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209.Vsギャンザー? 〔無双劇43〕〔※残酷描写有り〕

ギャンザーの身体は肌色から青黒い色へと変色する。

目は紅から黒へと変わったが、瞳孔は血のように紅いままだ。

『さて、まずは手始めにお前を殺すか』

ギャンザーなる者は右手を上げると剣を引き寄せた。

シフトはナイフを抜くと質問する。

「お前は何者だ?」

『俺か? 俺の名前はカトイルだ。 ああ、覚えなくてもいいぞ。 どうせお前はここで死ぬんだからな』

カトイルは剣を上段に構えると突進した。

『死ね!』

シフトは【五感操作】を発動してカトイルの距離感や平衡感覚を狂わす。

カトイルはそのまま剣を振り下ろした。

その剣は無情にもシフトの横を通り過ぎていく。

その直後に上空から同じような斬撃が何十とシフトに降り注いだが、どれもシフトにかすりもしなかった。

その隙にシフトはカトイルの左肩をナイフで刺す。

刺さったところからは蒼い血が流れるが痛みを口にしない。

カトイルは傷ついた左手を前に出すと【火魔法】を発動し、火球をシフトに向けて放つ。

その数はギャンザーと同じ20個でそれらが目の前のシフトに襲い掛かるがすべて横に逸れていく。

カトイルが放った火球はシフトが張った結界に次々と当たると炎が爆ぜて爆音が鳴り響いた。

『ほう・・・宿主が攻撃してきた時と同じように避けた? いや、俺が攻撃を外したか』

カトイルは今の攻撃でシフトの【五感操作】を見破った。

『中々やるではないか。 さぁ、もっと俺を楽しませてくれよ』

シフトはナイフを抜くとカトイルは素早く後ろへと距離をとる。

『さて、次は躱せるかな?』

カトイルは魔力を放出すると周りに転がっている剣やナイフ、槍に斧などが宙に浮く。

【次元遮断】を発動させたときは生者はシフトとギャンザー(カトイル)だけだったが、シフトが倒した死者の遺体はそこら中にある。

当然武器もそのままだ。

カトイルは武器を魔力で操ることでシフトに攻撃するつもりだ。

剣を先ほどと同じように上段に構えた。

『くっくっく・・・死ぬがいい』

カトイルは目を閉じてから腕を振り下ろす。

それと同時に宙に浮いていた武器たちが一斉にシフトに振り下ろされたり、飛んできたりした。

カトイルが操っている武器たちは正確にシフト目掛けて飛んでいく。

【五感操作】では避けられないのでシフトは自ら動いて回避に専念する。

カトイルの攻撃は目が見えない分雑だが、シフトを動かしたことと体力を消耗させることには成功した。

もっともシフトの莫大な体力を削るには程遠い攻撃ではあるが。

シフトは武器を躱しつつカトイルに近づくとナイフで心臓を狙う。

バチイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

カトイルの一歩手前でナイフが見えない壁にぶつかる。

『くっくっく、そうくると思ったぜ』

カトイルはこうなることを予想して結界を張っていた。

『さぁ、串刺しになるがいい』

カトイルに操られた武器たちがシフトに襲い掛かる。

シフトはカトイルの結界に手で触れると【次元干渉】を発動した。

パリイイイイイイイィィィィィィィーーーーーーーン!!!!!!!

カトイルが展開した結界は見事に粉々に破壊された。

そのあとは冷静に飛んでくる武器と武器の隙間を縫うように避けていく。

カトイルは結界が破壊されたことに驚き目を開ける。

『?!』

だが、カトイルの目には何も見えていなかった。

それもそのはず、シフトはカトイルが目を閉じたときに【五感操作】を発動してカトイルの視覚を剥奪しておいたのだから。

これは帝国の皇帝グランディズと戦った時に弱点の1つとして学んだことだ。

その教訓を生かしてもし目を閉じたら視覚を奪うことにした。

その効果は絶大でカトイルは視力を失い、目の前で何が起きているかわからない。

シフトが避けた武器たちの迫りくる音だけが聞こえてくる。

慌てて再度結界を張ろうとするが時すでに遅し。

ザクッ!!

カトイルは自分が操った槍の先端が右肩に刺さる。

そこからは蒼い血が流れた。

『なんだと?!』

ザクッ!! ザクッ!! ザクッ!!

