104.1戦目:フェイVs『鉄壁』ヴォーガス 2戦目:ローザVs『剣聖』アーガス 〔※残酷描写有り〕
ぼくの相手は『鉄壁』ヴォーガスとかいう見た目完全悪役のモヒカン頭だ。
「あん? 俺の相手をしようっていうのかメスガキが!」
「黙れよ、独活の大木。 これからぼくが完膚なきまでにボコボコにしてやるから」
「ははははは・・・」
「ははは・・・」
「「殺す!!」」
ぼくとヴォーガスは同時に動いて相手に突進する。
ヴォーガスは力任せの拳でぼくを殴ってきた。
ぼくも両の拳に【風魔法】を纏わせてヴォーガスを殴る。
お互いの拳がぶつかり合い、力が相殺された。
そこからはお互い一歩も動かずにインファイトでの殴り合いだ。
ヴォーガスはただ力を乗せただけの攻撃をしてくる。
見た目パワー型かつ無尽蔵の体力が物を言わせる攻撃スタイルだ。
一方のぼくは【武闘術】を最大限に生かした上で【風魔法】も使用している。
もし【風魔法】を使わないで殴り合っていたら今頃ぼくの拳はボロボロで使い物にならないだろう。
さらに【闇魔法】の相手の生命力を吸収する魔法も同時に発動させている。
これによりぼくの魔力もガンガン減っていく。
一見互角に見える戦いだが一撃喰らうまたは魔力切れを起こした瞬間ぼくの敗北が決定する。
それでもぼくはこの接近戦をやめない。
なぜならこいつはぼくを怒らせたからだ。
(胸がない娘だ? ふざけるな! 世の中胸がすべてではないことを思い知らせてやる!!)
お互い拳打での攻防が続いていたが先に引いたのは意外にもヴォーガスだ。
外見から絶対的に有利なのにヴォーガスはぼくから距離をとった。
その額には無数の汗が流れ、息が荒くなっている。
一方のぼくは汗をかいておらず、息も乱れてはいない。
ヴォーガスの生命力を吸収しつつ戦っているのだ。
疲れないのは当然だろう。
ぼくは右手で手招きするような仕草をしながら挑発した。
「どうした独活の大木? もう降参か? 見た目だけでたいしたことないな」
「ぐぬぬぬぬぬ・・・ふざけんなよ!! このメスガキが!! この一撃でぶっ殺してやる!!!」
ヴォーガスは右手に全パワーを集約している。
おそらく先ほどのを何倍にもした攻撃を繰り出してくるだろう。
ぼくは【風魔法】を身体に纏わせてヴォーガスの攻撃に備える。
「くっくっく・・・死ね!!!」
ヴォーガスは先ほどのスピードを凌ぐ速さで接近しぼくに拳をぶつけようとするが、寸でのところで躱してバランスを崩している足を思い切り蹴った。
するとヴォーガスは見事に何回転もしながら転がっていく。
しばらくすると仰向けになって止まると体勢を立て直す前にぼくはマウントポジションをとる。
「くっ! て、てめぇ・・・」
「覚悟はいい? いくよ~♪」
ぼくは悪魔の笑みを浮かべるとヴォーガスの額に【風魔法】を纏った拳で殴る。
皮膚は切り裂かれそこから血が流れていく。
それを皮切りにぼくはしこたま殴った。
それはもう雨霰のごとく顔面を殴り続ける。
「て、てめぇ・・・い、いい加減に・・・ぐはぁ!!」
まだ余裕があるようなのでひたすら殴る。
「も、もう・・・がぁ! ・・・や、やめ・・・げふぅ!!」
最初の反抗的な言葉から徐々に弱弱しい言葉へと変わっていく。
抵抗しようとしていた手も今では殴られないように顔を守っている。
「これで止めだ!!」
ぼくは右手に今までにない力を集約させる。
さらに【風魔法】を台風のように纏わせた。
それを見たヴォーガスは血の気が引いたのか慌てて説得する。
「ま、待て!! はなせ・・・」
「くらえ!!!!!」
言葉を紡ぐよりも速くぼくは拳を振り下ろすとガードごと破壊してヴォーガスの顔面に直撃した。
ボキン!!!!!
