作家向け〜読者に期待するな。自分に期待しろ。
以前の僕がこうだった。
そして未来の僕は再び期待する。
その時はこれを見返す。
作家、特に商業作家を目指す場合、作家は避けては通れない期待を読者に抱く。
「これだけ面白いのだから、読者はブクマしてくれるだろう」
「嫌な異世界物を一生懸命書いたから、読者はポイントくれるだろう」
「1日で4回も更新したから、読者はブクマしてくれるだろう。ポイントもくれるだろう」
答えは否である!
作家、特に商業作家や商業作家を目指す人は、読者の期待に応える必要がある。
なぜなら読者はお金を払って貰うお客様だ。
客の期待に応えるのがプロの役目だ。
しかし、読者は違う。
読者は作家の期待に応える必要が無い。
「面白かった! でもブクマするのめんどいな」
「面白かったけどポイントつけるのめんどくさいな」
「良かったけどブクマするほどじゃないな」
「飽きたからブクマ外そう」
「書籍化したけどお金出したくないな」
上記は全て作家の期待を裏切る物だ。
しかし、そもそも読者は作家の期待に応える必要は無い。
さらに言うなら、その期待は作家が勝手に読者に期待している、いわば押し付けた期待だ。
だから裏切られたと思うことさえ許されない。
この事実に、作家の多くは絶望する。
「頑張ったのにブクマが増えない」
「嫌な異世界物を一生懸命書いたのに感想の一つもない」
「1日に4回も更新したのに変化が無い」
燃え盛るやる気の炎は消え去り、燃え尽きた人間と虚しさだけが残る。
もはや小説を見ることすら嫌になる。
時間を無駄にしたという失望が肩にのしかかる。
その重圧から逃れるため、他者を見下す。
「俺よりつまらないのに、ランキングに入っている。不正に違いない」
「作家になったあの人を真似たのにダメだった。あの人は不正をしている」
「小説を書くなんてオナニーだ。それなのに一生懸命やる奴は馬鹿だ」
「俺は才能が無かった。それは認める。でも馬鹿な読者も悪い。たとえ才能があっても、馬鹿な読者に読んでもらいたくないね」
精神を病んでしまう。
しかし、仕方ない結果だ。
読者に期待した作家が悪い。
それだけだ。
とても悲しく、やる気を削ぐ真実だが、目を逸らすことは許されない。
それでも人気作を書きたいと思うなら、
作家がすべきことは、読者に期待することでは無い。
自分に期待することだ。
「読み返すと、前作は読みにくかったから、行間を意識しよう。そうすれば自分は面白いと思える」
「読み返すと、前作は展開が遅過ぎてだれている。今回はもう少し展開を早くしよう。そうすれば自分は良いと思える」
何度も何度も自分と見つめ合う。
なぜなら、他者は期待を裏切るが自分は裏切らないから。
自分は自分を裏切る、信じられない。
そう思ったら、いったん休もう。
あなたは自棄になっているだけだ。
一月、半年、一年、気の済むまで休もう。
今のまま頑張っても、成果は出ない。
精神を病んだ人間の作品は、正常な人に理解出来ないためだ。
うつ病が理解されないのと同じだ。
だから、思う存分休め。
そして、再びやる気になったら、前作を見返そう。
「どこを直せば、納得できる作品になる?」
そう思った時、前作よりも面白い作品が書ける。
あなたという読者が面白いと思える作品が書ける。
地道な積み重ねが、プロや人気作家の道。
僕はそう信じている。
上記に該当しない作家も居るだろう。
その人はとても幸せだ。
でも、未来は分からない。
考えが変わった時は、読者ではなく、自分に期待しよう。
そうすればまた幸せになれる。
そう信じている。