剣やナイフ、槍に斧の刃先が次々とカトイルの身体に刺さっていく。

刺さる度に傷口から蒼い血が飛び散る。

『早く避けなければ・・・』

ザクッ!! ザクッ!! ザクッ!! ザクッ!! ザクッ!! ザクッ!! ザクッ!! ・・・

その後もカトイルの身体に武器が次々と刺さり、その威力に耐えきれずに吹っ飛ばされ、仰向けに倒れた。

カトイルの身体は数えきれないほどの刃が突き刺さり、そこからは蒼い血が流れ続けている。

『おのれ! 許さんぞ!!』

人間では即死級の攻撃だがカトイルは生きていた。

立ち上がろうとするカトイルだが、シフトは右肩の槍を地面に深々と押し込む。

これで立ち上がることはできない。

「まだ生きているか。 その状態で何ができる?」

『かくなる上は貴様も道連れだ!!』

カトイルは両手にそれぞれ【火魔法】を発動させると限界以上の魔力を注ぐ。

限界を超えた魔力は制御できず暴走した。

『くっくっく・・・逃げられるものなら逃げてみろ! 言っておくが俺の魔力は宿主の魔力とは桁が違うぞ!!』

「逃げなくてもなんとかなるさ」

シフトはカトイルの左腕を掴むと【次元干渉】を発動し、暴走した魔力に干渉して霧散させた。

『?!』

同じようにカトイルの右腕を掴み暴走した魔力に干渉して霧散させる。

『バ、バカな?! 魔力の暴走を止めただと?!』

「ほら言ったとおりだろ?」

『お、おのれ!!』

カトイルは藻掻くがすでに生命力も魔力も体力も底を尽きかけていた。

『くっ! こんなところで俺が負けるはずがないっ!!』

「よせ、もうお前には僕を倒す力はない」

『俺がこんな雑魚に負けるはずがないっ!!』

カトイルが何かする前にシフトはナイフで斬首する。

『っ?! うごぅっ! お・・・おの・・・れ・・・』

シフトは懐にある[鑑定石]でカトイルを調べるとそこには生命力:0、状態:死亡と表示されている。

カトイルの生命力が失ったことにより肉体が塵となりこの世から消滅した。

「・・・バカだな、ギャンザー。 最後には塵一つ残さずにこの世を去るとは・・・」

シフトとしては散々目の敵にされて迷惑至極だが、それでもベルの実父だ。

ベルが悲しむからできれば殺さずに生かして和解への道を模索したかった。

ギャンザーは自分自身で破滅の道を歩いていき、自ら崖っぷちに追い詰め、最後には足を踏み外して奈落の底へと落ちていく。

どうしようもなくバカな男だ。

「・・・僕にとっては1つの因縁が終わったけど・・・ベルだけでなくグラントにベルの姉リーンさんや母親クローシュさんにこのことを報告しないとな」

グラントはともかくベルやその家族に報告するのは正直気が引ける。

とはいえ、シフトとしてはもう2度と関わることがないので気が楽になった。

「それにしてもギャンザーを乗っ取ったあれ(カトイル)は何だったんだ?」

シフトは近くの目を開いて死んでいる者たちを見た。

その目は血のような紅い目をしている。

「何かに憑依されて乗っ取られたのかな?」

考えられるのは召喚師(召喚士)、降霊師(降霊士)、呪術師(呪術士)くらいかな?


・召喚師(召喚士)は英霊や精霊などを呼び出して、一時的に力を借りる

・降霊師(降霊士)は自分自身を対象として、一時的に英霊や精霊などを降臨させる

・呪術師(呪術士)は呼び出した英霊や精霊などを、第三者へ一時的に付与する


まず、その場限りの契約しか受け付けない召喚師(召喚士)は除外する。

次に、降霊師(降霊士)だがギャンザー自身がスキルを身につけてあれ(カトイル)を呼び出したモノとは考え難い。

最後に、呪術師(呪術士)だが第三者があれ(カトイル)を呼び出してギャンザーに憑依させたと考えるのが妥当だろう。

そして、そんなことをする連中といえば・・・

「『この手に自由を(フリーダム)』か・・・はぁ、毎度毎度僕たちの前によく現れるなぁ・・・」

シフトは溜息を吐いた。

できればここらで絶縁したいが、フライハイトを始めとした構成員がどこにいるのかわからない。

「向こうから来なければ放っておくんだがな・・・それは置いといて、ルマたちのほうが心配だ」

シフトは考えるのを止めて、結界を解くとルマたちのところに移動するのであった。


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