182.ボスラッシュ 〔無双劇38〕〔※残酷描写有り〕
シフトの目の前に現れたのは1匹の金の蛇だ。
だが、それだけではなく後ろから猪、鼠も現れた。
それぞれ金の身体をしている。
明らかに魔獣ではなく、どちらかといえば金属生命体だ。
蛇たちは一斉にシフトに襲い掛かる。
その中でも金の蛇がとんでもない速さでシフトに近づいて牙で噛もうとするがシフトは難なく避けた。
シフトは攻撃を躱しながら叫んだ。
「おい、なんだあれ?! すでに魔獣じゃないだろ?! それにエリアボスを同時に3体も相手にしろというのか?!」
『お前のために特別に作ったモノだ。 もちろん今までお前たちが倒した魔獣など比べモノにならないほど強化してある。 通常の魔獣の5倍だ。 それと1匹だけでは不足だろ? お前なら3匹同時にしても問題ないだろう』
水晶玉が律儀に教えてくれる。
「ふざけるな! 理不尽すぎるだろ?!」
シフトは文句を言いながらナイフを引き抜くと金の蛇の攻撃を躱しつつ身体にナイフを突き立てる。
ザクッ!!
刺さることは刺さるが深くまで刺さらない。
ローザ作のミスリルのナイフでも金の蛇に攻撃が通用するのを確認するがそれほどダメージを与えられないようだ。
「ちっ!!」
金の猪が金の蛇を巻き込む形で突進してくる。
シフトは【五感操作】を発動して平衡感覚や距離感を狂わせてみるが、真正面から金の猪と金の鼠は平然と襲い掛かってきた。
「本当に効かないのかよ」
シフトは金の蛇からナイフを抜くと金の蛇は凄まじい速さでその場を離れた。
金の猪が突っ込んでくるので空いている片手でその突進を受け止める。
ズザアアアアアァーーーーー!!
普段の5倍の強さというだけあり魔獣ではシフトを動かすことができなかったのに対して、この金の猪はシフトを後退りするほどの力があった。
ある程度後退りすると金の猪の突進力がなくなり、それ以上後ろへ動かすことはできない。
そこに金の鼠が死角からシフトを襲う。
シフトは金の猪の角を掴むと金の鼠のほうへ投げた。
その体格故に避けられずぶつかってしまう。
追撃しようとすると金の蛇が再びシフトに襲い掛かってきた。
シフトはナイフの魔石に魔力を流すと火を纏わせる。
「!!」
金の蛇は高温を検知してか途中で攻撃を止める。
シフトは長期戦は不利と悟り【空間収納】を発動するとミスリルでできた剣、槍、斧、鎌を出して地面に置く。
その間に金の猪と金の鼠も体勢を立て直してシフトを見ている。
しばらく膠着状態だったがナイフの火が消えると金の蛇が真っ先に突進してきた。
シフトはナイフを鞘に収めるとミスリルの鎌をとり、迫りくる金の蛇を鎌で一閃する。
金の蛇は斬撃により首を刎ねられるとそのまま光の粒子になって消えていく。
残念ながらアイテムは落ちてはいない。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たな金属生命体が出てきた。
「えぇ・・・鼬が出てきたよ・・・たしか風を使ってきたはず」
そこには金の鼬がいた。
どうやら欠員が出ると補充されるようだ。
金の鼬は【風魔法】で風の刃を放つとシフトを斬り裂こうとするが、シフトはその場から素早く離れたことにより風の刃を躱す。
金の猪はシフトめがけて突進してくる。
金の鼠も死角から攻撃しようと回り込んだ。
「この中で先に倒すべきは・・・もちろん鼬だろう」
厄介な敵から倒すのは戦闘の常識である。
この場合は【風魔法】が厄介なので先に金の鼬を潰すべき対象だ。
シフトは金の猪に突進するとギリギリのところで躱して、その巨体を生かして金の鼬から姿を晦ました。
突然姿を消したシフトに金の鼬はキョロキョロと辺りを見渡す。
「僕はここだよ」
金の鼬が後ろを振り向くよりも早くシフトの鎌が脳天に命中し、そこから背中に向けて掻っ捌く。
「ガーッ!!」
断末魔の叫びをあげると金の鼬は光の粒子になって消えていく。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の鹿が出てきた。
「鹿か、楽できそうな相手で助かった」
シフトは金の鹿を無視して、次に狙いをつけたのは金の鼠である。
探すべく周りを見ると金の猪が突進してきた。
その後ろにピッタリと金の鼠が並走している。
シフトは鎌を上段に構えると突進してきた金の猪を跳躍して躱し、同じく跳躍して攻撃してきた金の鼠に鎌を振り下ろした。
「キーキーッ!!」
金の鼠の攻撃は届かず、苦悶に満ちた声を上げるとそのまま絶命し、光の粒子になって消えていった。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の烏が出てきた。
