61.調査
ヤッホ~♪ みんな元気? ご主人様から一番の寵愛を受けているフェイちゃんだよ~♪
今だけどぼくはなんと獣王国の王都アンニマームに来てます。
え? アニマル? ノンノンノン、アンニマーム、 ア・ン・ニ・マ・ー・ム。
アニマルじゃないからそこんところよろしく。
さて、パーナップ辺境伯領からここまで3週間ほどかかってきたけど、最初の1週間は読者のみんなも知っての通りだから割愛するよ。
え? 知らない? 割愛するな? なんてことだ、1話前を読んでいないとはフェイちゃん悲しい。
今からでも遅くないから1話前を・・・こほん、それだと2度手間だから簡単に説明するね。
ガイアール王国の極西にあるパーナップ辺境伯領で獣王国の第二王女であるタイミューちゃんを右手に紋様がある襲撃者から助けたのが事の発端。
タイミューちゃんのお姉さんが絶大な支持を持つ妹が邪魔だから殺害するっていうのが原因らしい。
お姉さんを止めるために獣王国へと旅立つことに。
途中レパーリュ派の獣人と遭遇するも無駄に戦闘せずに強行突破しました。
と、こんな感じかな? どう? どうよ? この前と違ってちゃんと短文でしょう? フェイちゃんだってやればできるんだから。(えっへん)
だけどね、大問題が発生したんだよ。
それは今までぼくの唯一の味方だと思っていたベルちゃんに胸の大きさで並んじゃったんだ。
そりゃ(この小説内の時間で)1年と7ヵ月も経てばキャラクターも成長するけどさ・・・ベルちゃんは成長してぼくは成長してないんだよ! 可笑しいだろ? 作者の悪意を感じる! 改稿を求める! かいこう! かいこう!! かいこ~!!!
え? 解雇? 違うよ、改稿だよ、改稿! ぼくを解雇しないでよ。
そんなことしたら登場シーンから今までのを全部改稿しないといけない? やる気なくなって未完になるって? ごめんなさい、我が儘言いました、どうか続けてください。
と言うわけでベルちゃんが味方から強敵になったんだよ。
あ、結局長文になってる。orz
気を取り直して、残りの2週間も何度か獣人と遭遇しても戦闘せずに強行突破で抜けてきたんだ。
そういえば普通こんなことすればもっと遭遇して襲われてもおかしくないんだけどね・・・どうしたんだろ? 見逃してもらってるのかな? だとすれば好都合だけど。
そしてついに獣王国の王都アンニマームに到着したんですよ。
早速宿をとるとご主人様がタイミューちゃんの護衛として宿に残り、ぼくたちはみんなフードで顔を隠しながら王都を観光・・・ではなく情報収集をしています。
チーム分けはルマちゃんとベルちゃん、ローザちゃんとユールちゃん、そしてぼくは1人・・・あれ? ぼくボッチ?(涙)
そ、それは置いといて情報として入ってくるのがタイミューちゃんがいなくなったこととお姉さんのあまり良くない噂しか聞けなかったかな。
改めてみるとタイミューちゃんは国民から慕われる良いお姫様なんだね。
手に入れた情報を報告しに戻るとすでにルマちゃんたちは戻ってきていて報告内容もぼくが仕入れた情報と同じものだった。
ご主人様は少し考えるとタイミューちゃんに声をかける。
「タイミュー王女殿下、これからどうしますか?」
「イマスグオウジョウヘムカイマス」
「今動くのは得策じゃないよ。 夜まで待つべきだ」
タイミューちゃんの一言にぼくは思わず声をあげてしまった。
「ダケド・・・」
「気持ちはわかるけどフェイの言う通りです」
「焦りは禁物」
「国民に無用な混乱を招くだけだ」
「冷静になるべきですわ」
ルマちゃんたちもぼくの意見に賛成のようだ。
「僕もフェイの意見に同意する。 行動は夜に行うべきだ」
「レイセイジャナカッタ、ゴメンナサイ。 ヨルニイキマショウ」
タイミューちゃんも理解してくれたのかぼくの意見に同意してくれた。
「フェイ、今からで悪いけど王城に忍び込める場所を調査してもらえないか?」
「まっかせてよ、ご主人様~♪」
こういう裏方の仕事はぼくの得意分野だからね。
ここでアピールしておかないとぼくの存在意義が・・・って、あれ? 気のせいかな目にゴミが入って・・・うん、気のせいだよね。
