エピローグ
短めです
その後、クレーレ領はリリアンヌ・クレア・ティメイアの指示のもと、目ざましい成長を遂げた。
その中でもセシル、ブレッド、ジーク、カイル、そしてメイラ・フェルンはそれに貢献し、全世界へと名をとどろかせるまでとなった。
だが、その中でも領主たるリリアンヌの名を聞くことは、少ない。
その理由は後世の専門家が、「彼女は部下の功績を目立たせるために、わざと自分の名を遺すことをしなかった」という見解を示したために、ティメイア王国及びクレーレ領の人気は高まった。
しかし、とある本がある。
ティメイア王国一のバカンス地、クレーレでは聖書と称される、「ティメイア聖女伝」である。
その中では、彼女は主人公であり、正真正銘の『聖女』なのだ。
ティメイア聖女伝で有名、かつ人気なのは、彼女が偽りの聖女を断罪する場面だ。
それを知らぬ者は、この国の者ではない、とも称されるほど、偉大なる場面である。
そんな有名な領主の最期を知る者は、その時から二百年以上たった今、存在しない。
とある孤児院から養子をとり、若いうちに隠居して逝った、だとか、暗殺された、だとか、いろいろな話はあるが、誰も確かめる術は持たない。
ただ一つ、分かっているのは、彼女が三十もいかない歳で亡くなった、というだけである。
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「ふぅー、やっぱり、ここで過ごすのは良いですわね」
リリアンヌ・クレア・ティメイアは――確かに亡くなった。
彼女が二十九歳の誕生日を迎えたとき、リーナ・メーデルに刺殺された……ということになっている。
だが、本当は死んでいない。確かにリーナに殺されかけた。一ヶ月間、生死の境をさまよった。
だが、王都の優秀な治癒師や医師のお陰で、何とか生き延びることができた。
王は、これ好機と、リーナを秘密裏に始末した。
そのとき聞かれたのだ。『領主としてまた復活するか、それとも王家の領地で隠居するか』と。
ちょうど養子もとったリリアンヌは、後者を選んだ。
セシルたちには迷惑をかけるが、そろそろ彼女も重責から解放されたかったのだ。
「創造神さま、わたくしは今日も、幸せですわ」
リリアンヌは、そっと、呟いた。
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二百年後の今。彼女の生涯を探求する、『リリアンヌ王女の専門家会議』なるものが定期的に開催されていることを、彼女は知る由もない。
完結です!
もしかしたら第二部や短編集を、始めたり始めなかったりするかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願いいたします。
有り難うございました!