「烏か・・・たしか上空からの攻撃だったはずだ」
金の烏はすぐに高高度へと移動すると翼を仰いで風の力で地面にいる者たちの動きを封じた上で鳴き声をあげる。
「カァー!!」
精神攻撃なのだろう。
こちらに何かしら干渉してくる。
シフトは【次元干渉】を発動して精神攻撃の干渉を拒絶した。
金の烏は尚も精神攻撃を仕掛けてくるが、シフトの【次元干渉】がそれを許さない。
精神攻撃が終わったところで、シフトは空間から直径10メートルの氷の塊を取り出すと【念動力】で金の烏がいる上空へと移動させた。
金の烏は逃げようとするが直径10メートルもある氷の塊から逃れるにはあまりにも体格が大きすぎる。
氷の塊は容赦なく金の烏の身体に食い込みながら天井にぶつかった。
これにより金の烏は大怪我を負い羽搏くことができない。
シフトは死にかけの金の烏を放置して、突進してくる金の猪を相手にすることにした。
ミスリルの鎌をそこら辺に投げ捨てると武器のところまで走り、ミスリルの斧を手に掴んだ。
金の猪と金の鹿が仲良くこっちに突進してくる。
シフトは金の猪に向かって猛然と走りながら直前で跳躍して、斧を上段に構えると額めがけて振り下ろした。
その攻撃は見事に金の猪の額に刺さり、そのまま地面に沈むほどの強烈な一撃だ。
金の猪は白目を剥くとそのまま光の粒子になって消えていく。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の羊が出てきた。
「羊か・・・たしか、こいつも面倒な攻撃をしてきたんだよな・・・」
金の羊は登場と同時に開口一番に鳴き声を放つ。
「メェー!!」
眠気が襲ってくる。
シフトは【次元干渉】を発動して催眠の干渉を拒絶した。
これで問題ないと思いきや、ここで天井に張り付けていた金の烏が息絶えて、光の粒子になって消えてしまった。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の猫が出てきた。
「猫だと? 烏がやられたのかよ。 もう少し粘ってくれてもいいだろ・・・」
これにより再び1対3になる。
シフトはこの中では一番厄介な羊をターゲットにすると突進した。
しかし、ここでまたしても思わぬ邪魔が入る。
それは金の鹿が突っ込んできたのだ。
仕方なく金の鹿に対象を変えようとすると横から金の猫も追従する。
シフトは後退しながら【念動力】で氷の塊を自分のほうへと引き寄せた。
気付いた時には手遅れで金の鹿は氷の塊に圧し潰されてそのまま死亡すると、光の粒子になり消える。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の河馬が出てきた。
「河馬は猪と同じ突進攻撃が強かった」
金の河馬はシフトを見ると口を開けて走ってくる。
金の羊は未だにその場から動かずに催眠攻撃を行い、金の猫はそのフットワークを生かして翻弄し、金の河馬は金の猪みたいに突っ込んできた。
今の段階で厄介なのは金の羊だろう。
シフトは金の猫と金の河馬を無視して、金の羊に向かって走り出す。
そうはさせないと金の猫が後ろからシフトを狙って跳躍するが、シフトは【念動力】でミスリルの槍を動かす。
牽制の意味で槍をシフトと金の猫の間を通過するように動かしたが、運良くその移動地点に金の猫が飛び込んだことで貫かれて吹っ飛んだ。
シフトが近づいてきたことに金の羊は怒りを露わにした。
「メェー!!」
その瞬間、金の羊からオーラみたいなモノが飛び出し、それが羊の形を作ってシフトに襲い掛かった。
シフトは【次元遮断】を発動すると自分の周りに外界と隔離する。
羊の形をしたオーラが次々と結界にぶつかり消滅していく。
しばらくすると攻撃が終わり羊がその場に倒れた。
死亡した訳ではなく何かしらのバッドステータスを受けているのだろう。
シフトは周りを見て、今動けるのは金の河馬だけで結界を壊そうと必死に攻撃している。
状況を理解すると結界を解除して、金の羊のほうへと走っていく。
近づくと金の羊は寝ていた。
どうやら先ほどのは攻撃終了後に自身を眠りに誘うものらしい。
ここで倒しておかないと厄介なことになると判断したシフトは持っている斧で羊の頭を攻撃した。
金の羊は一瞬目を見開いたが、脳をやられたことにより二度と起きることがない眠りに誘われ、光の粒子になって消えていく。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の鷲と金の狸が出てきた。
