表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/394

10.深層のドラゴン

大陸最大のダンジョン『デスホール』に来てから4ヵ月後───

シフトは今のフロアでダーク・ベアーとダーク・ウルフを相手に修行していた。

というのも天然と召喚の2種類いて天然は食用肉、召喚はポーションを効率良く手に入れられるからだ。

既に上り階段も見つけ一度は上がってみたが、食料やポーションが中々手に入らないことから地上に戻るのを保留にした。

それからシフトは来る日も来る日もモンスターたちを乱獲し、大量の食糧とポーションを手に入れた。

もちろんこのフロアで手に入る貴重なアイテムも忘れずに採取する。

ダーク・ベアーを倒したシフトは何気にステータスをみる。


名前 :シフト

年齢 :11歳

レベル:20(450)

生命力:320/320(585431/585431)

魔力 :320/320(996000/〔M〕1000000)

体力 :320/320(519088/523167)

腕力 :160〔+1〕(〔M〕10000〔+1〕)

走力 :180〔+1〕(〔M〕10000〔+1〕)

知力 :170〔±0〕(〔M〕10000〔±0〕)

器用 :150〔±0〕(〔M〕10000〔±0〕)

耐久力:200〔+2〕(〔M〕10000〔+2〕)

幸運 :777〔±0〕(777777777777〔±0〕)

装備 :武器 ナイフ〔腕力+1〕

    鎧  普通の服〔耐久力+1〕、革の胸当て〔耐久力+1〕

    盾  なし

    兜  なし

    小手 なし

    靴  革靴〔走力+1〕

    装飾 なし

状態 :正常(容姿偽装中)

称号 :なし

職業 :なし

スキル:★【ずらす】 レベル1:【???】(レベル1:【即死】 レベル2:【認識】 レベル3:【物理】 レベル4:【空間】 レベル5:【???】)

耐性 :毒無効、麻痺無効、病気無効


生命力・体力・幸運以外はカンストしている。

普通のモンスターなら瞬殺できるほどの能力だ。

ただ、どれだけ頑張ってもスキルレベル5だけは解放できなかった。

「潮時かな。 食料やポーションは大量にあるし、これ以上は強くなれないだろうし地上を目指すか」

倒したダーク・ベアーの死体を空間にしまうと地上へ向けて歩きはじめた。

「このフロアともこれでお別れか・・・」

そんなのんきなことを考えていると前方から今までに感じたことがないプレッシャーを感じた。

(っ! なんだっ!! いったい何がいるっ!!)

シフトは警戒して通路を移動する。

上り階段があるホールに到着するとそこにはドラゴンがいた!

(ド、ドラゴン?!)

英雄譚や御伽話などに出てくる伝説上の生き物・・・ドラゴンである。

(初めて見た・・・)

まだ対峙してないのに圧倒的な威圧感と強さを肌で犇々と感じる。

(これは・・・勝てるのか?)

思案しているとドラゴンはシフトのいる通路に向けて灼熱のブレスを放ったのだ。

(!!!)

シフトは【空間転移】を使ってホール内の灼熱のブレスが及ばない場所へ転移し、急いでドラゴンを見る。

ドラゴンもシフトを見つけるやいなや声にならない咆哮をあげながら威圧してきた。

(・・・強いっ! 勝てるのか?)

思考を巡らせているとドラゴンがいきなり右前足で攻撃してきた。

シフトは冷静に【五感操作】でドラゴンの攻撃をずらす。

しかしドラゴンは続けざまに尻尾で横薙ぎ払いしてきたが、それを【空間転移】でかわす。

(あんな攻撃を食らったら終わりだぞっ!!)

ドラゴンの一連の攻撃が終わり両者にらみ合う。

シフトは【空間転移】でドラゴンの背中に移動し鱗にナイフを突き刺す。

バリィーーーーーーーン!!!!!!!

