表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/394

62.獣姫の野望

私の名前はタイミューといいます。

獣王国の2番目の姫です。

1ヵ月以上前になりますが仕事で国内を移動しているときに右手に変な模様を付けた見知らぬ集団から命を狙われました。

みんな私を守ろうと必死になって戦ってくれました。

だけど相手の力が上回っていたので結果的に敗れ、護衛と逸れて散り散りに逃げることになりました。

それから私は空腹に耐えながらどこだかわからないところを歩いていました。

やがて大きな町が見えてきました。

よく見ると門を守護するのは人族です。

たしか人族が使うお金がないと町に入れないと聞いたことがあります。

町の外にいれば追手に捕まる可能性が高いです。

私は覚悟を決めると町の壁のほうに歩くと足に力を籠めて跳躍しました。

門を越え町の中に入ることに成功すると安堵からその場に座り込んでしまいます。

見知らぬ土地、水も食料もなく、見つかれば何をされるかわからない。

それでも訳も分からず殺されるのは嫌です。

これからのことを考えているとこちらにフードを被った人が来ます。

右手にはあの変な模様があります。

逃げようとすると反対側にも同じような人がいます。

いつの間にか囲まれていて逃げないと思ったその時、

「ちょっと待った!」

声をしたほうを見ると人族の緑髪の雌(フェイ)がこちらに駆けてきます。

突然の乱入者にフードたちは私よりも緑髪(フェイ)を倒すほうを優先したようです。

私のせいで緑髪(フェイ)が殺されると思ったとき、目の前では信じられないことが起きていました。

緑髪(フェイ)が刃物を持ったフードたちを相手に次から次へと素手で倒していったのです。

あの身体のどこにそんな力があるのか不思議でなりません。

しばらくすると緑髪(フェイ)の仲間がやってきてフードたちは不利だと悟ったのか逃げていきました。

「大丈夫? 怪我はない?」

「ハイ、アリガトウゴザイマス」

「耳と尻尾?」

紫髪の雌(ベル)が耳と尻尾を見てきたので私は恥ずかしさから縮こまってしまう。

「! もしかして獣人族か?! なぜこんなところに」

青髪の雌(ローザ)が私のことを言い当てた。

どうしよう、私どうなっちゃうんだろう。

「ちょっと驚かせてどうするのよ」

「私たちはあなたの味方よ。 とりあえずはこれを着て私たちに付いてきて」

黄髪の雌(ユール)が窘めて、赤髪の雌(ルマ)が敵対する意思がないことを告げるとフード付きのマントを私に着せました。

不安はあるけど他に行く当てもない私には選択肢はなかったのでこの人族に付いていくことにしました。

しばらくするとこぢんまりとした部屋に着くと中にはオレンジ髪の雄(シフト)がいました。

オレンジ髪(シフト)は私のことを2~3質問すると部屋を出ていきました。

そのあとは緑髪(フェイ)に椅子を勧められました。

きゅるきゅるきゅる・・・

椅子に座ると私は安堵したのか急にお腹が空腹を訴えてきたのです。

今の私はあまりの恥ずかしさに真っ赤な顔になっていると思います。

だけど誰も笑わずにいてそれどころか紫髪(ベル)が食料と水を用意してくれたのです。

「これ食べる」

私は人目も憚らず目の前の食料を口に入れ、水を飲んでいた。

久しぶりの食事に満足すると緑髪(フェイ)が話しかけてくる。

「落ち着いた?」

私が首を縦に振ると部屋の扉が開いてオレンジ髪(シフト)が入ってきたのです。

あとは皆さんも知っての通り、2度の襲撃にレパーリュ派の獣人による包囲網も人族の助力を受けて事なきを得る。

そして無事に王都まで着くことができました。


今夜、私は自分の住処である王城に戻ってきた。

暴君と化そうとしている(レパーリュ)を止めるために。

作戦としては陽動部隊と護衛部隊の2つに分かれて城内を攪乱させるそうです。

陽動部隊は赤髪(ルマ)紫髪(ベル)青髪(ローザ)で護衛部隊がオレンジ髪(シフト)緑髪(フェイ)黄髪(ユール)です。

陽動部隊が派手に動いている間に私と護衛部隊は(レパーリュ)の所を目指して城内を走っている。

まずは(レパーリュ)の部屋を訪れたが誰もいなかった。

つぎに食堂に行ってみたがそこにもいなかった。

謁見の間にいってみるとそこには(レパーリュ)(ピュルム)と話をしていた。

「ア、タイミューネエサマ。 シンパイシタンデスヨ?」

「タイミュー・・・イキテタノカ」

(ピュルム)が心配して声をかけたかと思うと(レパーリュ)は真逆の反応を示す。

「ネエサン、ハナシガアリマス」

「ザンネンダケドワタシニハナイノヨネ」

