の皇子)のおかげで僕が出てこれたのも事実だからな。 それはそうとお前は(スキル)を十全に使いこなせていない。 本当情けない』

「今の状態が()()ではないのか?」

『ん? そんな訳ないだろう。 ()()()()()()()()()()()()()んだからな』

「なんだと?!」

驚愕な事実にシフトは驚いていた。

『限界は限界でも(スキル)の【限界突破】で超えようとしても意味がないよ。 お前自身が限界という壁を壊して進むしかないんだ』

「・・・壁を壊す・・・」

『それが何なのかは僕にもわからない。 だけどこれがきっかけになればいいけどな。 おっとそろそろか。 今回のは貸1つにしておくよ。 じゃあな』

早口に言うとセピア色が段々と色鮮やかな世界に戻っていく。

その直後、頭の中に声が響く。

≪確認しました。 魅了耐性解放 魅了耐性(弱)を取得しました≫

今ので魅了耐性を手に入れたようだ。

そして、外界からの声が聞こえてきた。

「おい、そこの貴様! 貴様も跪け!!」

「断る」

拒絶の言葉にズィピアスが目を見開く。

「なっ?! 貴様、俺の洗脳が効いてないだと?!」

「残念だがそのようだな」

「ふざけるなよ! これでもくらえ!!」

ズィピアスは再び魅了してきた。

それも先ほどとは比べ物にならないくらい強力な魅了をしかけてきたのである。

シフトは冷静になり、自分のスキルと向き合う。

すると【()()()()】がシフトに訴えかけていた。

(なるほど、先ほどのは()()だったのか)

シフトは【次元干渉】を発動し、干渉してくるズィピアスの魅了を拒絶したのだ。

「どうした? この程度か?」

「なぜだ?! なぜ効かない!!」

「さあな? 相性が悪いだけだろ?」

シフトは余裕を見せるとズィピアスは諦めたのか次の1手を出してきた。

「従えないのなら仕方ない。 お前たち殺れ」

それだけ言うとルマたちやタイミュー、グラントたちがシフトに襲い掛かってきた。

前衛にはベル、ローザ、フェイを始め護衛の騎士たちが武器を持って特攻し、後衛にはルマ、ユールなどの魔法が使える者たちが攻撃を仕掛けてくる。

【五感操作】を発動するも操られているためか効いていない。

ローザの斬撃を躱すとベルが二刀流でフェイは徒手空拳で攻撃するもそれぞれいなす、そこにルマとユールがベルたちを巻き込むように魔法を放つ。

シフトは【次元遮断】でルマとベルたちの間に一瞬だけ結界を張り魔法が霧散すると即解除した。

「ほう、あの女(ルマ)たちは使えるな。 良い(玩具)を手に入れた」

シフトはルマたちを物扱いしたズィピアスに怒りを覚えた。

今すぐ本人をぶちのめしたいがルマたちがそうはさせないと立ちはだかる。

正気を失っているせいかルマたちの攻撃がどんどんエスカレートしていく。

「はっはっは、どうした? 手も足も出ないか?」

ズィピアスは逃げているシフトに対して挑発してくる。

シフトが攻撃しないのは大事な仲間()を傷つけたくないからだ。

ほかの者たちもただ洗脳されているだけで本当に敵対している訳ではない。

このままでは負けないにしろジリ貧である。

シフトは先ほどの【次元干渉】がルマたちにも効くか試すことにした。

丁度フェイが突進してくるので拳を受け止めると【次元干渉】で魅了を解いてみる。

「ぐぐぐ・・・あれ、ぼくは・・・って、ご主人様?! 一体何が起きたの?!」

「元に戻ったか? フェイ?」

「元にってどういう意味?」

フェイが疑問に思っているとベルたちがシフトに対して攻撃する。

「ちょっ?! ベルちゃんにローザちゃん?! なんでご主人様を攻撃してるの?!」

「無駄だ、フェイ! 今のルマたちは魅了により洗脳されている! さっきまでのフェイもそうだった!!」

「そうなの?」

フェイは自分が洗脳されていたことに驚いていた。

「洗脳が解けただと?! ならこれならどうだ!!」

ズィピアスはフェイに対して魅了を発動する。

フェイは逆らうことができず再びズィピアスの傀儡になってしまった。

その証拠にフェイはシフトに攻撃を再開したのだ。

「ちっ! 再洗脳が可能なのか!」

「はっはっは、どうだ? 俺の能力は凄いんだぞ! お前にはなぜか効かないようだがそんなことは些細な事だ」

ズィピアスはシフトの態度を見て上機嫌になり高笑いする。

(洗脳を解いても再洗脳されては意味がない。 なら答えは1つ)

シフトはなるべくベルたちを自分に引き付ける。

少しずつ後退して壁際まで追い込まれるように演技した。

「はっはっは、バカめ! 後ろは壁だぞ? もう逃げ場はないな! はっはっはっはっは・・・」

ズィピアスの言葉通りシフトは壁に背をぶつけた。

シフトは計算通りに事が進んだことに満足するとその場でジャンプする。

ローザたちよりも高い位置からズィピアスを目視すると【空間転移】を即座に発動してズィピアスの目の前に移動した。

「なっ?!」

シフトはそのままズィピアスの顔の側面に拳を一発殴った。

「ぐへぇっ!!」

ズィピアスは見事に窓のほうに吹っ飛ばされる。

「うぐぅ・・・おのれ!! よくも俺の顔を殴ったな!!」

シフトは悪態をつくズィピアスのところまで行くと蹴った。

「がはっ!!」

「よくもやってくれたな! 覚悟しろよ!!」

止めを刺そうとシフトが近づくとズィピアスが最後の悪足掻きをする。

「お、お前たち! その緑の髪の女を殺せ!!」

その言葉を聞いた瞬間、シフトはフェイを見る。

するとベルとローザ、ほかにも多くの騎士がフェイを攻撃しようとしたのだ。

どれかを止めてもほかの攻撃は確実に受けてしまう。

(ダメだ! 間に合わない!!)

