【閑話】テネレス公爵令嬢と元・王女
投稿遅れてすみません。
閑話です。
リリアンヌが孤児院偵察を終えたとき。
テネレス公領の屋敷では……。
「リリアンヌさんが、魔力過多症の人間を……?」
レイラ・テネレス公爵令嬢は、紅茶を飲みながら、王都に向かわせた従者の報告を聞いていた。
否、従者ではない。
彼は、テネレス公爵家が王家に派遣していた『影』である。
テネレス公爵家は、二大公爵家の肩書を持つと同時に、建国当時から王家に仕えてきた忠臣だ。
その中には変わり者も多く、使い方を間違えたら飼い犬に手を嚙まれるのごとく、喉笛を嚙み千切られる。それは、飼い主の王にしか従わず、飼い主であり変わり者一族と呼ばれる王家であっても手を焼く存在だった。
まさに狂犬。ゆえに、王家はテネレス公爵家長女、レイラと王太子レオンハルトの婚約を結んだ。
その狂犬たちが担うのは、王家を陰から守ること。
これは、王と数少ない一部の高位貴族の者たちしか知らないことであった。
それを知らない王太子レオンハルトは、レイラとの婚約を破棄してしまった。そして、己が家よりも位が低い、末席の伯爵家の娘を婚約者と定めた。定めてしまったのだ。
男兄弟しかいないレイラを溺愛していた公爵、そして兄弟たちは大いに荒れた。
それはもうすごかったのだ。王家に五分に一回の頻度で抗議文を、しかも公爵、長男、次男、三男、四男が全員出すし、おまけに文官職である長男は部下に通常の二倍、三倍の仕事を割り、騎士団団長の次男は部下や王家の近衛騎士たちにスパルタ特訓させるし……と。公爵はもっとすごかった。えぐいので言わないが。ご想像にお任せしよう。
テネレス公爵家は、変人ばかりである。前記の嫌がらせなんて、始まりに過ぎない。もっと自分たちの『変なところ』を活かし、何十倍にも弾んで報復してくる。
「リリアンヌさんが……すごい方法ね。その子供たちと家族の心を守りつつ、自分を貶めた王家に対して餌をやり、謀反にならないようにしたなんて……さすが、私の義妹だわ」
それは、レイラも同じこと。
――自分を捨てた王太子を、許さない。
レイラはこの約一年間、そう決意を胸に過ごしてきた。
が。
「はぁぁぁぁぁああああああっ⁉リリアンヌさんが……?」
リリアンヌが、クレーレ領主になったと聞き、レイラはキレた。
レイラにとって、リリアンヌは将来の義妹である。可愛い、可愛い、十四歳の義妹。なのに……!
レイラは、王に直談判した。親兄弟たちも、例の嫌がらせを加速させた。
だが、その抗議もむなしく、文官によって蹴散らされた。抗議文は一年続いたものだったし、一公爵令嬢の抗議なんて我らがリーナに比べたらゴミ以下……という考えに基づいたものだった。
なので。レイラは、クレーレ領地に行くことにしたのだ。
そして、リリアンヌの考えを聞き、それに従う。それに基づいた行動をし、できる限り協力する。
レイラは決意し、影に頼み、そちらに向かう旨を書いた文を届けた。
親兄弟たちが、後に悲鳴を上げる声がした……。
✫ ✫ ✫
「へっくしょん!」
リリアンヌは、くしゃみをした。後ろで、ジークの気遣う声が聞こえる。
(だ、誰かわたくしの噂でもしていますの……?)
悪意ある噂じゃなければいいな、と、リリアンヌは思った。
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お気づきの方もいるかもしれないが。
リリアンヌは十四歳、この国の成人は宗教に基づき、十六歳から十八歳。地域ごとに違ってくる。
つまり、リリアンヌは本来ならば領主になれない。
これは王の思惑がかなり絡んでくる謎なのだが……。
誰にとっての幸か不幸か、気付く人はまだ古来より存在する神々も知らないだろう。
閑話につき、短めでした。
すみません。プロローグの後に入ってしまうこと、ご了承ください。
前の話をいくらか改稿しました。よろしければご覧ください。
ご読了有り難うございました!次もよろしくお願いいたします!