「なっ!!!」

ナイフは龍鱗に触れた瞬間粉々に砕けたのだ。

このときシフトは昔読んだ本を思い出す。

『龍の炎は敵を灰にする』

『龍の羽ばたきは敵を吹き飛ばしあるいは動きを封じる』

『龍の爪は鋼をも引き裂く』

『龍の尾は障害を薙ぎ倒す』

『龍の鱗は鋼をも弾く』

そもそも鋼も弾く龍の鱗に鉄製のナイフが通る訳がない。

本来なら弾かれるか折れるか曲がるかだがシフトの攻撃はどれにも当てはまらない『砕け散る』だった。

ドラゴンはシフトのことを危険と察知し警戒レベルを数段階上げた。

一方のシフトは物理攻撃手段が格闘と【念動力】だけになった。

唯一の武器であるナイフが通じないどころか粉々に『砕け散る』など予想外のことだ。

せめて傷の一つでもつけば儲けものだったがまったくの無傷だ。

お互い攻めあぐね、膠着状態が続いた。

下手に動くことができず、悪戯に時間だけが過ぎていく。

そんな時間も長くは続かなかった。

先に痺れを切らしたのはドラゴンの方だ。

ドラゴンは背中の翼を羽ばたかせたのだ。

その暴風がシフトに襲い掛かる。

「ぐうううううぅっ!!!」

吹き飛ばされたら最後動けなくなった身体に炎や爪で止めを刺すだろう。

必死にその場に留まり続けるシフト、しかしドラゴンは追撃をやめない。

なんと灼熱のブレスを放とうとしているのだ。

(暴風に炎!! まずい!!!)

慌てて安全圏を探し【空間転移】する。

数瞬後シフトが先ほどまでいた場所は炎に包まれていた。

間一髪その空間からの離脱に成功した。

「あ、危なかったっ!!」

ドラゴンは辺りを見渡してシフトが生きていることに驚愕した。

刹那の時間、確かにドラゴンは油断していた。

今がチャンスとばかりにドラゴンの左側面にある大岩を【念動力】でぶつけたのだ。

ドゴオオオオオォォォォォーーーーーン!!!!!

大岩は見事にドラゴンに直撃して広範囲に砂埃が舞った。

避けられない完全な不意打ちからの一撃。

(やったか?)

しばらくすると粉塵が消え悠然と立っているドラゴンがいた。

外傷はなく平然とこちらを見ている。

(うそだろぉ・・・)

すぐさま攻撃をしかけてくるかと身構えるが攻めてこない。

先ほどの短慮な自分を戒めて相手の出方を待っている。

後の先・・・つまりカウンターを狙っているのだ。

一方のシフトは相手の戦力と自分の勝ち筋を考えていた。

目の前のドラゴンの攻撃は主に炎、暴風、尻尾、爪の4種類、これで魔法があったらお手上げだな。

炎、暴風、尻尾は【空間転移】、爪は【五感操作】でそれぞれ回避できる。

問題は自分の攻撃手段。

武器は・・・代えはない。

そもそもこのフロアでは武器自体を見かけてなかった。

なので【空間収納】の中にも武器になるようなものは一つもない。

素手で殴っても龍の鱗に阻まれてダメージを受けないだろう。

スキルは・・・【念動力】は先ほど使ってダメージなかったので×。

【限界突破】は自分に使えば自爆しかねないし、ドラゴンに使えばどこまで脳を疲弊できるかわからないし×。

【偽装】は武器を持っていると威嚇はできても倒すのは無理だし、背景と同化してもここから脱出できるか怪しいので×。

【即死】は・・・ってあれ?

そういえばどう使うんだっけ?

・・・んんん・・・あ、思い出した!

スキル【ずらす】の発生条件で鬱になってて詳しく確認するの忘れてた。

ああ・・・使い方がわからないので×・・・でいいのかな?

結論、武器×、スキル×と打つ手なし、尻尾巻いてこの場は逃げるのが上策だが・・・

(さて・・・どうする? 撤退するか? いやダメだ、背を見せたら炎と暴風攻撃が始まる)

何度考えても思考の無限ループに陥っていく。

プツーーーン。

シフトはついに切れた。

「あああぁぁぁーーーっ! もう、石でも食べて死んでしまえぇーーーーーっ!!」

シフトは大声を上げながら足元にある手頃な紅い石を掴むとドラゴンに投げた。

ドラゴンは威嚇するために灼熱のブレスを放つために口を開けていた。

シフトが投げた『何か』を弾こうと口を慌てて閉じる。

が、それより先に石が口の中に入ってしまった。

そして口内の炎が石に触れた瞬間・・・

ドゴオオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーン!!!!!!!

