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366.苛烈なる攻防

決闘を申し込まれた翌日───

太陽が東の空に昇る頃、シフトはルマたちとともに自分が指定した草原に向かうとそこにはすでにフライハイトがいた。

「やぁ、待っていたよ」

フライハイトはあくまでもフランクにシフトと接する。

「待たせたようだな」

「気にしてないよ」

シフトはルマたちのほうを向くと声をかける。

「それじゃ、行ってくるよ」

「ご主人様、お気を付けて」

シフトはフライハイトのほうへと歩いていく。

距離にして10メートルのところまでくると立ち止まる。

シフトとフライハイトは示し合わせたように鞘から武器を抜く。

奇しくもお互い手にした武器はナイフだった。

違いはシフトが龍鱗のナイフに対して、フライハイトはオリハルコンのナイフだ。

「さて、始めようか」

「ああ」

両者ともに身構えるとそのまま動きを止める。

シフトとフライハイトの視線がぶつかりあう。

「「・・・」」

無言のまま時間が過ぎていく。

それはほんの数秒だが、2人にとっては何分とも何時間ともとれる感じがしていた。

そこに一陣の風が流れ込んでくる。

最初に動いたのはフライハイトだ。

持っているナイフでシフトを攻撃する。

ガキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

フライハイトの攻撃をシフトは自分のナイフでしっかり受け止める。

「へぇ、僕のオリハルコンのナイフを防ぐとは中々の強度を誇る武器(ナイフ)だね」

「当たり前だ。 これはローザの力作だからな。 そう簡単には壊れないさ」

フライハイトは力で押そうとするがシフトの腕力には敵わず、逆に押され始めている。

「くぅっ!」

少しずつ押され始めて不利と感じたフライハイトは無理せずに引いて後退した。

「力で負けるなら・・・速さではどうだ?」

フライハイトは手数を生かす戦いへと変更した。

ナイフで突くもシフトはすべて躱していく。

ガキイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

一瞬の隙をついてフライハイトのナイフを弾くと今度はシフトが攻める。

攻守が逆転してシフトのナイフを必死で避けるフライハイト。

なんとかシフトの攻撃の間合いから出ることに成功する。

「ふぅ・・・ここまで力の差があるとは・・・参ったね・・・」

「・・・」

序盤の攻めは完全にシフトが圧倒していた。

「ならば・・・次はこういうのはどうかな?」

フライハイトは次なる一手を繰り出してきた。

地面に手で触れるとそこからアイアンゴーレムが2体出現する。

「あっ! あれはあの時のっ!!」

「鉄のゴーレム」

ベルとフェイがアイアンゴーレムを見て驚いていた。

シフトはアイアンゴーレムに攻めこもうとしたが、すぐにその場から横に飛んだ。

その直後風を切る音がした。

ブウウウウウゥーーーーーン!!

今までいた場所のうしろから3体目のアイアンゴーレムが突然現れて不意打ちをしたのだ。

もし、真面に食らっていたら普通の人間なら即死確定である。

シフトは体勢を立て直すとすぐに周りを確認した。

フライハイトと不意打ちをしたアイアンゴーレムしかいない。

最初に出現したアイアンゴーレム2体がどこかに消えた。

シフトは素早くその場で屈む。

すると両脇からアイアンゴーレム2体の拳が飛んできてお互いの拳が身体にぶつかると、その反動で背中からうしろに倒れた。

ズウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーン!!!!!!!

ズウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーン!!!!!!!

アイアンゴーレム2体は身体を起こす前にその場から消える。

シフトは起き上がると注意深く周りを確認していく。

「そこだっ!!」

シフトは自分の立ち位置から4時と8時の方向からアイアンゴーレム2体の拳が飛んできたのを躱すと龍鱗のナイフでアイアンゴーレムを斬った。

片腕片脚を斬られた2体のアイアンゴーレムはバランスを崩してその場に倒れ込む。

そこにゴーレムの核を狙ってシフトはナイフが振り下ろす。

パリイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

1体目のゴーレムの核を破壊すると続けて2体目のゴーレムの核を狙う。

パリイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

2体のアイアンゴーレムはその場で動きを止めて停止する。

3体目のアイアンゴーレムが正面から殴りかかってきた。

シフトはそれを躱して攻撃に転じようとする。

しかし、そこで思いがけない攻撃が待ち構えていた。

ドゴオオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーン!!!!!!!