(レパーリュ)が手を叩くと近衛騎士たちが広間に集まってくる。

「ソコニワガイモウトタイミューヲナノルフケイモノガイル。 ソッコクシマツシロ」

私を見ると近衛騎士たちはざわついた。

「ナニヲシテイル! ハヤクシナサイ!」

近衛騎士たちは渋々命令に従い私を攻撃してくる。

「悪いがタイミュー王女殿下を殺されるわけにはいかないのでね。 邪魔させてもらうよ。 フェイ、ユール」

「「畏まりました、ご主人様」」

オレンジ髪(シフト)緑髪(フェイ)黄髪(ユール)に指示を出すと近衛騎士たちを相手に3人で対峙する。

足止めをしている間に私は(レパーリュ)(ピュルム)のところに向かう。

そこでは(ピュルム)(レパーリュ)に止めるよう説得していた。

「レパーリュネエサマ、ヤメテ。 メイレイヲトリケシテ」

「ウルサイ。 ワタシニサシズスルナ」

「コノママデハタイミューネエサマガ・・・」

「ジャマヲスルナ。 ピュルム」

(レパーリュ)は腰に差した剣を鞘から抜くとピュルムを袈裟切りに切ったのだ。

(ピュルム)は咄嗟の出来事に反応できずに右肩から左腰にかけて深い傷を負ってその場に倒れこむ。

「ナッ?! レ・・・レパーリュ・・・ネエ・・・サ・・・マ」

「ピュルム!! ネエサン! ナンデピュルムヲキッタノ!!」

「コレモイツカハシマツスルヨテイダッタカラナ。 ソレガハヤマッタダケダ」

「ネエサン!」

私は腰の剣を抜くと(レパーリュ)と対峙する。

「タイミュー、オマエヲコッカハンギャクザイデシマツスル」

「ネエサン、コレイジョウノアクギョウヲユルスワケニハイカナイ」

私と(レパーリュ)は同時に動き出すとお互い袈裟切りでぶつかりあうと鍔迫り合いになる。

「シネ! タイミュー!!」

(レパーリュ)は剣に力を入れてそのまま強引に切りかかろうとするが私も負けじと剣に力を入れた。

このままでは埒が明かないとお互い距離をとる。

そこからは剣での応酬が始まった。

唐竹割りを左切り上げで対応したり、横薙ぎをバックステップで躱したり、袈裟斬りや逆袈裟斬りでの斬り合いになったり、刺突を横に回避したりと熾烈な攻防が続いている。

すでに20合以上交えているがお互い一歩も引かないし、譲らない。

このままずっと続くかと思ったが以外にも早く結末を迎えることになる。

それは戦っているうちに(レパーリュ)の様子が少しずつ変化していたからだ。

そうまるで何かに苦しんでいるみたいに。

私は(レパーリュ)の横薙ぎを受け止め弾くとお腹に剣を刺した。

(レパーリュ)は口から吐血ともにお腹から出血している。

暴走を止めるためとはいえ実の姉(レパーリュ)に手をかけることに心を痛め、いつの間にか私は泣いていた。

「ネエサン・・・サヨウナラ」

(レパーリュ)の口を見る。

ニ・・・ゲ・・・テ・・・

その直後、背中に痛みを感じたと思えばお腹にも痛みを感じる。

「エ?」

私は自分のお腹を見るとそこには刃物の先端が見えていた。

何が起こったのかわからず後ろを振り向くとそこには死んだはずの(ピュルム)が剣を持って私を刺していたのだ。

「ピュ・・・ル・・・ム?」

「ソウヨ、ワタシヨ。 ピュルムヨ。 タイミューネエサマ」

「ア・・・アナタ・・・ハ・・・サッキ・・・ネ・・・ネエ・・・サン・・・ニ」

「アア、アレ? アレハワタシノカゲムシャヨ。 レパーリュネエサマモタイミューネエサマモワタシガオウイヲツグノニジャマダカラネ。 フタリマトメテショブンスルコトニシタノ」

「ソ・・・ン・・・ナ」

「サヨウナラ、タイミューネエサマ」

(ピュルム)は刺した刃を引き抜くと私は口から血を吐き出していた。

お腹と背中の傷口からも止め処なく血が流れている。

そして私の意識はどんどん失っていく。

やがて私の視界は霞んでだんだんと暗くなっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻世の作品一覧

【完結済】

スキル【ずらす】で無双する
全 394 エピソード  1 ~ 100 エピソード  101 ~ 200 エピソード  201 ~ 300 エピソード  301 ~ 394 エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【連載中】

追放された公爵子息の悠々自適な生活 ~スキル【現状維持】でまったりスローライフを送ります~
1 ~ 100 エピソード  101 ~ エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【短編】

怪獣が異世界転生!! ~敗北者をナメるなよ!! 勇者も魔王もドラゴンもみんな潰して異世界崩壊!!!~
