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19.夜伽の相手は誰ですか?

ルマたちにプロポーズの余韻を浸らせてあげたいが今後について話さなければならない。

「みんな、まだ話の途中なんだけど・・・」

ルマたちは慌ててシフトから離れて謝罪した。

「! し、失礼しました!! あまりにも嬉しかったもので・・・」

「ごめんね。 まだ大事な話があるからもう少しだけ我慢して」

「「「「「はい、ご主人様!!!!!」」」」」

「まず、明日だけどみんなの武器防具の調達と冒険者ギルドに行って冒険者の登録および身分証の作成を行う」

「冒険者?」

「不安か? ベル」

「ベルは外のことがわからないので・・・」

ベルは先ほど目が見えるようになったばかりだ。

不安になるのは仕方がない。

「安心しろ、最初から危険なことをするつもりはない」

「・・・わかった。 頑張る」

ベルを安心させるために頭をなでる。

「登録が済んだら、ギルドで簡単な依頼を受けてみんなの(スキル)レベルをアップさせる予定だ。 何か質問はあるか?」

シフトの問いかけにローザが質問する。

「ギルドの依頼は何を予定しているのですか?」

「依頼次第だができれば薬草の採取か、低レベルモンスターの討伐あたりを受けたい」

「わかりました」

「話は以上だ。 みんなは何か聞きたいことはあるか?」

ルマがおずおずと手を挙げて質問する。

「あの・・・ご主人様」

「ん、どうしたんだ? ルマ」

「ご主人様のその・・・顔の傷は治らないのですか?」

ルマは自分が全身火傷で嫌な思いをしていたので、今更ながらシフトの顔の傷も気になってしまったのだ。

その指摘にベルたちもシフトの顔を見てバツの悪そうな顔をする。

「ベルも目が治ったことで浮かれてた」

「わたしも右腕が元に戻ったから忘れていたな」

「ぼくも右足が生えてビックリしてたから・・・」

「その顔の傷とても痛そうですわ」

「私たちに与えてくださったポーションではその・・・ご主人様の傷は治らないのですか?」

「「「「・・・」」」」

ルマたちは自分たちのために貴重なポーションを分け与えたのだと勝手に勘違いしていた。

「大丈夫だよ、みんな。 僕は怪我なんてしていないんだ。 今みんなが見ている僕の顔はスキルによるものだ」

打ち明けるとルマたちは驚いてシフトに近づいて顔の傷を触った。

「ちょ?! みんな・・・」

「この傷本物ですよ」

「カサカサしてる」

「とても偽物とは思えないな」

「触感は裂傷とかわらないよ」

「私の【治癒術】で・・・」

ユールが【治癒術】を使用する。

顔が暖かい光を受けるが、傷は治らなかった。

「そんな・・・治らないわ」

ユールは自分の力では治せないことに嘆いた。

「みんな落ち着いて、ちょっと待ってね」

シフトは容姿と髪と目の【偽装】を解除する。

「これが僕の本当の姿だよ」

「「「「「!!」」」」」

あまりの容姿の変貌にルマたちは驚いて声が出ないようだ。

ルマたちはまた顔を触ってきた。

「え・・・っと」

「傷がないです」

「ツルツルしてる」

「先ほどの傷の感触が嘘のようだ」

「騙されてる感じがするよ」

「触感を騙すなんてすごいスキルですわ」

「ご主人様、そちらの顔や容姿の方が断然良いです!!」

「「「「!!」」」」

ルマが素の容姿を褒めるとベルたちも首を縦に振って応える。

が、シフトは首を横に振る。

「みんなの気持ちは嬉しいけどね・・・」

シフトは部屋に備え付けられた鏡の前まで行くと【偽装】を発動し、先ほどまでの容姿に変えた。

「「「「「ああぁ・・・」」」」」

ルマたちからはこの世の終わりみたいな悲鳴が聞こえた。

「みんなを騙すつもりはなかったんだけど、僕としてはこっちの方が好都合なんだ。 わかってくれるかい?」

「うううぅ・・・ご主人様がそう仰るなら・・・」

「でも傷ついた顔のご主人様もかっこいい」

「そうだな。 今更ながら惚れ直してしまう」

「ぼくとしては素顔がいいけどね」

「どちらの顔でもわたくしは構いませんわよ」

ルマたちは残念と思いながらもシフトの思考を尊重した。

「うん、ほかに聞きたいことはあるか?」

フェイが元気よく手を挙げて質問してきた。

「はい!! 今日の夜伽は誰にしましょう。 ぼくならいつでもいけます」

「「「ぶうううううううぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーっ!!!!!!!」」」

「ちょっと、フェイ!!」

「? 夜伽?」

フェイの言葉に息を噴き出したのが3人、呆れるのが1人、わからないのが1人。

疑問に思ったベルがフェイに質問する。

「フェイ、夜伽ってなに?」

「ベルちゃん、夜伽は夜寝るときに異性と裸のコミュニケーションをとることだよ」

「フェイ! 何をベルに吹き込んでいる!!」

「ローザちゃん、事実は教えてあげるべきでしょう?」

「確かに事実だがもっとオブラートに包んで言え!!!」

「?」

フェイの答えにベルは未だに理解できていないようだ。

「ベルちゃんに合わせた言い方だと、ご主人様であるシフト様とベルちゃんが裸になって一緒に寝るの」

「フェイ!!!」

「ご主人様と一緒に寝る・・・ベルも、ベルも夜伽したい!!」

シフトと仲良く寝るのを想像したベルが夜伽に参戦すると言い出した。

「はぁ・・・それならわたしも夜伽に立候補する」

ローザも呆れているがちゃっかり参戦を表明する。

「ちょっと3人ともずるいですわよ」

「2度もキスした人には言われたくありません」

ユールが抗議するもフェイが牽制する。

幸せそうな妄想をするベルの隣りでユール対ローザ&フェイの口論が勃発した。

(この状況、どうしたものかな・・・)

シフトが思考に耽っていると意外なところからアプローチがあった。

ルマがシフトの服を掴むと瞳を潤ませながら上目遣いに見てきたのだ。

その顔は林檎のように紅く染まっていた。

「? ルマ?」

「ご、ご主人様、わ、私とよ、夜伽を・・・」

ルマのその目、その表情、その仕草、そしてその言葉・・・あまりにも可愛すぎる!!!

(ちょっと、ルマ!! それは反則だろ!!!)

シフトの中では『理性』よりも『ルマと夜伽』の方に天秤が傾き始めたその時、

「ちょっと、ルマさん!! 何誘惑しているんですか!!!」

ユールが横槍をいれてきたのだ。

「ルマちゃん、女には負けられない戦いがあるんだよ!!」

「ルマ、悪いが今回は譲れないよ!!」

「ご主人様、ベル、ご主人様と寝る」

敵対していたローザとフェイ、それと現実に戻ってきたベルも混ざる。

5人が5人とも自分を主張し、牽制しあっているカオスな状態だ。

(これは収集つかないか・・・仕方ない・・・)

シフトはこの状況を終わらせるべく発言する。

「みんな聞け!! ルマ、ベル、ユールの3人はこっちのベッド! ローザとフェイでもう1つのベッド! で、僕はソファーで寝る!!」

「ご主人様がソファーでは・・・」

抗議しようとしたルマの言葉を遮る。

「これは命令だ!!!」

「「「「「・・・はい・・・」」」」」

残念だけどこれで良かったんだと自分に言い聞かせるのだった。


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