シフトが攻撃するよりも早くアイアンゴーレムの身体から別の何かが襲ってきたのだ。

「!!」

「ご主人様っ!!」

「危ないっ!!」

ローザとユールがシフトの危機に叫んでいた。

アイアンゴーレムはその何かの一撃で身体が爆散して鉄塊がシフトを襲う。

シフトはその場から全速力で離脱することで辛うじて直撃を受けずに済んだ。

「ふぅ・・・危ないな・・・」

アイアンゴーレムを爆散させた何か。

それはミスリルでできたゴーレムの拳だった。

「君のことだからアイアンゴーレムでは力不足だと思ってね。 ミスリルゴーレムを呼び出したんだ」

「まさか僕を油断させるためにアイアンゴーレムを捨て駒に使うとは・・・」

「このぐらいしないと君には勝てないからね」

ミスリルゴーレムはアイアンゴーレムよりも少し速く、力の入った攻撃を繰り出してくる。

その攻撃は先ほどのアイアンゴーレムを1撃で粉砕するほどの威力だ。

「続けていくよ」

それだけいうとフライハイトはさらに2体のミスリルゴーレムを追加する。

シフトは3体のミスリルゴーレムの攻撃を次々躱していく。

厄介なのはフライハイトの意思でミスリルゴーレムを出したり消したりするところだ。

ミスリルゴーレムを放っておいてフライハイトを攻撃しに行こうとすると死角から攻撃が飛んでくる。

かといってフライハイトを放っておくとミスリルゴーレムの攻撃が苛烈になっていく。

(このまま攻撃されるのも癪だな)

シフトは地面に転がっているアイアンゴーレムの欠片を見た。

(僕からも仕掛けるか)

ここでシフトも反撃に出る。

シフトは【念動力】を発動するとアイアンゴーレムの欠片をフライハイトに向けて飛ばした。

「!!」

突然襲ってきた鉄塊にフライハイトは驚く。

迫りくる鉄塊を防ぐべくフライハイトは意識を集中した。

するとシフトに襲い掛かっていた3体のミスリルゴーレムのうち1体が突然消える。

それと同時にフライハイトの前に1体のミスリルゴーレムが突如現れた。

ガン!!

ミスリルゴーレムがその身を盾にして鉄塊からフライハイトを守った。

「うわぁっ! 危なかった・・・」

もし、ミスリルゴーレムで身を守っていなければ今頃は直撃していただろう。

当たり所が悪ければ即死もあり得る。

シフトはお返しとばかりに【念動力】でアイアンゴーレムの欠片をフライハイトに向けて次々と飛ばしていく。

ガン!! ガン!! ガン!! ・・・

フライハイトもさすがに鉄塊の直撃はまずいと残り2体のミスリルゴーレムを戻して盾にする。

強度的にはミスリルのほうが上でも鉄塊を受け続けて少しずつ身体を削られていく。

爆散したアイアンゴーレムの欠片がなくなり始めたので、核を潰したアイアンゴーレムを龍鱗のナイフを使って素早くバラバラに切り刻んで追加の鉄塊を作り出す。

もうすぐ終わると油断していたフライハイトは叫ぶ。

「ちょっと! そんなのありか?!」

「何を言う。 最初にあれ(アイアンゴーレム)を使ってきたのはお前だろ?」

フライハイトの苦言をシフトは一蹴する。

そのあともシフトは【念動力】で鉄塊を飛ばし続け、フライハイトをその場で釘付けにした。

すべての鉄塊がなくなり攻撃が止んだが、フライハイトを守っていたミスリルゴーレムもすでにボロボロだ。

「まさか僕のゴーレムを利用されるとは思わなかったよ」

「ゴーレムに頼っている限り僕は倒せない」

「そうだね。 たしかに君の言う通りだ。 なら、僕も本気で戦うとしよう」

フライハイトはミスリルゴーレムを消すとオリハルコンのナイフを構える。

それに合わせてシフトも龍鱗のナイフを構えた。


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