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ゆる神

初詣

やりたい時が

初詣


「ゆるい!」


草薙の声が響く。

蒼生大和の神社が祀る神が詠んだ俳句である。


「ゆるい神だな。神の風上にもおけん」


「それ詠んだのお主なんじゃがの」


「なぁに、些細な事だとも」


「そじゃろか?」


草薙と天代がゆるく話をする。

そして――


「主様!」


「天代様」


女達が並んだ。


「主様


「お主ら、実質とっくに詣でとるようなもんじゃけどな。長殿にたんまり奉じておったじゃろう」


天代がうむうむと言った。




「天代様。私め達の神は主様です」

「新春落ち着いた折、改めて、尊崇の礼を尽くしたいのです」


「長殿……お主……」


「ハーレム神じゃな!」

「王とお呼び!」

神は敷居が高い。

「えっ!? 長殿がそれいう」

「王とお呼び!!」


「あ、大事な事なんじゃな」


「ゆるく生きたいんだ」


「ふぉっふぉっふぉっ。風のように自由でけっこうじゃの」


穏やかな春の風が吹く。


(嵐の前の静けかね)


束の間の平和。だが


「――それもまた良し」



「「「主様」」」

女達が、詣をする。

詣でをするのは――ある

蒼生大和の女達が丁寧に手順を踏む。


手酌で水を清める。

右手で柄尺を持つ。

左手を洗う。

左手で柄尺を持つ。

右手を洗う。

柄尺を右手に持ち替える。

左手に水を受ける。左手の水を 口に含む。

左手の手の平を洗う。


「……丁寧だな」


作法にのっとっている。


「ざっくりでいいぞ。

虚神、作法とか風習とか気にせんから」


「むむぅ、奉られてる本人がいうと説得力半端ないのぅ」


「只の日本人だとも」



「も、申し訳ありません主様」

「主様の気遣ってくださるのは嬉しいのですが」


「……わかった!!」


「いやまぁお主が言うならそりゃまぁいいんじゃろうが」


「きちんとやりたいならまぁ――それもまた良し」


「自由じゃの〜」


作法にこだわらない

逆にいうと作法を真面目に守るのも良しなのだ。


「自由やで」



女達が詣でる。

女達が詣でるのは――主だった。


祈る。 


一斉に。

一様に。

祈る美女軍団。


女達の祈りは一つだった。


一人の主への無事。

女達の祈りが主へ向けられる。



「「ありがとうございました、主様」」


姿勢を正し、礼をする女達。


二拝ニ伯手一拝。

主を詣でる美女軍団。


それは尋常の光景ではなかった。



あまりにも官能的


一つの詣

一つの信仰

一つの――ハーレム。


それもまた良し。


引用

https://hhh.fanbox.cc/

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