ジャンル:パニック〔SF〕 ※異世界転生

「お前をパーティーから追放する」と言われたので了承したら、リーダーから人脈が芋蔓式に離れていくのだが・・・
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

潔癖症の私が死んで異世界転生したら ~無理です! こんな不衛生な場所で生きていくなんて私にはできません!!~
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕 ※異世界転生

王太子殿下から婚約破棄された上に悪役令嬢扱いされた公爵令嬢はクーデターを起こすことにしました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

敗北した女勇者は魔王に翻弄される ~くっ、殺せ! こんな辱めを受けるくらいなら死んだほうがマシだ!!~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

目の前で王太子殿下が侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡すイベントが発生しました ~婚約破棄の原因は聖女であるわたし?!~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

パーティーから追放された俺に待ち受けていたのは勧誘の嵐だった ~戻ってこいといわれてもギルドの規定で無理だ、あきらめろ~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

君が18歳になったら
ジャンル:現実世界〔恋愛〕

追放した者たちは依存症だった件
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

高給取りと言われた受付嬢たちは新任のギルドマスターによって解雇されました ~新しく導入した魔道具が不具合を起こして対応できなくなったので戻ってこいと言われましたがお断りします~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

ダンジョン奥深くで追放された荷物持ちは隠し持っていた脱出アイテムを使って外に出ます ~追放した者たちは外に出ようとするも、未だにダンジョン内を彷徨い続けていた~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

王立学園の卒業パーティーで王太子殿下から改めて婚約宣言される悪役令嬢 ~王太子殿下から婚約破棄されたい公爵令嬢VS王太子殿下と結婚したくない男爵令嬢~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

婚約破棄された公爵令嬢は遠国の皇太子から求婚されたので受けることにしました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

異世界にきて魔女としてエンジョイしたいのに王子殿下を助けたことで聖女に祭り上げられました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

隣国の夜会で第一皇女は初対面の王太子殿下から婚約者と間違えられて婚約破棄を言い渡されました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

追放された聖女は遠国でその国の聖女と間違えられてお帰りなさいと温かく歓迎された
ジャンル:異世界〔恋愛〕

聖女として召喚されたのは殺し屋でした
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転移

異世界から召喚された聖女?
ジャンル:異世界〔恋愛〕

この家にわたくしの居場所はないわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

闇の聖女は砂漠の国に売られました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

「君を愛することはない」と言いますが、そもそも政略結婚に愛なんて不要ですわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

婚約破棄? それならとっくの昔に言い渡されておりますわよ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