表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/394

92.なに人の嫁に手を出してるんだ!! ゴルァ!!! 〔無双劇11〕〔※残酷描写有り〕

シフトとグラントがいる玉座に5人の他国の重鎮が近寄ってくる。

そのうちの2人はエルフとドワーフだ。

「お久しぶりです、グラント国王」

「グラント、息災で何よりだ」

「つまらぬ宴だ」

「・・・」

「眼鏡にかなう者はいないな」

エルフとドワーフは友好的な挨拶をするが、残りのシフトより少し大人な3人はプライドが高いのかグラントに対してまともに挨拶すらしない。

「これはこれは遠路遥々王国に足を運んでくれるとはな。 エレンミィア殿、ラッグズ殿、ズィピアス殿、チーロー殿、フーズィン殿、今日は国を挙げて最高のもてなしを用意している。 最後まで楽しんでくれ」

「まぁ、それは楽しみですわ」

「美味い酒が用意されているなら飲むしかないのう」

「余興すらないのか」

「・・・」

「華がないな」

一国の王であるグラントが挨拶しているがエルフとドワーフ以外の3人は興味がないのか早々にその場を離れた。

「ところでそちらの護衛はずいぶん若いですわね」

「とても強そうには見えないがな」

「シフトのことか? 強いぞ。 見かけで判断すると痛い目に合う」

グラントが紹介するのでシフトは会釈だけした。

「へぇ、見かけによらないと言うことかしら」

「ほうグラントがそこまで言うとは興味深い」

どうやらこのエルフとドワーフに興味を持たれてしまったらしい。

「折角の宴だもの私はもう少し楽しむわ」

「わしはグラントが用意した酒を飲みに行くとしよう」

「2人ともまたあとで」

エルフとドワーフはそれだけ言うとそれぞれ別の場所に歩いて行った。

「シフト、ずいぶんと気に入られたな」

「先ほどの2人にですか?」

「ああ、あの2種族はなかなか人に興味を持たないので有名でな。 初見であのような反応をするのは余も初めて見た」

グラントがいうに最初の友好的な2人はエルフの女長老エレンミィアとドワーフの鍛冶王ラッグズだ。

そしてすぐに場を離れた3人が帝国の皇子殿下ズィピアス、皇国の皇子殿下チーロー、公国の王子殿下フーズィンというらしい。

シフトは3人の王子(皇子)殿下を見た。

つまらないと切り捨てた帝国の皇子殿下ズィピアスは会場の出入口へと向かっていくと早々に出て行った。

皇国の皇子殿下チーローは一応責務を果たすためか部屋の隅で大人しく宴が終わるまで待つらしい。

この2人の皇子はつまらぬ余興とはいえ迷惑にならないよう最低限な行動をしているから問題ない。

シフトはもう1人の公国の王子殿下フーズィンを見る。

そこには何かをチラチラ見て品定めをしている感じだ。

(? あれは何をしているんだ?)

