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373.破壊兵器の襲撃 大陸内・亜人族戦(ドワーフ・エルフ・獣人)

王国内で蜘蛛ロボットが次々と撃破していた頃、王国以外の大陸の国でも蜘蛛ロボットの活動が確認された。






ドワーフの国───

カンッ! ・・・ カンッ! ・・・ カンッ! ・・・

王宮内の鍛冶工房では金槌がなる音が鳴り響く。

そこでは1人の女の子が炉の前で真剣に鉄を叩いていた。

「できた!」

「ほう・・・どれ、見せてみろ」

「はい、王様(師匠)

宿屋の女の子ドゥルータは自分で打った剣をドワーフの鍛冶王ラッグズに見せる。

「うむ、中々良い出来ではないか」

「ありがとうございます!」

「これなら次の段階に進めるな」

ラッグズはドゥルータの力量に合わせて実力をつけるように心がけていた。

王様(師匠)、次は何を・・・」

そこで王宮の外から鐘の音が聞こえてくる。

カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! カンッ! ・・・

しかし、その鐘の音は時刻を伝えるものではなく、この国に危険を知らせる鐘の音だ。

「む! 何かあったようだな・・・わしは様子を見てくる。 外は危険かもしれないからお前はここにいろ」

「は、はい!」

ドゥルータを鍛冶工房に残すとラッグズは急いで謁見の間に戻る。

そこにはすでに報告に来た衛兵がいた。

「何事だ!」

「はっ! 実は国の外に全身金属でできた蜘蛛が暴れています。 現在ドラゴン2匹と交戦中です」

「衛兵や警邏は民を安全な場所まで避難誘導しろ! 万が一のことを想定して冒険者ギルドと連携をとることも忘れるな!」

「はっ!!」

衛兵が謁見の間を出て行く。

「ドラゴンたちだけで片が付くならよし。 そうでなければ・・・」

そこに先ほどとは違う衛兵が部屋に入ってくる。

「王様! 大変でございます! ドラゴンが金属の蜘蛛に苦戦しております」

「そうか・・・」

ラッグズはその報告を受けると二振りの剣を腰に身に着ける。

「わしが打って出る。 民を避難させろ。 最悪の場合は国を放棄してでも民を守るんだ」

「それなら我らが・・・」

「ドラゴンが苦戦する相手ではお前たちでは荷が重すぎる。 ここはわしが出るしかあるまい」

「わ、わかりました」

「では、頼んだぞ」

ラッグズは衛兵から聞いた場所に急いで向かう。

そこにはドラゴン2匹と蜘蛛ロボットが戦っている。

戦況はドラゴン2匹にとって芳しくない。

「すまぬ、遅れた」

『気を付けるがいい。 あの蜘蛛尋常ではない強さだ』

『油断すると我らのようになるぞ』

ラッグズは自らの愛用しているオリハルコンの剣を抜くと改めて蜘蛛ロボットを見る。

「む、あの蜘蛛のボディ・・・オリハルコンとは厄介な」

ドラゴンが牽制するように攻撃するとその隙をついてラッグズは剣で蜘蛛を攻撃する。

ガキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

蜘蛛ロボットは危険と感じたのか金属の盾を生み出してラッグズの攻撃を回避する。

「この蜘蛛金属を生成できるのか?」

ラッグズの攻撃は金属の盾を破壊するも威力が落ちてしまい、蜘蛛ロボットはその隙に間合いから退避した。

2度3度攻撃するも蜘蛛ロボットは金属の盾を生成して難を逃れる。

「これでは埒が明かないな」

ラッグズは愛用しているオリハルコンの剣を鞘に納めるともう1本の剣を鞘から抜く。

それは愛用している剣と同じオリハルコンでできたものだ。

見た目は先ほどの剣と変わらないが1ヵ所だけ違うところがある。

それは柄だ。

ラッグズは魔力を放出すると剣から光が溢れ出た。

『!!』

「いくぞ!」

ラッグズは蜘蛛ロボットに接近して攻撃を繰り出す。

蜘蛛ロボットは危険と察知して【空間魔法】で転移した。