「鷲と狸だと?! どういうことだ?! こんな面倒なの一度に投入するとかありかよ?!」
ここからは3匹から4匹になるのかと見回すといつの間にか金の猫の姿がなく、槍がその場に落ちている。
金の羊と同時に金の猫も力尽きて光の粒子になって消えたのだろう。
金の鷲は金の烏同様にすぐに高高度へと移動すると翼を仰いで風の力で地面にいる者たちの動きを封じた上で鳴き声をあげる。
「ピィー!!」
「ウユーン!!」
「また、このパターンか!」
シフトが上空を見ると金の鷲が1匹から一瞬にして何匹にも増えた。
「なっ?!」
地上を見ると金の河馬と金の狸も何匹もいる。
「ウユーン!!」
金の狸が鳴くと金の鷲と金の河馬と金の狸が更に増えた。
「また精神系か?!」
シフトは【次元干渉】を発動して精神攻撃の干渉を拒絶した。
すると今まで何十匹といた金の鷲と金の河馬と金の狸が1匹に戻る。
最優先で倒すのは金の狸だ。
シフトは【念動力】で氷の塊を金の狸に対してぶつけるが、その直前に金の河馬が身を挺して金の狸を庇う。
金の狸はその僅かな時間を利用して氷の塊の射線上から難を逃れる。
氷の塊をもろに食らった金の河馬はそのまま死亡して光の粒子になって消える。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の猿が出てきた。
「猿か・・・これで12匹目だな」
金の猿は金の狸に化けると2匹で同時に鳴く。
「「ウユーン!!」」
金の鷲と金の狸が何十匹もいる。
「猿が化けてそいつの能力を使えるなんて聞いてないぞ?」
シフトは【次元干渉】を発動して精神攻撃の干渉を拒絶した。
すると今まで何十匹といた金の鷲と金の狸2匹に戻る。
どうやらどちらか一方が金の猿らしい。
見分けが全然つかない。
シフトは【念動力】で氷の塊を金の狸にぶつけようとするが、それを察知した金の狸が素早く避ける。
その射線上にはシフトがいた。
このままではぶつかるだろうと喜んでいた金の狸だが【念動力】で方向転換する。
場所は上空、金の鷲がいるところだ。
「お前も烏と同じ道を辿るがいい」
シフトは手前まで引き寄せた氷の塊を上空に向けて移動させる。
金の鷲は未だに羽搏いており氷の塊をもろに食らって天井に叩きつけられた。
氷の塊と天井へ叩きつけられた衝撃で金の鷲は即死して光の粒子になり消えていく。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の馬が出てきた。
「馬も鹿と同じで特に苦労した覚えがない」
シフトは氷の塊を手前まで戻すと跳躍してその上に乗る。
干渉してくる邪魔な金の狸を倒す。
シフトは【念動力】で地面にあるミスリルの鎌を動かすと金の狸めがけて動かした。
それは金の狸の腹へ見事に命中するが聞こえてきた悲鳴は違う。
「ヒヒーン!!」
金の狸が一瞬にして金の馬になっていたのだ。
「なんだと?!」
シフトが驚いた一瞬に後ろから金の狸が攻撃してくる。
「甘いな」
金の狸の攻撃を跳躍して躱すと、シフトは【空間転移】で金の狸の頭部に転移して持っているナイフを抜いて刺す。
「キキー!!」
痛みで元の姿に戻った金の猿に追い打ちをかけるように魔石に魔力を流した。
火は一瞬にして猿に燃え移り身体全体を焼いていく。
シフトはナイフを抜いて魔力を使い果たしたことを確認すると鞘に収め、巻き込まれないうちに地面に転移して逃れる。
金の猿はそのまま悶え苦しみながら焼死すると光の粒子になり消えていった。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の犀が出てきた。
「犀は猪や河馬と同じ突進攻撃に特化していたっけ?」
面倒なのは精神干渉してくる金の狸だ。
今度こそ倒すべく、シフトは【空間転移】で金の狸の目の前に現れる。
金の狸は驚き慌てて攻撃しようとするがそれよりも早くシフトは斧で足を攻撃した。
あまりの痛さに倒れる金の狸。
地面に這いつくばったところをシフトは斧で首を狙って振り下ろす。
脂肪が多いのか首まで届いていないがシフトはもう一撃与えると今度こそ首の骨まで到達して折ることに成功した。
金の狸はジタバタ暴れていたが、やがて動かなくなりそのまま死亡すると光の粒子になり消えていく。
これでようやくエリアボスを12匹撃破した。
空間のど真ん中にすぐに魔法陣が出現し新たに金の山羊が出てくる。
「山羊か・・・やっと12匹倒したか・・・」
残るエリアボスは12匹、シフトは気合を入れなおしてエリアボスたちに対峙するのであった。