ぼくは部屋を出るのだった。
ほうほう、これが獣王国の王城ですか。
やってきました、王城へ。
遠目から城壁を見ると高いね・・・10~12メートルくらいあるのかな? 獣人の身体能力は人間を上回るのがほとんどだからこのくらい城壁を高くしておかないと侵入されちゃうんだろうなぁ。
ぼく? ぼくはこのぐらいの高さなら余裕で登れるよ。
ご主人様も余裕でしょう。
ベルちゃんとローザちゃんも問題ないし、ルマちゃんは魔法を使えばいけるでしょうし、あとはユールちゃんだけど・・・多分大丈夫だよね? うん、大丈夫、きっと大丈夫だ、うんうん。
ご主人様からの命令で侵入に適した場所を見つけるべく王城の周りを1周することにした。
さすがに正面は門兵が見張りについているのでパス。
上を見ると城壁の上には見張りはいないようだ。
不用心なのか足場がないのかここからだと判断し難い。
城壁の周りを歩いていると獣人が2人1組で歩いてやってくる。
おっと隠れないと。
ぼくはあわてて近くの草むらに隠れる。
2人の獣人が会話をしながら城壁にそって歩いてくるとぼくのいる草むらを見ることもなく去っていく。
どうやら門の周りを定期的に獣人が2人1組で巡回しているらしい。
巡回する時間は覚えておきたいな。
ぼくは隠れて獣人が来るのを待つことにした。
約1時間後───
ぼくが調べたところ2回ほど獣人が2人1組で現れた。
30分毎に1回は見回りが来ることになる。
見張りをやり過ごしたら30分の猶予があるからその間に登ればよさそうだ。
ぼくは再び外周を歩き出す。
しばらくすると正門と同じように仁王立ちしている門兵が2人いた。
正門とは対称的な場所にあり、小さい扉からどうやらここは裏門だろう。
昼だと目立つが夜ならぼくの【闇魔法】で門兵を気絶させてから侵入することもありだと考える。
一通り外周を見てからこれ以上得られる情報がないことを確認するとぼくはご主人様のところに戻ることにした。
ご主人様がとっている宿に戻って部屋に入る。
「ただいま戻りました、ご主人様」
「お疲れ、フェイ。 どんな感じだった?」
「はい、正面と裏門は門兵が警備しております。 外周は30分毎に2人1組で見回りが巡回します。 城壁は10~12メートルほどで上には見張りがいませんでした」
「なるほど」
ぼくは報告しているとある疑問が思い浮かんだのでタイミューちゃんに聞いてみる。
「タイミューちゃんに聞きたいんだけど、王族のみが知っている秘密の通路みたいな地下通路ってあるの?」
「アノシロニハソノヨウナモノハナイハズデス。 ヒトゾクトチガッテジュウジンゾクハソノシンタイノウリョクデナントカナルノデ」
あるなら追加で確認してこないといけなかったから助かった。
「ご主人様、裏門か城壁のどちらから突破しますか?」
「そうだな・・・最終的にはレパーリュ王女殿下に会って止めるのが目的だから裏門から侵入するか。 その際の手段はフェイに任せるよ」
「わかりました」
「みんな聞いてほしい。 今日の夜中に王城に潜入する。 今のうちに仮眠をとり英気を養ってくれ」
「「「「「畏まりました、ご主人様」」」」」
ぼくは夜に向けて休息をとる。
暴れることになると思うから身体を休めないとね。
そして夜半過ぎにぼくたちは行動を開始する。
ぼくが先頭に立ってご主人様たちを案内した。
物音を立てずに裏門の近くまでやってくると門兵が注意してみている。
ご主人様がぼくを見たので頷くと門兵の近くまで移動してから奇襲で【闇魔法】で黒い霧を発生させる。
突然現れた黒い霧に覆われた門兵は驚き声を荒げた。
「ナニモノダ!」
「スガタヲミセロ!」
見せろと言って見せるわけないでしょう。
ぼくは接近して続けざまに【闇魔法】の眠りと麻痺の状態異常を発動させると門兵は力なくその場に倒れて寝息を立てる。
門に近づき針金を取り出すと鍵穴にそれを入れてカチャカチャ音を鳴らして動かす。
しばらくするとカチッと音が鳴るのであとは扉のノブを回すと開く。
周りに誰もいないことを確認するとぼくたちは城内に侵入するのであった。




