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129.海へと帰る

この手に自由を(フリーダム)』の下っ端の海人を処分するシフトたち。

次はフライハイトのことを知っている3人と黙秘をした20人の海人の尋問である。

「僕たちは『この手に自由を(フリーダム)』についての情報がほしい」

「ふん、誰がお前なんかに教えるかよ」

「そうだそうだ」

「俺たちにこんなことしてただで済むと思うなよ」

シフトがどうしたものかと考えていると海を挟んで北と南から何かが近づいてくる。

警戒しているとそこから多くの武装した人間たちが現れた。

北から来た見た目派手な男が大声を出す。

「ほう、この地方が海人に襲われたというのは本当のようだな。 伯爵の領地が幾何か水没したのは痛いが残された部分を手に入れろ!!」

「はっ!!」

南から来た見た目地味目な男も負けじと大声で叫ぶ。

「情報通りだな。 よいか! この伯爵領を併呑するぞ!!」

「はっ!!」

どこから情報を得たのか水没した領主の残りの土地を巡って北と南の領主が直々に指揮を執って併合しようとやってきたらしい。

シフトとしてはこれから情報収集と海人を開放する予定だったが、ここにきて思わぬ邪魔が入ってしまった。

「ご主人様、どうする?」

「邪魔はさせない」

シフトは先ほどの海人たちと同じように北の軍団を見ると【五感操作】で触覚を剥奪した。

北にいる人間たちが動きを止める。

「くっ! 動けん?!」

「どうなっているんだ?!」

続いて南の軍団に対しても【五感操作】で触覚を剥奪する。

南にいる人間たちも同様に動きを止めた。

「なっ! 身体が?!」

「う、動け!!」

とりあえず煩わしい人間たちの触覚を奪い、強制的に拘束した。

シフトは【空間収納】からフード付きマントを3つとマナハイポーションを5本ほど取り出すと空間を閉じる。

「今は海人たちが最優先なんだけどな・・・ベル、ローザ、フェイ」

「「「はい、ご主人様」」」

シフトは3人にフード付きマントを渡す。

「フェイ、悪いけど【闇魔法】で今現れた人たちを全員眠らせてきてくれ。 ベルとローザはフェイの魔法が効かない者を森林に移動させて」

「「「畏まりました、ご主人様」」」

3人はマントを羽織り、フードを深く被る。

さらにフェイにマナハイポーションを渡すと3人はまずは北のほうへと向かった。

程なくしてフェイが眠らせてベルとローザは魔法がかかっているか確認する。

問題ないことを確認するとシフトは『この手に自由を(フリーダム)』側の海人たちに話しかける。

「もう1度聞くけど『この手に自由を(フリーダム)』についての情報がほしい」

「断る! 例え殺されても話すものか!!」

海人たちは『この手に自由を(フリーダム)』について頑なに話そうとしない。

どうやら答える気がなさそうだ。

「それなら質問を変える。 お前たちはなぜ人間を襲った? そして、アクアルさんを殺そうとした?」

「ふん、すべては海人のためだ! 今の我々を支配している長は現状維持などと生温いことを抜かす弱者だ。 そんな者についていけるはずがない!!」

「つまり、お前たちの目的はこの世界を海に沈めて海人が支配するということか?」

「察しがいいな。 まさにその通りだ」

この手に自由を(フリーダム)』側の海人がそう答えると、それを聞いていた海人が声をあげる。

「お前たちはアリアル様を助けるために動いたのではないのか?!」

「アリアル様? はっ、アリアル様、アリアル様ってあんな小娘のことなど知ったことではない! 我々は海人の理想郷を作るために動いたのだ!!」

「き、貴様!」

同胞のために動いたのではないと知ると多くの海人が怒りを露わにする。

今すぐにでもこの裏切り者を殺したいと。

しかし、それは叶わない。

なぜならシフトが【五感操作】で触覚を封じているからだ。

「なるほど、長に連なるアクアルさんを拉致し人間の協力者に渡す。 誘拐されたという大義名分を掲げて堂々と世界を蹂躙できるか」

「そういうことだ。 それをお前が邪魔しやがって・・・お前さえ、お前さえいなければ我々の思惑通りに事が進んだというのに!!」

「尻尾を出すのが早すぎたおかげでお前たちの企みが潰えたけどな」

この手に自由を(フリーダム)』側の海人たちも志半ばでその野望が潰えることに歯軋りしていた。

