表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
382/394

380.緊張する夜 〔無双劇73〕

魔動車で飛んでいくこと2時間、大陸最大のダンジョンである『デスホール』近くの草原に降り立つ。

シフトは【空間収納】を発動して魔動車をしまうと閉じる。

「さてと、それじゃ『デスホール』に向けて行くよ」

「「「「「はい、ご主人様!!」」」」」

シフトたちは『デスホール』に向けて歩き出した。

険しい道のりを進むこと2時間後、1つの村だったところに到着する。

村の中では多くの人々が苦悶の表情をし、地面に倒れ血を流して死んでいた。

「酷い・・・」

「予想外な展開」

「一体何があったんだ?」

「みんな死んでる」

「なんとも遣る瀬無い気持ちですわ」

ルマたちも沈痛な面持ちで村人たちを見ていた。

「このままではさすがに可哀想だな。 せめて供養だけでもしておくか」

シフトたちは村の隅に村人や冒険者たちの遺体を集めて土葬した。

「これでよし。 では、行こうか」

供養も終わり『デスホール』に向けて村から出ようと歩き出したとき、行く手を遮るように全身金属でできた蜘蛛が現れた。

「また、この蜘蛛か・・・」

前方から出てきた蜘蛛ロボットを合図に側面や後方からも続々と現れて退路を塞ぐ。

「囲まれたか・・・」

冷静に分析するシフト。

「この蜘蛛たちがこの村を・・・!!」

「許せない!!」

「叩き潰す!!」

「徹底的に破壊してやるよ!!」

「覚悟しなさい!!」

ルマたちは蜘蛛ロボットたちに激高していた。

「みんな、落ち着いて。 それじゃ勝てるものも勝てなくなるよ」

「ご主人様・・・わかりました」

シフトの言葉にルマたちは冷静になる。

「僕、ベル、ローザ、フェイは前衛を、ルマとユールは後衛で支援をお願い」

「「「「「畏まりました、ご主人様!!」」」」」

「行動開始!!」

シフト、ベル、ローザ、フェイはそれぞれ龍鱗の武器を抜くと四方に分かれて蜘蛛ロボットたちに向けて突進する。

1度対峙していることもあり、シフトは蜘蛛ロボットが本来の力を出す前に一気に近づいて龍鱗のナイフで首を刎ねたあとに頭を破壊した。

近くにいた蜘蛛ロボットがシフトを脅威だと認識すると襲い掛かってくる。

蜘蛛ロボットたちが光弾を発射する前に、シフトは全速力で近づいては首を刎ねたり頭を破壊した。

シフトが減らしている中、ベル、ローザ、フェイも以前シフトと蜘蛛ロボットとの戦闘を参考に攻撃する。

ベルは【鑑定】で弱点を狙った攻撃を、ローザは【武器術】による装甲を貫く攻撃で、フェイは【武闘術】と【暗殺術】を駆使した攻撃で蜘蛛ロボットたちを1匹1匹確実に倒していく。

ルマは【氷魔法】で蜘蛛ロボットたちの足元を凍らせて足止めし、そこに【爆裂魔法】で頭の付近を爆発して吹っ飛ばす。

ユールはルマが足止めした蜘蛛ロボットたちに対して【光魔法】で光の矢を放つと頭に命中して動きを止める。

ある程度倒すとダンジョンのほうから蜘蛛ロボットが援軍でやってきた。

「まだ、出てくるか!」

シフトは倒れている蜘蛛ロボットの足を斬り落とすと【念動力】を発動して斬り落とした足(オリハルコンの塊)を攻めてきた蜘蛛ロボットたちにぶつけた。

ガキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!! ガキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!! ガキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!! ・・・

ぶつけた足(オリハルコンの塊)は見事に蜘蛛ロボットたちのボディを貫いていく。

蜘蛛ロボットたちはその場で崩れ倒れる。

シフトはそこから目を離さない。

なぜなら前回はそれで不意を突いて光弾が飛んできたからだ。

足元から手頃なオリハルコンの塊を手に取ると、倒れている蜘蛛ロボットたちに向けて【念動力】で飛ばした。

頭にぶつけるとポキリと折れる。

シフトは【念動力】で次々とオリハルコンの塊を蜘蛛ロボットたちに投げて頭にぶつけていった。

蜘蛛ロボットたちの頭が破壊されたり吹っ飛んだりしていく。

襲われて1時間が経つ頃には蜘蛛ロボットたちは全滅した。

「みんな、無事か?」

「大丈夫です」

「平気」

「余裕だな」

無問題(モウマンタイ)

