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176.魔獣たちとの戦い 〔無双劇35〕〔※残酷描写有り〕

血に飢えた大型魔獣たちがシフトたちを襲う。

魔獣の大きさからビッグあるいはヒュージ、もしかするとキングレベルで、種類も様々で狼や熊、蛇、馬などがいた。

シフトは【五感操作】で押し寄せてくる魔獣の触覚を剥奪してからルマたちに命令する。

「ルマは【氷魔法】、ユールは【光魔法】で後方から攻撃しろ! ベル、ローザ、フェイは魔法武器で攻撃する場合は風の魔石に交換してから攻撃!」

「「「「「畏まりました、ご主人様」」」」」

命令し終わるとシフトは【空間収納】からミスリルの斧を取り出すと触覚を剥奪した魔獣の一匹に向かって走っていった。

跳躍すると魔獣の首目掛けて斧を振り下ろす。

シフトの人外の腕力とミスリルの斧の破壊力・刃の鋭さで魔獣の首の1/3を切断した。

「グオォーーーーーッ!!!!!」

切断部分からは夥しい量の血が噴出し、傷つけられた魔獣は苦悶に満ちた声で叫ぶ。

地面に着地するともう一度跳躍して魔獣の首の骨を狙って斧を振り下ろす。

バキッ!!

その攻撃は魔獣の骨を切断したが、残りの皮膚の部分に支えられて首がつながっている状態だ。

完全ではないが首と胴が泣き別れになったことで魔獣は白めになりそのまま力尽きる。

シフトはさらに子供(サイクロプス)の1人のところまで走ると拘束している魔獣の左前足を斧で切断した。

左前足を失った魔獣はバランスを崩して子供(サイクロプス)の上に倒れる。

「ひいぃーーーーー!!」

あまりのことに子供(サイクロプス)は情けない声を上げる。

シフトは魔獣の首部分を掴むと子供(サイクロプス)の位置から移動させると斧を真上に構えそのまま振り下ろした。

「グゥ、ガオォーーーーーッ!!!!!」

先ほどの大型と同じで首の骨までは届かない。

斧を構えると魔獣の首の骨を狙って跳躍するとそのまま振り下ろす。

バキッ!!

骨が折れたことで魔獣の意識が混濁してしばらくするとそのまま動かなくなった。

シフトは子供(サイクロプス)に話しかける。

「おい、生きてるか?」

「きょ、巨人族の子供?」

「どうやら生きているようだな。 怪我しているところ悪いが起きてこの部屋からさっさと出ろ」

「手や足を噛まれて動けないよ」

「毒にでもやられたか?」

シフトは懐の[鑑定石]を握って確認するが毒や麻痺は受けていない。

ただ単に怪我により動けないようだ。

「ただの怪我みたいだな。 ユール! こっちに来てくれ!」

シフトの掛け声にユールが走ってやってくる。

「ご主人様、どうされましたの?」

「この子供(サイクロプス)の怪我だけ治してやれ」

「畏まりました」

ユールは【光魔法】で発光玉を生成すると腕や脚を見て回り、怪我をしている部分に手を翳すと【欠損部位治癒魔法】で皮膚の怪我を治し始める。

本来であれば大怪我でもない限りはすぐに回復するが、子供とはいえ巨人の怪我を治すのに時間がかかっていた。

しばらくすると巨人の怪我が治癒されていき、やがて噛まれた後もなく完治する。

「これで大丈夫ですわ」

「凄い! 噛まれた部分が治ってる!」

子供(サイクロプス)は噛まれて動かせなかった手足を動かしていた。

「動けるならさっさと残りの2人(サイクロプスたち)を連れてさっさとここから離れろ!」

「ふ、ふざけるな! こいつらを独り占めしようっていうのか!!」

「なら、あの魔獣らを相手に戦うか? 僕たちはここで手を引いて後始末はお前たちがしてくれるなら構わないがな。 ついでに今こいつらを束縛しているのは僕だ。 僕がいなくなればどうなるかくらいは理解できるよな?」

