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164.ゴブリンの集落 〔無双劇29〕

シフトたちはゴブリンたちの集落に案内された。

そこは柵に囲まれてはいるがあまり意味をなしていない。

中に入ると老若男女を問わず大勢のゴブリンがいる。

階級も通常のゴブリンから上位種・中位種・下位種のゴブリンまで網羅していた。

ゴブリンたちは皆シフトたちを不思議そうな目で見ている。

案内してくれたところはこの集落で一番大きい家だ。

「コッチダ。 オサ、モドッテキタ」

家に入るとそこにはゴブリンキングがいた。

「ゴクロウ。 ン、ソノモノタチハ?」

「チカカラデテキタトイウモノタチダ」

ゴブリンの紹介を受けて、シフトは一歩前に出て一礼する。

「初めまして、僕は人間族のシフトといいます。 この集落の長とお見受けします」

「コノシュウラクノオサヲシテイル。 ナニヨウデコンナバショニ?」

「実は今まで地下にいたんだけど、やっと地上に戻ってこれたらこの場所にいたんです。 長に質問しますが水の海底神殿は知っていますか?」

「『カイテイシンデン』? キイタコトガナイナ・・・オイ、ケンジャヲココニ」

「ハッ!」

案内してくれたゴブリンが家を出ていく。

「シバシマテ」

ゴブリンキングはそれだけ言うとしばらくしてローブを着たゴブリンセージがやってきた。

「オサ、ナニヨウデスカ?」

「ケンジャヨ、『カイテイシンデン』ニツイテシッテイルコトハアルカ?」

「『カイテイシンデン』? ショウショウオマチヲ・・・」

ゴブリンセージは目を閉じて考え込むとしばらくしてから目を開けて口を開いた。

「オサ、『カイテイシンデン』トカンケイガアルカハワカリマセンガ、センダイノケンジャヨリソレラシイモノヲキイタコトガゴザイマス。 ナンデモオオムカシニコノチニオオキナドウクツガアッタトカ・・・」

「ソレガ『カイテイシンデン』ト?」

「オソラク、ジッサイニミテイナイノデダンテイデキマセンガ・・・スミマセン」

ゴブリンセージの意見はシフトが考えていた内容とほぼ一致している。

「ヨイ、ソナタノチシキハイツモヤクダッテイル」

「アリガトウゴザイマス」

「ソレトソコニイル『ニンゲンゾク』トイウシュゾクニキキオボエハナイカ?」

ゴブリンセージは再び目を閉じて考え込むとしばらくしてから目を開けて口を開く。

「モウシワケゴザイマセン。 キイタコトガナイシュゾクデス」

「ソウカ、ゴクロウ」

ゴブリンセージはゴブリンキングに頭を下げると家から出ていった。

「キャクジン、ホンライナラモテナシタイトコロダガイマコノチハキキニヒンシテイル。 サクモツハホトンドトレズ、カギラレタミズヲワケアッテクラシテイル」

「お気になさらず。 あなたの同胞に合う前に僕のほうでもこの大地を見ました。 酷い荒れようですね」

「オオムカシ、マダホカノシュゾクトアラソウマエハユタカナダイチトホウフナミズガアッタソウダ。 ダガアラソウノトドウジニソレラハスベテウシナワレタ」

他種族との戦争で作物や水源にも被害が出たのだろう。

「それなら僕たちが少し食料と水を提供します」

「ナニ? ホントウカ?」

「ええ、タダでお世話になるのも気が引けますので」

「ソレガホントウナラアリガタイ」

「それでは早速食料と水を出しますので空き地に案内してください」

「コッチダ」

ゴブリンキングが家を出るのでシフトたちも後ろについていく。

到着したのはこの集落の中央だ。

大勢のゴブリンたちが何事かと遠目にシフトたちを見ている。

(あまり見られたくないが仕方ないか・・・)