嫌な予感がする。

シフトはそう直感した。

それはすぐに現実のものとなる。

フーズィンは有ろう事かタイミューとローザたちのところに歩き出したのだ。

「おい、そこのケモ耳女。 これから俺のために時間を作れ」

その発言はまるで自分がこの世の支配者然とした態度であった。

「スミマセン。 コレカラコノクニノオウニアイサツシナイトイケナイノデ・・・」

「そんなつまらぬ雑事など放っておけ」

タイミューが断るとフーズィンは無理矢理に彼女の手を取った。

「ハナシテクダサイ」

「いいじゃねぇか? なぁ・・・」

「申し訳ございません。 タイミュー女王陛下がお困りです。 手を放してあげてはもらえないでしょうか?」

ローザがタイミューを守るべくフーズィンに声をかけた。

せっかく見つけた獲物を口説こうとして邪魔されたのかフーズィンはイラついた眼でローザを見る。

「下郎が! この俺を公国の王子フーズィンと知っての発言か!!」

「わたしはご主人様の命によりタイミュー女王陛下をお守りしております」

ローザがそう言うとフェイとユールもタイミューを守るべく行動する。

「その首にあるのは?! 貴様、奴隷の分際で俺に指図するなど・・・よく見るとお前なかなか良い顔してるじゃないか」

それだけ言うとフーズィンは手を伸ばしてローザの胸を鷲掴みにしたのだ。

「!!」

「はっ、顔の割には胸はそんなにねぇな。 まぁ、1晩くらいは遊んでやるよ」

にやにやした顔でフーズィンはローザの胸をまさぐるように揉んでいた。

シフトはその瞬間プッツンしていた。

いつの間にかグラントのことなど放置してフーズィンのほうに歩いていた。

「放してはもらえないだろうか」

「ああん? 奴隷如きが随分なことを言うもんだな? ここで辱めを与えてもいいんだぜ」

フーズィンが文字通りローザを辱めようと動こうとしたその時、シフトが肩を全力で叩いた。

バキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

あまりの威力に鎖骨、肩峰、肩甲骨、関節窩など肩の骨が折れて、その勢いでバランスを崩して転倒する。

「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!!!!!!」

フーズィンは激痛に叫ばずにはいられなかった。

その叫び声に釣られて会場の人々がシフトを見ている。

地面では肩を抑えて転げ回るフーズィンがいた。

フーズィンの護衛たちがシフトを取り押さえようと襲い掛かる。

シフトはこの瞬間アルデーツ並みの視野で会場内のありとあらゆる情報を手に入れた。

無意識のうちに【念動力】を使用して卓上に置かれた無数のナイフやフォークをフーズィンの護衛たちの腕や脚にぶつけたのだ。

護衛たちも激痛にその場に倒れこむ。

「き、貴様!! この俺にこんなことしてただで済むと思っているのか!!!」

「ただで済まなかったらどうするつもりだ!! ああん!! てめぇこそ人の嫁に手を出してただで済むと思うなよ!!!」

シフトはフーズィンの胸ぐらを掴むと目線の高さまで持ち上げて顔面に一発拳を叩きつける。

ゴキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

拳を引っ込めるとハンサムなフーズィンの鼻が凹み血が出ていた。

「ぎ、ぎざま・・・ご、ごんなごどじで、だ、だだでずむど・・・」

「まだ言うか!!!!!」

シフトは再び顔面に一発拳を叩きつけた。

ゴキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

拳を引っ込めるとフーズィンの鼻はさらに凹んでいる。

「・・・お、おの・・・れ・・・」

「二度と手出しできないように徹底的に叩きのめしてやる!!」

シフトはフーズィンの腹に拳や膝蹴りをこれでもかと叩き込む。

1撃1撃加える度にフーズィンは内臓を損傷したのか吐血していた。

「・・・お、おまえだぢ・・・ば、ばやぐだずげろ・・・」

なんとかこの状況から逃げたい一心で命令する。

フーズィンの護衛たちもなんとか助けようとするがその度にナイフやフォークが襲ってきて、それどころではなかった。

しかし、護衛の1人が痛みを堪えてついにシフトに襲い掛かろうとするがそこにいるのがわかるように打撃を放ったのだ。

するとそれに吸い込まれるように攻撃を受けて傍観していた来賓客のところまで吹っ飛んでいく。

当然騒ぎは大きくなる。

その後もシフトの暴力は振るわれ続けた。


5分後───

地面にはボロ雑巾にされたフーズィンと助けようとした護衛の無残な姿があった。

シフトはフーズィンの目の前でしゃがむと髪の毛を引っ張りながらこちらに顔を向けさせる。

「・・・ご、ごんなごどをじで、ご、ごうごぐをでぎにまわずごどになるぞ・・・」

「ああん!! ならその権力でいますぐ僕を殺してみろよ!! ほら、殺れよ!! 殺ってみろよ!!!」

「びぃっ!!!!!」

シフトが拳を作るとフーズィンは明らかに拒絶反応をしていた。

「決めた! 公国を滅ぼしに行く! こんなバカがいる国はさっさと滅ぼすに限る!!」

「待たれよ」

シフトの発言に1人の老人が前に出てきた。

「今僕は頗る機嫌が悪い。 邪魔をするならあんたも潰すよ」

老人は自分の顔に手をかけると皮を剥いた。

その下から初老の顔が露になる。

フーズィンは目を見開いて一言いった。

「・・・ぢ、ぢぢうえ・・・」

「わしは公国を束ねる国王でレクントという。 愚息(フーズィン)が迷惑をかけたこと、ここに謝罪する。 この通りだ」

レクントという公国の国王を名乗る人物が頭を下げてきた。

「・・・だ、だずげで・・・」

「このバカ息子が! あれほど人様の女に手を出すなと忠告したはずだ! それを破りおって! その上王国を敵に回すようなことをしおってからに! 今度という今度は許さん! 自分自身の手で尻拭いしろ!!」