「怪我はないですわ」

ルマたちは無事であることをアピールする。

「蜘蛛の残骸を回収するからみんな持ってきて」

「「「「「畏まりました、ご主人様」」」」」

ルマたちは蜘蛛ロボットたちの残骸を次々と持ってくる。

シフトは蜘蛛ロボットたちの基節部分を斬り落としていく。

すべての残骸を持ってきてボディから足を斬り落とす。

「蜘蛛ロボットの足は武器として重宝したのでルマたちにも持たせるとして、頭とボディは僕の空間に収納することで問題ないかな?」

「私は【金属魔法】があるのでどちらでも構いません。 いざとなればオリハルコンを生成できますので」

「これだと扱うのは難しいからナイフくらいの大きさにしてほしいかな」

「ベルもフェイと同じがいい」

「わたくしもベルさんやフェイさんと同じ使い捨てナイフみたいに使える大きさがいいですわ」

「わたしの場合は槍の代わりになるからこのままでも問題ないかな」

ローザに足の原型を2本、ナイフの大きさにカットしたのを各人10本ずつ、残りのオリハルコン全部をシフトの【空間収納】にしまう。

「これでよし。 みんな、出発するよ」

「「「「「はい、ご主人様!!」」」」」

シフトたちは滅びた村を後にする。


太陽が西の地平線に触れる頃、シフトたちはようやく『デスホール』の入り口付近に辿り着いた。

「着いた。 あそこに見えるのが『デスホール』の入り口だ」

「あれが『デスホール』ですか・・・」

「ダンジョン」

「中から夥しい数の気配を感じるな」

「今までと違うね」

「緊張しますわ」

ルマたちも大陸最大のダンジョンである『デスホール』を前に少し怯んでいる。

シフトは【次元遮断】で半径10メートル以内を外界から隔離した。

これで魔物や魔獣に襲われることはないだろう。

「さて、今日はもう日が暮れるのでここで野宿して明日突入する。 みんな、野営の準備だ。 ベル、料理を頼む」

「任された」

「「「「はい、ご主人様!!」」」」

シフトの号令でルマたちは動き出す。

ベルはシフトから受け取った食材を慣れた手つきで捌いていく。

それを鍋に入れ軽く火を入れてから水を入れて調味料で味付けする。

できあがったのはごった煮(シチュー)だ。

それにパンと果物を加えたのが今日の食事である。

「「「「「「いただきます」」」」」」

シフトたちがごった煮(シチュー)を口にすると皆目を大きく開く。

「「「「「美味しい!!」」」」」

「うん」

ベルの【料理】が最大まで上がっているだけあり、今までよりもさらに美味な料理へと昇華している。

「ベルの【料理】レベルが最大になってから初めて食べたけど、こんなにも美味い物が食べられるとは思わなかったよ」

「本当ですね」

「ベルがいてくれてこれほど嬉しいことはないよ」

「ベルちゃん、ぼくのお嫁さんになって!」

「フェイさん、そんなことを言わなくてもわたくしたちはもう一心同体な関係ですわよ」

「ユールの言う通り。 ベルたちはいつも一緒」

ベルは照れたようにいうとごった煮(シチュー)を口にする。

シフトたちはベルの料理を堪能したあとそれぞれのんびりと時間を過ごす。

明日からは『デスホール』に突入して緊張した時間が続くはずだ。

今この時間だけでもリラックスして緊張を解しておく必要がある。

シフトが何気に『デスホール』の入り口を見ているとルマが声をかけてきた。

「ご主人様・・・緊張してますか?」

「ルマ・・・ちょっとね」

主人であるシフトが緊張していると聞いてルマは少し驚いていた。

「ご主人様でも緊張することはあるのですね」

「1度ライサンダーたちに殺されそうになるし、ダーク・ウルフやダーク・ベアーにも何度殺されそうになったことか・・・」

「そ、そうですか・・・」

シフトは言葉にするとあの時の記憶がまざまざと蘇ってくる。

もし、スキル(【ずらす】)が覚醒しなかったら今生きてはいないだろう。

ルマが心配そうにシフトを見る。

「心配しなくてもいいよ。 僕はもう無力ではないんだから」

そういうとルマの頭を撫でる。

「あ、ご主人様♡」

ルマが嬉しそうに目を細める。

「ルマ、ずるい」

「そうだぞ」

「1人締めはよくないよね」

「わたくしたちにもしてほしいですわ」

それを見たベルたちが抗議した。

「あははははは・・・みんな、順番に撫でてあげるから」

シフトはそのあと、ベル、ローザ、フェイ、ユールの順番に頭を撫でていった。

「みんな、今日はゆっくり休んで明日に備えてくれ」

「「「「「はい、ご主人様!!」」」」」

ルマたちは命令通り無駄に夜更かしせずに眠りにつくことにした。

シフトは改めて『デスホール』の入り口を見る。

(いよいよ明日か・・・)

シフトも無理せずに眠りにつくのであった。


翌日───

ベルが用意した食事を食べたあとシフトたちは入念に準備する。

「みんな、準備はいいか?」

「「「「「はい、ご主人様!!」」」」」

「それじゃ、ダンジョンに入るぞ」

シフトは結界を解くと大陸最大のダンジョンである『デスホール』にルマたちを引き連れて入っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻世の作品一覧

【完結済】

スキル【ずらす】で無双する