シフトは【空間収納】を発動すると空間内にまだ1000匹以上いるサンドワームの死体を1匹を空間から取り出して広間に置いた。

ゴブリンたちは突然現れたサンドワームの死体を見てびっくりして大騒ぎになっている。

「コ、コレハ?」

「サンドワームというモンスターの死体です。 これの肉は火を通せば食べられます。 食べてみますか?」

「ウ、ウム・・・」

ゴブリンキングは頷いた。

「ベル、調理を頼む」

「任された」

シフトは空間から調理道具を取り出すとベルは早速料理を始めた。

ローザが調理しやすい大きさにサンドワームを切り分け、シフトとユールが鍋を複数個設置し、ルマの【水魔法】で鍋の中に水を入れる。

そのあとはルマは【火魔法】で火をつけて、フェイが【風魔法】で火を消さないように維持した。

そんな中ベルが沸騰したお湯に香草と切り分けたサンドワームの肉を入れて煮込む。

ベルが行っている料理にゴブリンたちは興味津々に見ている。

ベルは【鑑定】で茹で上がりを確認すると肉を取り出して食べ易い大きさに均等に切ったものを皿に載せていく。

「できた」

ベルはサンドワームの肉が載った皿をゴブリンキングの前に置く。

「食べる」

「ウ、ウム・・・デハ、イタダク」

ゴブリンキングは恐る恐るそれ(サンドワームの肉)を1切れ掴むと口にする。

咀嚼し、嚥下すると目を見開いて声を上げた。

「ウマイ! ナンダコレハ?!」

ゴブリンキングは思わずもう1切れ掴むと口にした。

食べ終えるとゴブリンキングは涙を流している。

「コノヨニコンナウマイタベモノガソンザイスルトハ・・・」

それを見ていたゴブリンたちの唾を飲み込む音が聞こえる。

「コレハマダアルノカ?」

「見ての通り、使った肉はほんの一部に過ぎないからこれからどんどん調理していくよ。 ベル、任せていいか」

「問題ない」

ローザはサンドワームを捌き、ベルは調理を、出来上がった肉の切り分けをルマとユールが行い、皿の提供をシフトとフェイが行った。

肉の載った皿を置かれるとゴブリンたちはそれを口に入れていく。

「ウマイ!」

「オイシイ!」

「モットタベタイ!」

「オマエタチマダアルカラケンカスルナ」

あまりの美味しさに肉の取り合いになるかと思いきやゴブリンキングが一括したことで争いには発展しなかった。

そのあともゴブリンたちの食欲は止まらず、出来上がったそばから皿の肉が無くなっていく。

次第にゴブリンたちの胃は満たされていき、皆満足したようにお腹を擦る。

それでもサンドワームの肉はまだ半分以上は残っていた。

ゴブリンキングはシフトのところへやってくると頭を下げた。

「キャクジン、コンナニウマイモノヲテイキョウシテクレテカンシャスル」

「しばらくお世話になるのですからこれくらいは問題ありませんよ」

そんなやり取りをしていると1匹のゴブリン・・・ゴブリンチャンピオンがシフトの前に現れる。

「オマエ、ツヨソウダ。 オレ、タタカイタイ」

「コラ、キャクジンニタイシテシツレイダロ」

「別にいいですよ」

「アリガタイ」

「スマナイ」

ゴブリンキングは謝り、ゴブリンチャンピオンは嬉しそうにしていた。

「ここだと迷惑になるから少し離れよう」

シフトは調理しているそばでは危険なので少し離れたところに移動する。

(おっと、そういえば海底神殿の巨大生物を倒すのに【即死】を有効にしてたんだっけ?)

シフトは【即死】を見ると有効になっていたので、慌てて無効に設定しなおす。

(これでよし)

シフトもゴブリンチャンピオンもお互い武器は手に持たず、素手で戦うようだ。

ゴブリンチャンピオンと改めて対峙する。

その距離約5メートル。

ゴブリンチャンピオンが一歩踏み出せば攻撃圏内だ。

「ソレデハハジメヨウカ」

「僕はいつでもいいですよ」

「ナライカセテモラウ」

ゴブリンチャンピオンは一歩踏み出し、先制攻撃とばかりに右ストレートをシフトに放つ。

しかし、その攻撃はシフトに当たらず、横に逸れていく。

この時、シフトは【五感操作】でゴブリンチャンピオンの距離感と平衡感覚をすでに狂わせていた。

ゴブリンチャンピオンはそうとも知らずに次々と拳によるラッシュを叩き込む。

それらはすべてシフトには当たらずに逸れていった。

しばらくするとゴブリンチャンピオンもそれに気付いたのか無闇矢鱈と攻撃をしてこない。

「どうした? もう終わりか?」

「オマエ、ナニヲシタ?」

「別に何もしてない」

ゴブリンチャンピオンは疑惑の目を向ける。

(嘘です。 スキル(【五感操作】)を使いました)

シフトとしてはなるべく無傷で終わらせたかったので、【五感操作】を使って相手がへばるまで攻撃させてから引き分けに持ち込もうとした。

だが、ゴブリンチャンピオンは当たらないことに疑問を感じて即座に攻撃を止めたのである。

膠着状態が続く。

「ふぅ、仕方ない・・・攻めるか」

シフトは動き出すと目にも留まらぬ速さでゴブリンチャンピオンに近づくと膝裏を軽く小突く。

「ナ?!」

ゴブリンチャンピオンは突然の出来事に対応できずそのまま前のめりに倒れる。

シフトはすかさず腕をとると捩じり上げた。

「ウグゥ!」

「どうする?」

「マ、マイッタ。 オレノマケダ」

「「「「「「「「「「オオー」」」」」」」」」」

ゴブリンチャンピオンが敗北を宣言するとゴブリンたちが驚いていた。

腕を放すとゴブリンチャンピオンは立ち上がり、腕を伸ばしている。

「オマエ、ツヨイ。 オマエトタタカエテホコリニオモウ」

「それは光栄だ」

ゴブリンチャンピオンは手を前に差し出すとシフトもそれに倣って手を前に出して握手する。

手を放してお互い健闘を称えるとゴブリンキングが声をかけてくる。

「ハッハッハ、マサカイチバンツヨイセンシヲタオストハオドロイタ」

「たまたまですよ」

ゴブリンキングに返事をすると集落の外が慌ただしいことに気付いた。


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