ドラゴンの口の中で大爆発が起こった。

(・・・え?)

ドラゴンの口から煙がもうもうと立ち上がっている。

しばらくドラゴンの巨体がぐらぐらと大きく揺れて、

ズドオオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーン!!!!!!!

耐えられなくなった巨体は横に倒れた。

頭の中には久しぶりに聞く声が響いてくる。

≪レベルアップしました≫

≪レベルアップしました≫

≪レベルアップしました≫

が、頭の中の声よりも現在目の前の出来事に呆れているシフトだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

幻世の作品一覧

【完結済】

スキル【ずらす】で無双する
全 394 エピソード  1 ~ 100 エピソード  101 ~ 200 エピソード  201 ~ 300 エピソード  301 ~ 394 エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【連載中】

追放された公爵子息の悠々自適な生活 ~スキル【現状維持】でまったりスローライフを送ります~
1 ~ 100 エピソード  101 ~ エピソード
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕


【短編】

怪獣が異世界転生!! ~敗北者をナメるなよ!! 勇者も魔王もドラゴンもみんな潰して異世界崩壊!!!~
ジャンル:パニック〔SF〕 ※異世界転生

「お前をパーティーから追放する」と言われたので了承したら、リーダーから人脈が芋蔓式に離れていくのだが・・・
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

潔癖症の私が死んで異世界転生したら ~無理です! こんな不衛生な場所で生きていくなんて私にはできません!!~
ジャンル:ヒューマンドラマ〔文芸〕 ※異世界転生

王太子殿下から婚約破棄された上に悪役令嬢扱いされた公爵令嬢はクーデターを起こすことにしました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

敗北した女勇者は魔王に翻弄される ~くっ、殺せ! こんな辱めを受けるくらいなら死んだほうがマシだ!!~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

目の前で王太子殿下が侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡すイベントが発生しました ~婚約破棄の原因は聖女であるわたし?!~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

パーティーから追放された俺に待ち受けていたのは勧誘の嵐だった ~戻ってこいといわれてもギルドの規定で無理だ、あきらめろ~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

君が18歳になったら
ジャンル:現実世界〔恋愛〕

追放した者たちは依存症だった件
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

高給取りと言われた受付嬢たちは新任のギルドマスターによって解雇されました ~新しく導入した魔道具が不具合を起こして対応できなくなったので戻ってこいと言われましたがお断りします~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

ダンジョン奥深くで追放された荷物持ちは隠し持っていた脱出アイテムを使って外に出ます ~追放した者たちは外に出ようとするも、未だにダンジョン内を彷徨い続けていた~
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕

王立学園の卒業パーティーで王太子殿下から改めて婚約宣言される悪役令嬢 ~王太子殿下から婚約破棄されたい公爵令嬢VS王太子殿下と結婚したくない男爵令嬢~
ジャンル:異世界〔恋愛〕 ※異世界転生

婚約破棄された公爵令嬢は遠国の皇太子から求婚されたので受けることにしました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

異世界にきて魔女としてエンジョイしたいのに王子殿下を助けたことで聖女に祭り上げられました
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転生

隣国の夜会で第一皇女は初対面の王太子殿下から婚約者と間違えられて婚約破棄を言い渡されました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

追放された聖女は遠国でその国の聖女と間違えられてお帰りなさいと温かく歓迎された
ジャンル:異世界〔恋愛〕

聖女として召喚されたのは殺し屋でした
ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕 ※異世界転移

異世界から召喚された聖女?
ジャンル:異世界〔恋愛〕

この家にわたくしの居場所はないわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

闇の聖女は砂漠の国に売られました
ジャンル:異世界〔恋愛〕

「君を愛することはない」と言いますが、そもそも政略結婚に愛なんて不要ですわ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

婚約破棄? それならとっくの昔に言い渡されておりますわよ
ジャンル:異世界〔恋愛〕

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