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382.大陸最大のダンジョン『デスホール』 中層 〔無双劇75〕

ダンジョン2日目───

シフトが目を覚ますとベルがすでに食事を作り終えていた。

「ご主人様、おはよう」

「ご主人様、おはようございます」

「おはよう。 僕たちが寝ている間に何かあった?」

「特にない」

「魔物や魔獣は襲ってこなかった」

「それはよかった」

シフトがベルとローザから話を聞いているとルマ、フェイ、ユールも目を覚ます。

「んんん・・・おはようございます、ご主人様」

「ふぁ・・・おはよう」

「ぅぅん・・・もう時間ですの・・・」

「みんな、おはよう。 ベルが食事を作ったから食べよう」

シフトたちはベルが用意した料理を食べる。

食事が終わるとそれぞれが身体を解す。

「みんな、準備はいいか?」

「「「「「はい、ご主人様!!」」」」」

「それでは出発する」

シフトは結界を解除すると隊列を形成して目の前にある下り階段を下りた。

地下16階に到着すると早速魔物や魔獣たちがシフトたちを出迎える。

「げ! ゴブリンジェネラル!」

「どうやら1ランクアップしたようだな」

先頭にいるローザとフェイが声を上げる。

そこには上位種のゴブリンジェネラルが中位種であるゴブリンナイト、ゴブリンモンク、ゴブリンソーサラー、ゴブリンガンナーを引き連れている。

「とりあえず動きを封じさせてもらう」

シフトは【五感操作】を発動するとゴブリンたちの触覚を剥奪する。

これで安心して戦えると誰もが思ったところに、ゴブリンジェネラルの奥から別のゴブリンジェネラルが配下の者たちを引き連れて現れた。

動きを封じようにも手前にいるゴブリンジェネラルたちが邪魔になって奥のゴブリンジェネラルたちの動きを止められない。

「ご主人様、そこまで徹底しなくても今のぼくたちなら余裕だよ」

「ああ、これくらいなら負ける要素はない」

ローザとフェイは龍鱗の武器を構えると奥にいるゴブリンジェネラルたちに向かって突進する。

「ルマ、ユールは手前のゴブリンジェネラルを攻撃して、撃破後はローザとフェイを援護! 僕とベルはルマとユールを守るよ!」

「「「はい、ご主人様!!」」」

シフトは命令するとベルと共に周りを警戒する。

伏兵を警戒するがそれよりも早くルマたちがゴブリンジェネラルたちを倒した。

「ご主人様、こちらは終わりました」

「ご苦労、問題ないなら戦利品を回収して先に進むよ」

シフトは【空間収納】を発動してゴブリンたちの魔石を入れると閉じた。

先に進むと今度はオークジェネラルたちが配下を引き連れて現れる。

「複数隊で現れたか・・・」

シフトは【五感操作】を発動するとオークたちの触覚を剥奪してローザたちに任せることにした。

なぜなら後方からオーガジェネラルたちが現れたからだ。

「ルマ、ローザ、フェイ、そっちは任せた。 ベル、ユール、僕たちは後ろを対処するよ」

「「「「「畏まりました、ご主人様!!」」」」」

シフトは【五感操作】を発動するとオーガたちの触覚を剥奪した。

動きを封じればあとは作業みたいなものだ。

シフトたちは龍鱗の武器でオークやオーガたちを次々に倒していく。

そこら中に魔物の断末魔の悲鳴が聞こえる。

それが呼び水となりさらにほかのオークやオーガたちが現れた。

シフトは【五感操作】でオークやオーガたちの触覚を剥奪するとルマたちと共に攻撃してこれを倒す。

ローザとフェイが戦利品をもってシフトたちのところに戻る。

「挟み撃ちとかやめてほしいよね」

「上層と違い敵も強さや数だけでなく戦略も使い始めているようだ。 油断はしないほうがいいだろうな」

「ローザの言う通りだ。 油断せずに進もう」

シフトは戦利品を空間にしまうとルマたちを連れて再び先に進んだ。

あちこち移動していると次の下り階段が現れる。

体調管理を確認し、問題なければ次の階へと下りていった。

それから下に進むにつれて魔物や魔獣の出現率が上がり、出現数もこちらの3~5倍の数にさらに伏兵や挟撃などおよそ人間が行う戦術を平気で使ってくる。

しかし、シフトはそれらを【五感操作】で触覚を剥奪したのちに撃退していく。


ダンジョン4日目───

シフトたちは地下30階に到達した。

ここまでかなりハイペースで進んでいる。

フェイが【斥候】をフル活用しているのでダンジョン探索はかなり楽ができていた。

その分、宝箱を開けてミミックに遭遇することが何度かあったが・・・

それを差し引いてもここまで順調に進んだ冒険者はシフトたちが初めてである。

シフトのスキル(【ずらす】)がなければ苦戦は必至でここまで辿り着くこともなかっただろう。

次の下り階段を探していると大きな十字路に出る。

中央まで来るとそこでフェイが動きを止めた。

「フェイ?」

「ご主人様、ここはまずい! 一旦引き返そう!!」

フェイの言葉には今までにない危機感が含まれている。

シフトはそれを敏感に感じ取りルマたちに命令した。

「みんな! フェイの言う通り来た道を戻るぞ!!」

「「「「「はい! ご主人様!!」」」」」

後衛にいたシフトだが、動きを止める。

「ご主人様?」

「こっちから大勢の気配が近寄ってくる!!」

「・・・ってことは挟まれた!!」

フェイの言葉からして先ほどの十字路の三方向からも魔物や魔獣が来ているということだ。

シフトたちはダンジョンに入って初めて緊張した場面に遭遇する。

「ご主人様、どうしますか?」

ルマがシフトにどう対応するか聞いてくる。

シフト1人ならスキルを使って倒すなり転移するなり余裕だが、ルマたち全員というと話は別だ。

「十字路で四方向から襲われるのは危険だ! 来た道を少し戻る!」

シフトたちは十字路から戻るとルマに命令する。

「ルマ! 十字路に差し掛かる通路を【氷魔法】で遮れ!!」

「畏まりました! ご主人様!」

ルマは【氷魔法】を発動すると十字路に差し掛かる通路を分厚い氷で隙間なく遮った。

「よし! これで時間が稼げる! 僕、ローザ、フェイは今からやってくる魔物や魔獣たちを迎撃! ルマ、ユールは後方支援! ベルは氷を随時【鑑定】して危険だと判断したらすぐにルマとユールに声をかけろ!!」