「ぐぁ・・・ああぁ・・・あぁ・・・」
ヴォーガスの腕だけでなく鼻の骨が折れ、その衝撃で後頭部は地面に叩きつけられる威力を受ける。
あまりの痛みにヴォーガスは気を失ってしまった。
「ふん! 世の中の女をナメるなよ!!」
すでに気を失っているので言葉は届いていないと思うが一言いっておかないと気が済まない。
ぼくは立ち上がり、離れると身体を左右に動かした。
久しぶりに全力で戦闘したなぁ。
それにしてもシリアスな展開ってぼくには似合わないよなぁ・・・
ぼくにはやっぱりポジティブな思考こそが似合うとフェイちゃんは思うのでした。
わたしの相手は『剣聖』アーガスとかいう男だ。
「まな板娘と言ったが顔は悪くないようだ。 これなら最低限は楽しめそうだ」
「悪いがわたしの趣味じゃない。 他をあたってくれ」
「その減らず口もすぐに喘ぎ声に変えてやる」
「やれるものならやってみろ」
わたしは突進し袈裟斬りで攻撃するとアーガスは軽々とそれを受け止める。
「ほう、顔に似合わず良い踏み込みの一撃を放つものだ」
「随分と上から目線だな」
「当たり前だ。 某を誰だと思っている? 『剣聖』アーガスとは某のことよ」
「『剣聖』? もしかするとあのレアスキルの『剣聖』か? それにしても使い手がこんな屑とは正直がっかりだ」
「くっくっく、お主にどれだけの才能があろうとこのスキルを持つ某には剣では敵わないのだよ」
「果たしてそううまくいくかな?」
アーガスは自分のスキルに絶対の自信がある。
だからこそあのような大口を叩くのだろう。
だが、わたしにも【武器術】がある。
かつてご主人様はわたしの【武器術】について詳細に教えてくれた。
『ローザのユニークスキル【武器術】は【剣術】、【槍術】、【斧術】、【鎌術】、【弓術】からなっている。 【剣術】だけを極めても【武器術】は強くならないんだ』
『他の武器レベルを上げれば強くなると?』
『その通りだ。 単純な足し算・掛け算ではなく、相乗効果で強くなる』
あれからわたしは剣だけでなく槍、斧、鎌、弓も満遍なく使っている。
お陰で【武器術】のレベルが上がり、それに伴いわたしの剣術も以前の数倍から数十倍に威力が跳ね上がっていた。
剣術だけを極めようとしていたあの頃とは訳が違うのだ。
わたしはこのまま押し込むのを止めて距離をとる。
それを好機と捉えたアーガスが今度は自分だと攻めてきた。
その剣はわたしの武器のある一点を攻撃するとさらに同じ個所に攻撃を加える。
そして数合打ち合って確信した。
(こいつ! 狙いは武器破壊か?! ならば・・・)
わたしはあえてアーガスの思惑に乗ることにした。
「どうした? 諦めて某の女になるか?」
「冗談、お前の女になるくらいなら死んだほうがマシさ」
「くっくっく、その態度がいつまで持つかな?」
わたしとアーガスは数合数十合と打ち合う。
そしてついにその時が来た。
アーガスの一撃に耐えられずわたしの剣は折れたのだ。
(すまない、わたしの剣)
わたしは心の中で自身が作り鍛えた剣に謝罪する。
「くっくっくっくっく、気付いてないだろうが某は最初からお主の剣だけを攻撃していたのだ。 これで無力なお主をいたぶれるわけだ」
「・・・」
「大人しく服を脱いで全裸になり進んで股を開け。 そうすれば某が可愛がってやる」
勝利宣言をするアーガスを見てわたしは勝利を確信した。
「うふふふふふ・・・」
「?」
「あははははは・・・まさかここまでうまくいくとはね」
「何がおかしい? 武器が破壊されて気でも触れたか?」
「いや、お前がわたしの武器の一点を攻撃しているのはすぐにわかった。 だからわたしはあえてそのように仕向けたのさ」
「強がりは止すんだな」
アーガスは強気な姿勢でわたしに近づいてくる。
「見せてあげるよ。 わたしのスキル【武器術】の本当の力を」
「?」
わたしは腰の2本のナイフを抜くと構える。
「さあ、かかってくるがいい」
「ふん、二刀流だと? リーチが短くなったのも理解できないとはな・・・愚かな女だ」
「かかってこないのか? ならわたしから行くとしよう」
それだけ言うとわたしはアーガスに攻撃を仕掛けた。
アーガスはわたしの攻撃を受け止めようとするがそれよりも速くアーガスへ同時攻撃が迫る。
「!!」
2本のナイフでの攻撃をアーガスは受け止めずに回避した。
わたしのナイフの剣身は炎で燃えているのだから。
攻撃する直前にナイフにはめ込まれた魔石に魔力を送り炎を纏わせ、ナイフをミドルソードくらいの長さに見せかけたのだ。
これによりわたしの攻撃範囲は先ほどの剣の時とほぼ変わらない。
おまけに掠れば炎がアーガスを焼く。
【武器術】のおかげで2本のナイフを苦も無く扱えるのだ。
それに対して防戦一方になったアーガス。
先ほどの一刀での戦いに慣れてしまったせいで、わたしの攻撃についてこれなくなってしまったのだ。
慣れる前にわたしは全力で攻撃を繰り出し続けた。
アーガスは避け続けるがついに左腕に一撃を与え、ついでに炎も襲う。
「ぐわあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!!」
火の回りは早くアーガスは武器を落として火を消すことに集中していた。
そこにわたしはもう一撃右わき腹を刺すとアーガスは苦悶の表情を見せる。
「わたしの勝ちだな。 これに懲りたら二度と胸がない女を馬鹿にするな」
わたしはアーガスを見下した。