全 394 エピソード  1 ~ 100 エピソード  101 ~ 200 エピソード  201 ~ 300 エピソード  301 ~ 394 エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【連載中】

追放された公爵子息の悠々自適な生活 ~スキル【現状維持】でまったりスローライフを送ります~
1 ~ 100 エピソード  101 ~ エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【短編】

怪獣が異世界転生!! ~敗北者をナメるなよ!! 勇者も魔王もドラゴンもみんな潰して異世界崩壊!!!~
ジャンル:パニック〔SF〕 ※異世界転生

「お前をパーティーから追放する」と言われたので了承したら、リーダーから人脈が芋蔓式に離れていくのだが・・・
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

潔癖症の私が死んで異世界転生したら ~無理です! こんな不衛生な場所で生きていくなんて私にはできません!!~
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕 ※異世界転生

王太子殿下から婚約破棄された上に悪役令嬢扱いされた公爵令嬢はクーデターを起こすことにしました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

敗北した女勇者は魔王に翻弄される ~くっ、殺せ! こんな辱めを受けるくらいなら死んだほうがマシだ!!~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

目の前で王太子殿下が侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡すイベントが発生しました ~婚約破棄の原因は聖女であるわたし?!~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

パーティーから追放された俺に待ち受けていたのは勧誘の嵐だった ~戻ってこいといわれてもギルドの規定で無理だ、あきらめろ~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

君が18歳になったら
ジャンル:現実世界〔恋愛〕

追放した者たちは依存症だった件
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

高給取りと言われた受付嬢たちは新任のギルドマスターによって解雇されました ~新しく導入した魔道具が不具合を起こして対応できなくなったので戻ってこいと言われましたがお断りします~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

ダンジョン奥深くで追放された荷物持ちは隠し持っていた脱出アイテムを使って外に出ます ~追放した者たちは外に出ようとするも、未だにダンジョン内を彷徨い続けていた~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

王立学園の卒業パーティーで王太子殿下から改めて婚約宣言される悪役令嬢 ~王太子殿下から婚約破棄されたい公爵令嬢VS王太子殿下と結婚したくない男爵令嬢~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

婚約破棄された公爵令嬢は遠国の皇太子から求婚されたので受けることにしました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

異世界にきて魔女としてエンジョイしたいのに王子殿下を助けたことで聖女に祭り上げられました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

隣国の夜会で第一皇女は初対面の王太子殿下から婚約者と間違えられて婚約破棄を言い渡されました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

追放された聖女は遠国でその国の聖女と間違えられてお帰りなさいと温かく歓迎された
ジャンル:異世界〔恋愛〕

聖女として召喚されたのは殺し屋でした
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転移

異世界から召喚された聖女?
ジャンル:異世界〔恋愛〕

この家にわたくしの居場所はないわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

闇の聖女は砂漠の国に売られました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

「君を愛することはない」と言いますが、そもそも政略結婚に愛なんて不要ですわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

婚約破棄? それならとっくの昔に言い渡されておりますわよ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