シフトもまた海人からあまり情報を入手できなかったことに内心では溜息をついている。

フライハイトのことだ、海人に重要な情報は流さなかったと判断した。

「これよりお前たちも処刑する。 ただし、情報を開示する者は生かすことを約束する」

「「「「「「「「「「・・・」」」」」」」」」」

シフトの発言に命乞いをする者たちはいなかった。

「そうか・・・ならば仕方ない」

シフトは下っ端たち同様になるべく苦痛を与えずに処分していく。

1人1人手にかけ最後の1人・・・最初にシフトを攻撃した海人を見る。

「お前で最後だ。 今ならまだ間に合うと思うが・・・」

「話すことなどない! さっさとしろ!!」

「・・・わかった。 さらばだ」

シフトは最後の1人にも手をかけた。

結局3時間以上かけて得られた情報は『この手に自由を(フリーダム)』と関わった海人がいることと彼らが世界を手に入れたいという欲求があったことくらいだ。


ベル、ローザ、フェイは北の軍団の処理が終わり今度は南の軍団のほうへと移動する。

しばらくすると南の軍団のほうも処理が完了して戻ってきた。

「3人とも、お疲れ」

「ご主人様、使ってないマナハイポーションです」

シフトはフェイから未使用のマナハイポーションを3本受け取るとその内の1本を飲み魔力を回復させる。

それとベルたちのマントも受け取ると【空間収納】を発動して回収したアイテムを入れて空間を閉じた。

周りを確認するとシフトたち以外は全員触覚を封じている状態だ。

シフトは海にいる海人に声をかける。

「生きている海人の皆さん! これから束縛を解きます! その後、話し合いをしたいです! よろしいでしょうか?」

「わかった。 できれば早くしてくれないか?」

自分たちの領域()とはいえ長時間同じ姿勢で固定されているのだ、死にはしないが精神的に疲弊しているだろう。

シフトは海人たちが全員見える範囲内に立つ。

「それでは解除します!!」

シフトは海人たちを見つめて心の中で叫んだ!

(【五感操作】)

剥奪とは真逆の違うイメージをする。

触覚付与!!

その瞬間シフトの中の魔力が減少する。

海人たちに剥奪された触覚が戻っていく。

しばらくすると海人たちが動き出す。

「動くぞ!」

「やっと自由に動ける」

「はぁ・・・しんどかった」

海人たちは肩や腰、膝など自分の関節や手足を動かして元に戻ったことを確認している。

シフトが見る限りでは全員動いているように見えた。

それからシフトは魔動車に戻るとアクアルを箱から引き上げるとお姫様抱っこして海人たちのほうへと向かう。

「おお・・・アクアル様、ご無事で何よりです」

「・・・(こくこく)」

シフトは最初に突っかかってきた海人にアクアルを渡す。

「人間よ、すまなかった。 もし、お前がいなければ我々はいつか同族で殺しあっていただろう」

「仲間同士で殺し合いしなくてよかったな」

「それとすまない」

「?」

海人はシフトに頭を下げる。

「暴言を吐いたこととアクアル様を誘拐した犯人だと思ったこと、それにここまでアクアル様を連れてきてくれたこととお前たち人間の領域を破壊し海の一部にしてしまったことだ」

「ああ、気にしてないよ。 犯人ではないと理解されたし、無事にアクアルさんを海に帰せたしね」

「そうか」

海人はシフトの発言にホッとする。

(まぁ、僕たちはここの生まれじゃないし・・・)

海の中にある城から目を背ける。

「そういえばこれはどうする?」

シフトたちが処分した海人を指さす。

「裏切ったとはいえ同胞をこのままにするのは忍びない。 連れ帰るよ」

「わかった」

シフトは【念動力】を発動すると亡骸たちを海へと移動させて静かに入れる。

すると海人たちは亡骸を次々と抱えて深海のほうへと去っていく。

全員の亡骸が無くなると海人たちが1人また1人と去っていき、残るはアクアルと彼女を抱える海人だけになった。

「迷惑をかけた。 それでは」

「・・・(ぺこり)」

そして2人も深海へと戻る。

少し経つとアクアルの声が聞こえてきた。

『ありがとう、わたしを海に帰してくれて、本当にありがとう』

シフトたちはしばらく海を眺めていた。


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