すると先ほどと同じように世界がセピア色に染まり呆れた声が聞こえてくる。

『まったく、世話が焼けるな。 ほら、早くフェイを助けろ』

「ありがたい」

シフトはスキル(【ずらす】)に感謝するとフェイの身体を掴んで自分の胸に抱き寄せる。

『もう1つ貸だからな』

それだけ言うとセピア色が段々と色鮮やかな世界へと戻った。

ベルやローザ、騎士たちの攻撃は空振りに終わり、シフトの中ではフェイが暴れていた。

シフトは先ほどと同じように【次元干渉】でフェイの魅了を解く。

「・・・あれ、ここは・・・って、ご主人様?!」

フェイは洗脳が解けて自分がシフトに抱かれているのに気が付いた。

「えっと・・・ご主人様。 ぼ、ぼくも・・・」

「余韻に浸っているところ悪いが今はそんなことをしている場合ではない」

シフトはフェイを抱えながらベルたちの攻撃を回避する。

急いでズィピアスを見るとそこにはすでにいなかった。

部屋にはおらず窓が開いているのを見ると、そこから外へ逃げたのだろう。

「逃げたか・・・今はルマたちを元に戻すほうが先決だな」

シフトは【次元干渉】を使ってルマたちの魅了を解いていった。






一方、会議室から逃走したズィピアスは部下を引き連れて東の森に逃げていた。

「くそ!! 上手くいけばこの国(王国)もほかの国も俺のものになったのに!! あのオレンジ頭、許せない!!!」

逃げた森の奥には意識がない多くの人間種や亜人種や魔物たちが座っている。

その数およそ30000。

人間を始め、エルフやドワーフ、獣人などの人間種。

ゴブリンやオーク、オーガなどの魔物に分類される亜人種。

そして、フォレスト・ベアーやフォレスト・ウルフ、ビッグスネークにワイバーンなどの魔物たち。

手にしている武器も着込んでいる防具も様々で統一性が一切感じない。

皆ズィピアスの能力で魅了されて洗脳されていた。

「こうなったら力尽くでこの国(王国)を俺のものにしてやる!! 見てろよ! 後悔させてやるからな!!」

ズィピアスの高笑いが森中に木霊した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻世の作品一覧

【完結済】

スキル【ずらす】で無双する
全 394 エピソード  1 ~ 100 エピソード  101 ~ 200 エピソード  201 ~ 300 エピソード  301 ~ 394 エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【連載中】

追放された公爵子息の悠々自適な生活 ~スキル【現状維持】でまったりスローライフを送ります~
1 ~ 100 エピソード  101 ~ エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【短編】

怪獣が異世界転生!! ~敗北者をナメるなよ!! 勇者も魔王もドラゴンもみんな潰して異世界崩壊!!!~
ジャンル:パニック〔SF〕 ※異世界転生

「お前をパーティーから追放する」と言われたので了承したら、リーダーから人脈が芋蔓式に離れていくのだが・・・
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

潔癖症の私が死んで異世界転生したら ~無理です! こんな不衛生な場所で生きていくなんて私にはできません!!~
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕 ※異世界転生

王太子殿下から婚約破棄された上に悪役令嬢扱いされた公爵令嬢はクーデターを起こすことにしました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

敗北した女勇者は魔王に翻弄される ~くっ、殺せ! こんな辱めを受けるくらいなら死んだほうがマシだ!!~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

目の前で王太子殿下が侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡すイベントが発生しました ~婚約破棄の原因は聖女であるわたし?!~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

パーティーから追放された俺に待ち受けていたのは勧誘の嵐だった ~戻ってこいといわれてもギルドの規定で無理だ、あきらめろ~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

君が18歳になったら
ジャンル:現実世界〔恋愛〕

追放した者たちは依存症だった件
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

高給取りと言われた受付嬢たちは新任のギルドマスターによって解雇されました ~新しく導入した魔道具が不具合を起こして対応できなくなったので戻ってこいと言われましたがお断りします~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

ダンジョン奥深くで追放された荷物持ちは隠し持っていた脱出アイテムを使って外に出ます ~追放した者たちは外に出ようとするも、未だにダンジョン内を彷徨い続けていた~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

王立学園の卒業パーティーで王太子殿下から改めて婚約宣言される悪役令嬢 ~王太子殿下から婚約破棄されたい公爵令嬢VS王太子殿下と結婚したくない男爵令嬢~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

婚約破棄された公爵令嬢は遠国の皇太子から求婚されたので受けることにしました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

異世界にきて魔女としてエンジョイしたいのに王子殿下を助けたことで聖女に祭り上げられました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

隣国の夜会で第一皇女は初対面の王太子殿下から婚約者と間違えられて婚約破棄を言い渡されました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

追放された聖女は遠国でその国の聖女と間違えられてお帰りなさいと温かく歓迎された
ジャンル:異世界〔恋愛〕

聖女として召喚されたのは殺し屋でした
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転移

異世界から召喚された聖女?
ジャンル:異世界〔恋愛〕

この家にわたくしの居場所はないわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

闇の聖女は砂漠の国に売られました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

「君を愛することはない」と言いますが、そもそも政略結婚に愛なんて不要ですわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

婚約破棄? それならとっくの昔に言い渡されておりますわよ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