だが、ラッグズの1撃は空間を斬り裂いて、その先にいる蜘蛛ロボットの身体に直撃する。

バキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

蜘蛛ロボットは転移した先で身体を維持できなくなって、その場で崩壊した。

しばらく周辺を確認すると蜘蛛ロボットの残骸が発見される。

「どうやら無事に討伐できたようだな」

ラッグズは剣を鞘に納める。

その剣は遥か昔にダンジョンより見つかった伝説級の武器だ。

魔力を流すことで1ランク上の攻撃ができる魔法武器でもある。

今のラッグズでも作ることができない1品で、これと同じものを作ることがラッグズの生涯の夢でもある。

ラッグズは衛兵たちに蜘蛛ロボットの残骸を回収させて、民の安全確認に戻ったのであった。






エルフの隠れ里───

エルフたちは今日も里の外で外部からの侵入者に目を光らせていた。

森の中では魔物たちがいつも通り跋扈している。

そこにはいつもと変わらない日常があるはずだった。

「今日も暇だな」

「おい、油断するなよ」

「そうはいってもな・・・」

里の見張りをしているエルフたちが雑談をしている。

「気持ちはわかるが今は仕事中だということは忘れるな」

「はぁ、わかっ・・・」

「グアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!!!!!!」

「ギャアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーッ!!!!!!!」

森の中から突然魔物の断末魔が響くとエルフたちは顔を見合わせる。

「おい、今の・・・」

「ああ、ただ事じゃないぞ」

「俺は様子を見に行くから長老に報告してきてくれ」

「わかった」

エルフたちはそれぞれの役割を担うと行動を開始する。

1人のエルフは木の上を伝って魔物の断末魔がしたところへと移動した。

「ん? 何だあれは?」

エルフが見たのは全身金属でできた蜘蛛が魔物たちを虐殺しているところだ。

この森の魔物は徒党を組むとそれなりに厄介なのだが、蜘蛛ロボットはそれをものともしない。

木に隠れて様子を見ていたエルフ。

「やばい、あれはやばすぎる」

エルフはその場から離れるとすぐに里に戻る。

里の入り口に戻るとそこにはエルフの女長老エレンミィアを始め精鋭部隊が集結していた。

「長老! 大変です! 森の中に全身金属でできた蜘蛛が魔物たち相手に暴れております!」

「なんですって?!」

「長老、ご判断を」

「・・・まずは相手を見ないことには始まらない。 皆気を引き締めなさい」

「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」

エレンミィアは部隊を引き連れて蜘蛛ロボットのところまで向かう。

ある程度近づくと蜘蛛ロボットがゴブリンやオークなどの魔物たちと未だに戦っていた。

「あれが例の蜘蛛ですか・・・」

「長老、どうしますか?」

ゴブリンやオークが手に持っているナイフや棍棒での攻撃を受けても蜘蛛ロボットは痛痒していない。

「あの硬度からして並みの攻撃では通用しないでしょう」

エレンミィアは部隊に試しに弓矢での攻撃と【風魔法】による攻撃を命じた。

しかし、どちらも蜘蛛ロボットのボディに傷一つ負わせられない。

「皆ここは一旦引きます」

「! 長老、このまま放置するのですか?」

「放置はしません。 ここで交戦するのは不利と判断したのです」

それだけいうとエレンミィアは部隊を引き連れて蜘蛛ロボットから離れた。

エルフたちは【風魔法】を発動して上空2000メートルを超えたところで停止する。

「ここら辺でいいでしょう。 風の精霊よ。 私の声に応じて現したまえ」

エレンミィアは風の精霊を召喚すると彼女の周りに薄い緑色の光が無数に現れた。

『どうされました、召喚主(マスター)