「・・・ぞ、ぞんな・・・」

レクント(父王)の発言にフーズィン(王子)は絶望したような顔をしていた。

「ああ、盛り上がっているところ悪いが公国を滅ぼしに近日中に出向くことにするから」

シフトの発言にレクントは慌てて声を上げる。

「待っていただきたい。 全ては愚息(フーズィン)が起こした騒ぎだ。 わしや公国の民は王国と事を構えるつもりはないのだ」

「そんなの知るかよ。 僕はそいつ(フーズィン)(ローザ)を汚されたんだぞ? なら責任をとるのは当然の義務だよな?」

「それは・・・」

レクントが言葉に詰まるとグラントが助け舟を出してきた。

「シフト、落ち着け。 余とて公国と事を構えたくない。 それに領地にしても飛び地のうえに距離がありすぎて統治が面倒なのだ」

「はぁ・・・政治はグラント(国王陛下)に任せるけど、そのバカ(フーズィン)についてはどう責任を取らせるんだ?」

「・・・その首を献上する」

「?!」

レクントは息子フーズィンの首を差し出すと言ってきた。

「正気か?」

「無論だ。 このバカ息子(フーズィン)の首1つで国が救われるなら安いものだ」

「ま、まっでぐだざい、ぢぢうえ。 も、もうにどどじまぜん。 だがら・・・だがらだずげでぐだざい!!」

「ダメだ! お前は両国においての戦争の火種になることをしたんだぞ! 到底許されることではない!!」

レクントは腰の剣を抜くとフーズィンに剣先をつきつける。

「ま、まっ、やだ、じにだぐない!!!!!」

「さらばだ、愚息(フーズィン)よ」

言葉も空しく剣先はフーズィンの喉を貫いた。

口を金魚のように何度かパクパクと動かすが次第に反応がなくなり物言わぬ躯へと変えたのだった。

「これでケジメはつけた。 後日首を差し出そう」

「・・・1度だけだ。 あんたの誠意に1度だけ許そう。 だけど次同じことを繰り返すのなら・・・」

「その時は滅ぼしに来るがいい。 だが、わしらも黙って滅びるつもりはない」

それだけ言うとレクントはシフトに背中を見せるのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻世の作品一覧

【完結済】

スキル【ずらす】で無双する
全 394 エピソード  1 ~ 100 エピソード  101 ~ 200 エピソード  201 ~ 300 エピソード  301 ~ 394 エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【連載中】

追放された公爵子息の悠々自適な生活 ~スキル【現状維持】でまったりスローライフを送ります~
1 ~ 100 エピソード  101 ~ エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【短編】

怪獣が異世界転生!! ~敗北者をナメるなよ!! 勇者も魔王もドラゴンもみんな潰して異世界崩壊!!!~
ジャンル:パニック〔SF〕 ※異世界転生

「お前をパーティーから追放する」と言われたので了承したら、リーダーから人脈が芋蔓式に離れていくのだが・・・
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

潔癖症の私が死んで異世界転生したら ~無理です! こんな不衛生な場所で生きていくなんて私にはできません!!~
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕 ※異世界転生

王太子殿下から婚約破棄された上に悪役令嬢扱いされた公爵令嬢はクーデターを起こすことにしました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

敗北した女勇者は魔王に翻弄される ~くっ、殺せ! こんな辱めを受けるくらいなら死んだほうがマシだ!!~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

目の前で王太子殿下が侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡すイベントが発生しました ~婚約破棄の原因は聖女であるわたし?!~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

パーティーから追放された俺に待ち受けていたのは勧誘の嵐だった ~戻ってこいといわれてもギルドの規定で無理だ、あきらめろ~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

君が18歳になったら
ジャンル:現実世界〔恋愛〕

追放した者たちは依存症だった件
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

高給取りと言われた受付嬢たちは新任のギルドマスターによって解雇されました ~新しく導入した魔道具が不具合を起こして対応できなくなったので戻ってこいと言われましたがお断りします~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

ダンジョン奥深くで追放された荷物持ちは隠し持っていた脱出アイテムを使って外に出ます ~追放した者たちは外に出ようとするも、未だにダンジョン内を彷徨い続けていた~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

王立学園の卒業パーティーで王太子殿下から改めて婚約宣言される悪役令嬢 ~王太子殿下から婚約破棄されたい公爵令嬢VS王太子殿下と結婚したくない男爵令嬢~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

婚約破棄された公爵令嬢は遠国の皇太子から求婚されたので受けることにしました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

異世界にきて魔女としてエンジョイしたいのに王子殿下を助けたことで聖女に祭り上げられました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

隣国の夜会で第一皇女は初対面の王太子殿下から婚約者と間違えられて婚約破棄を言い渡されました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

追放された聖女は遠国でその国の聖女と間違えられてお帰りなさいと温かく歓迎された
ジャンル:異世界〔恋愛〕

聖女として召喚されたのは殺し屋でした
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転移

異世界から召喚された聖女?
ジャンル:異世界〔恋愛〕

この家にわたくしの居場所はないわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

闇の聖女は砂漠の国に売られました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

「君を愛することはない」と言いますが、そもそも政略結婚に愛なんて不要ですわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

婚約破棄? それならとっくの昔に言い渡されておりますわよ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