シフトは指さすとそこには通路を仲間(魔獣)たちに塞がれて、未だに咆哮している大型魔獣たちがいた。

子供(サイクロプス)の顔からは血の気が引いていく。

「ひぃっ!!」

先ほどの襲われたことを思い出したのか情けない声を上げる。

またあの痛みを味わいたくないのだろう、すぐに返事をした。

「わ、わかった・・・俺たちはすぐにここから出ていくよ」

子供(サイクロプス)は今のままでは魔獣に食われると判断したのかシフトの言うことを聞いて仲間を連れて撤退を選んだ。

起き上がると拘束されている魔獣をどかして2人の子供(サイクロプス)を助ける。

「大丈夫か?」

「腕が痛いよ・・・」

「俺は足をやられた・・・」

子供(サイクロプス)たちは身体を引き摺りながら広間から出ていく。

それを見届けるとシフトは再び魔獣に向かって走り出す。

10分後、最初に触覚を剥奪した魔獣たちを全滅させると空間に魔獣の死体を入れる。

すると突っかかっていた魔獣の死体がなくなり、第二陣が襲い掛かってきた。

シフトはある程度引きつけると【五感操作】で押し寄せてくる魔獣に対して再び触覚を剥奪する。

そこからは流れ作業のように魔獣を始末していく。

ルマは【氷魔法】で魔獣の頭と首を凍らせることで酸欠させてから窒息死させる。

ベルは魔獣の頭部まで駆け上がり両手のナイフを頭に魔石がギリギリ見える位置まで刺すと、魔石に魔力を流して刺された場所から脳を通り顎を貫通するように切り裂く風を放った。

ローザはオリハルコンの剣の威力と切れ味を十二分に発揮して魔獣を斬首していく。

フェイは魔獣の下まで行くと【風魔法】で巨大な刃を生成して放つことでローザと同じ斬首していった。

ユールは【光魔法】で巨大な光の槍を生成すると魔獣の額に向けて投げて刺殺する。

シフトは最初こそミスリルの斧で攻撃していたが、効率が悪いので【即死】を有効にして武器もミスリルのナイフに変えると【即死】攻撃で片っ端から撃破していった。

2時間後、シフトたちは襲ってくる魔獣たちを小分けにして各個撃破すること12回。

シフトが【五感操作】で魔獣の触覚を剥奪すると扉の向こうからは魔獣の鳴き声が聞こえてこなくなった。

「みんな、どうやらこれで最後のようだ! こいつらを倒したら休憩にするよ!!」

「「「「「はい!!」」」」」

シフトは動きを封じた魔獣の前足を攻撃するとバランスを崩した魔獣が倒れてくる。

その額に【即死】を発動させた状態でナイフを突き刺して殺すと次の魔獣にも同じ手を使って次々と魔獣を減らしていく。

そして、ついに魔獣の群れの殲滅が完了する。

シフトは魔獣たちの死体を空間にしまい、代わりに人数分の水袋を取り出すと閉じた。

ルマたちのところに行くと話しかけた。

「みんな、お疲れ」

「結構な数を倒しましたね」

「レベルアップした」

「亜人種たちの塔に入ってから休みを入れながらもここまで結構戦い続けていたからな」

「ああぁ・・・そう考えると少し休みたいね」

「わたくしたちもそれなりに戦えるようになったということですわ」

ユールの言う通りルマたちは最初の頃と比べて格段に強くなり、今ではサンドワームや魔獣相手でも1対1で一歩も引けを取らないどころか上回る実力者までに成長している。

現に今の戦いでも初顔の魔獣がいてもなんなく対応して見せたのだ。

「ルマたちはここで休憩していてくれ。 僕は扉の向こうを見てくるよ」

「ご主人様、それなら私たちも一緒に行きます」

ルマの申し出にシフトは首を横に振る。

「いくら強くなったからとはいっても動けば体力は減るしそうそうに回復できない。 僕が調べている間に疲れをとっておいてくれ」

それだけ言うとシフトは水袋をルマたちに渡していった。

「わかりました。 ご主人様、お気をつけて」

「ああ、それじゃ行ってくるよ」

シフトは懐から魔石を取り出すと魔力を流し込み発光させた。

十分な光を得ると扉に向かい注意深く中を見る。

そこはシフトたちがいた広間よりもさらに大きい空間になっていた。

シフトは慎重に足を運ぶ。

バタアアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーン!!!!!!!

突然入ってきた扉が閉まる。

「!!」

『『『『『ご主人様?!』』』』』

扉の向こうからルマたちの声が聞こえてくる。

「僕は大丈夫だ! ルマたちも気をつけろ!!」

「「「「「畏まりました、ご主人様!!」」」」」

やり取りが終わると同時にシフトの目の前には魔法陣が出現して1匹の巨大な蛇の魔獣が現れた。

シフトは周りを見渡すとシフトが通った扉とは別の扉がある。

「どうやらこの洞穴のエリアボスといったところか・・・名付けるならキング・スネーク? いや洞穴だからキング・ケイブ・スネークってところかな?」

シフトはナイフを抜くと蛇の魔獣と相対した。


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