『遥か地上にいるあの金属でできた蜘蛛のところまで風の抵抗をなくしてもらえないでしょうか?』

『わかった。 ちょっと待ってね』

呼び出された精霊は蜘蛛まで空気抵抗をなくす。

『これでどうかな?』

『ありがとうございます。 その状態で少々お待ちください』

エレンミィアは精霊に礼を言うと部隊に声をかける。

「皆矢を番え。 目標は地上にいる金属の蜘蛛・・・撃て!!」

エルフたちは全員弓と鉄の矢を持つと地上にいる蜘蛛ロボットに照準を合わせてから矢を放つ。

本来であれば放たれた矢は空気抵抗を受けてある一定以上になると速度が固定されるが、精霊の助力で空気抵抗をなくしたことにより速度の上限が取り払われる。

さらに重力が加わることでエルフたちが放った矢はぐんぐんスピードを増していき、地面に辿り着く頃にはとんでもない速度になっていた。

硬度として劣る鉄の矢だが、空気抵抗のなさと加重、さらに鏃の尖端の鋭さによりオリハルコンでできたボディを次々と貫通していく。

突然の上空からの攻撃に蜘蛛ロボットは身体中を射抜かれて成すすべもなくその場に倒れた。

「撃ちかた止め! 状況を確認しなさい」

エルフの1人が遠視を使って地上の蜘蛛ロボットを確認する。

「長老、蜘蛛に動きはありません」

「ご苦労様」

エレンミィアは精霊に声をかける。

『無事目標を達成しました。 ご助力感謝します』

『それじゃ、僕らは帰るよ』

エレンミィアに別れを告げると精霊がその場から消える。

「皆の者、ご苦労様です。 これよりあの蜘蛛が何かを調べます」

エルフたちは無残な姿を晒している蜘蛛ロボットのところに降りて行った。






獣王国───

王城の一室、そこでは王国から派遣されてきた臨時の連絡要員である人間族たちが仕事をしていた。

「今日も獣王国は問題なさそうだな」

「ああ、もうかれこれ1ヵ月以上経つけど『この手に自由を(フリーダム)』という組織が攻めてくる気配はないようだな」

派遣されてきた人間族たちは獣王国でののんびりした生活にすっかり慣れてしまった。

ここ(獣王国)いいよなぁ。 物価は安いし食べ物は美味いし何よりケモ耳美女・美少女が多い」

「そうだな。 タイミュー女王陛下可愛いよな」

「ああ、俺もあんな彼女が欲しい」

「俺もだ」

男性たちが話していると近くにいた女性たちが汚物を見るような目で男性たちを見た。

「あーやだやだ男ってみんなあんな感じだものね」

「本当最低だよね。 死ねばいいのに」

女性たちが男性たちに殺気を放っているとそこにタイミューが現れる。

「ミナサン、オツカレサマデス。 キョウモモンダイアリマセンカ?」

「タ、タイミュー女王陛下! も、問題ございません!」

「ソウデスカ、ソレハヨカッタデス。 ナニカアリマシタラ・・・」

突然外から大きな音が聞こえてくる。

「コレハソトデナニカアッタヨウデス。 ミナサン、イッショニツイテキテクダサイ」

「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」

タイミューは人間族たちを連れて謁見の間に戻った。

しばらくそこで待っていると衛兵がやってくる。

「タイミューサマ、タイヘンデス! トシノソトニキョダイナクモガイマス!」

「クモ?」

「すまない、特徴を教えてくれないか?」

「エット・・・キンゾクミタイニヒカッテイマシタ。 アト、ソトノドラゴントオナジツヨサヲモッテイマス」

それを耳にしてその場にいた者たちは驚く。

「ドラゴンと互角だって?!」

「そんなのが攻めてきたの?」

「おい、今すぐ王国に連絡しろ! 俺は外にいる蜘蛛がどんなものか確認してくる!」

「わかった!」

人間族たちは謁見の間を出ると、外にいる蜘蛛ロボットについての詳細を調べに行く者と、母国に連絡するべく急いで部屋に戻る者に分かれて行動を開始した。

「ワタシモカクニンシニイキマス」

「タイミューサマ! キケンデス!」

「ドラゴントオナジツヨサナラドコニイテモオナジデス」

タイミューは1度自室に戻ると戦闘服に着替えて、シフトからもらった龍鱗の剣を腰に差して龍鱗の爪を手に嵌めると王都の外へ急いで向かう。

現場に辿り着くとドラゴン2匹と蜘蛛ロボットが戦っていた。

「ダイジョウブデスカ?」

『ああ、なんとかな』

『気をつけろ。 この蜘蛛、強いぞ』

「ワカリマシタ」

タイミューは【雷魔法】を発動して自身の速度を極限まで上げた。

「マズハコレデヨウスヲミテミマス」

蜘蛛ロボットに一瞬にして近づくとタイミューは龍鱗の爪で攻撃する。

バキンッ!!

「エ?」

空中に何かが飛んでいる。

ドンッ!

タイミューは地面に落ちたものを見てみるとそれは蜘蛛ロボットの首だった。

「エ? エ? エ?」

あまりのことについていけないタイミュー。

シフトにより潜在能力を引き出されたことにより【雷魔法】がより強化された。

それにローザの作った龍鱗の爪は想像以上に強力で【雷魔法】との相性も抜群だ。

『おお、やるな』

『俺たちが梃子摺っていた奴を1撃でしとめるとは大したものだ』

ドラゴンたちはよくやったとタイミューを労う。

当の本人であるタイミューはというと、様子見の攻撃で倒してしまい困惑していた。


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