「「「「「はい! ご主人様!!」」」」」

命令を出してからしばらくするとゴブリン、オーク、オーガを始めとした多くの魔物や魔獣たちがシフトたちのほうにやってきた。

「みんな! やるぞ!!」

「「「「「おー!!」」」」」

シフトは先手必勝と【五感操作】を発動して迫りくる魔物や魔獣たちの触覚を剥奪した。

それでも前衛だけしか動きを止められず中衛・後衛は健在だ。

シフトたちは前衛から抜けて出てくる魔物や魔獣たちを相手にしようとしたとき、奥からシフトたちに向けて複数の炎が放たれた。

その炎は前衛の魔物や魔獣たちを巻き込み、勢いを落とさずにシフトたちに迫ってくる。

シフト、ローザ、フェイは胸当てに埋め込まれた魔石に魔力を注ぐと氷の壁を生成した。

炎は氷の壁に遮られ、消えてなくなる。

氷の壁の隙間から魔物や魔獣たちが抜けてシフトたちに襲い掛かった。

相手の行動を予測していたシフトたちも龍鱗の武器を構えて魔物や魔獣たちと相対する。

シフトは【五感操作】を発動して魔物や魔獣たちの距離感や平衡感覚を狂わせた。

魔物や魔獣たちの攻撃はすべてシフトを避けていく。

隙ができたところにシフトは龍鱗のナイフで斬る。

倒れた魔物や魔獣たちをそのままに次々と倒し続けた。

ローザ、フェイもそれぞれ【武器術】、【武闘術】で相手をいなして反撃をする。

半数近くを倒したところでベルが叫ぶ。

「ルマ! 氷がそろそろ壊れそう!!」

「わかったわ! ご主人様! そろそろ氷が破壊されそうです!!」

「わかった! ベル! こっちに来てフェイを手伝え!! ローザ! 僕と一緒に十字路のほうを対応するぞ!! ルマ、フェイ、ユールは今の状態を維持しろ!!」

「「「「「畏まりました! ご主人様!!」」」」」

ベルがシフトたちのほうにやってくるとすぐにシフトとローザが十字路のほうへ移動する。

到着と同時に氷に亀裂が入っていく。

ミシ・・・ミシ・・・ミシ・・・

「ローザ! 気をつけろ! 最低でもさっきの3倍以上襲ってくるからな!!」

「わかった!!」

氷全体に大きな罅が入り次の瞬間・・・

バアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!

氷が崩壊する。

そこには先ほどまで対応していた魔物や魔獣たちの比ではない数が所狭しと集まっていた。

シフトはすぐに【五感操作】を発動して魔物や魔獣たちの触覚を剥奪する。

通路に犇めきあっているとはいえかなりの数の魔物や魔獣たちの動きを止めた。

次に【空間収納】を発動すると銅や鉄、鋼を大量に取り出し、【念動力】でマシンガンのようにそれらを魔物や魔獣たちに飛ばす。

身動きできない魔物や魔獣たちはもろに直撃を受けると吹っ飛ばされたり、当たり所が悪いとそのまま絶命する者もいた。

それでも擦り抜けて襲ってきた魔物や魔獣たちは、ローザの龍鱗の剣の錆となる。

シフトの攻撃で真正面にいた魔物や魔獣たちはほぼ全滅した。

しかし、左右の通路からは無傷の魔物や魔獣たちが姿を現す。

シフトは再び【五感操作】を発動して魔物や魔獣たちの触覚を剥奪した。

動けなくなった者たちを押し退けて後ろから魔物や魔獣たちが次々と現れるが、シフトは淡々と【五感操作】で魔物や魔獣たちの触覚を剥奪していく。

これにより十字路は飽和状態になる。

そして、再び【念動力】で銅や鉄、鋼をマシンガンのようにぶつけていく。

物の数対者の数、勝利したのは言うまでもなくシフトである。

数が少なくなったところでシフトとローザは残りの魔物や魔獣たちを攻撃した。

「ご主人様! こっちはやっつけたよ・・・って、えええええぇーーーーーっ!!」

「出番がほとんどない」

「さすがご主人様ですわ」

「ご主人様・・・規格外すぎます」

ルマたちが後方の魔物や魔獣たちを殲滅させてシフトとローザの援護しようとしたときにはほとんど倒していた。

残った魔物や魔獣たちもシフトとローザがきっちり斬って地面に倒れる。

「ふぅ・・・これで終わりかな・・・ん? ベルとフェイのほうも終わったのか?」

「は、はい・・・って、ご主人様強すぎ!」

「とりあえず、ご苦労。 フェイ、辺りを警戒して。 僕は手っ取り早く戦利品を回収するから」

「りょ、了解」

シフトは空間に戦利品と敵にぶつけるのに使った銅や鉄、鋼を回収する。

「それじゃ、引き続き下り階段を探そう」

「「「「「はい! ご主人様!!」」」」」

それからシフトたちは下り階段を見つけると今日の探索を終えるのであった。


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