3話 ハルトは新たな仲間を手にいれた 前編
土日くらいしか比較的上がらないけどやる気が続く限りは続けるつもりです(´・ω・`)
あれから2日、ウルロアは回復魔法と自身の肉体の回復速度で半日で完治し、そしてあの侵入事件もあってか入学式は今日執り行うことになった。試験もウルロアと一緒で満点。あの脳筋そうな見た目なのにまさか筆記もいけるとは驚いた。どうやら四天王を目指すものだけにある様子だったが━━で、今学院の寮の夜、ウルロアと一緒の部屋の1番豪華な部屋、リビング完備の一つの家のような、そのリビングの机を挟んで、今、
「ラインハルトさん!、俺様を━━いえ俺を弟子にしてくれ、いえください!」
何故かアイツの師匠にさせられようしていた。こいつの心の色も前は赤色だったものが今では好意の桃色だよ、なにがあったんだほんと。
「まて、いろいろとおかしいぞ」
「いいんじゃない?、わぬしも仲間欲しかったんでしょー」
ゼルも満面な笑みである。まぁこいつとも長い付き合いだし、魔眼で見た色が黄色だから面白そうだと思っていることも把握してるが。
「ゼルは少し黙っていてくれ」
「師匠、その隣に立っている美しい黒のドレスのかたは?」
「あー、ゼルセーマ、自分の神け・・・従者だ」
試験官にも従者で通している。何人か魔族の貴族にいるらしいな、ほとんどがゴーストとかあとはホブゴブリンとかだが
「なるほど従者ですか!」
「そうそう従者従者、それじゃあそろそろ良い時間だしね━━」
「逃がしません!、良いからお話を聞いてください」
「・・・できるだけ短くな」
自分は半ば諦めて話を聞こうと思う、やっと話せると思い
「はい!、ではまずこの姿を見せることからですかね」
ウルロアはカーテンをしめて綺麗な満月を隠す。次になにやら力を込める、段々と毛むくじゃらな身体や顔が人のそれに近づいていき、数秒経つ頃には獣耳以外はほとんど人間のような姿になっていた。
「ほう、人間と狼人のハーフか。ほとんどが五歳になる前に死ぬ存在、人族にとっては迫害の対象だな」
「よくご存知のようですね。そう、俺はいわゆる半魔です。親のどちらも強者だったことが幸いしていろいろな強さがこの身体にあります。ほとんどが狼人の姿なのは故郷の村で人間の姿は駄目だと父に言われたからです。ちなみに父が狼人で母が百獣魔法を使う人間でした」
「ほうほう、それで何故自分の弟子になりたいとか最初の頃から180度違う発言を?」
「村で最強だった俺はシュラア様に推薦されてこちらに来ました。そして俺にはある一つの目標がありました。『最強になるために同年代の師匠を持て』と。離れていては何時か相手が老衰してしまうし、下は狼人の誇りで駄目だと父に言われました。ですがラインハルトさんはあれほどの相手に勝って見せました。一応聞いておきますがあの程度の試験のゴーレムなら俺より早く倒せましたよね?」
「ほんといろいろと知らないんだな、ゴーレムは魔力でできた岩の魔物だ。その魔力は一定ではなくある魔力量のときに切るとどちらも停止しないで動くわけだ。たぶんそれに気づかないで試験官の何人か襲われて━━この話はもう良いか。てか同い年かよ、それで続き」
「はい、まず嫌っていたのは傲るやつだと思っていたから。あとロウジンという我らが1番嫌う言い方をしたからです」
「おう、それはすまんかったわ」
「はい、では最後に弟子に━━」
「しないない・・・ただ弟子にはしないが仲間にはなってほしいな」
「仲間?」
「一緒に戦うやつさ。別に今のところ必要ないが人族と争うことになるとき一人なのは厳しいからな。弟子としてではなく仲間として強くしてやることはできるぞ」
「なるほど・・・では仲間としてこのウルロア・ヴェアロー、粉骨砕身の気持ちでラインハルトさんの下で強くなります!」
「ん、それじゃあ今日は寝るぞ━━あとどうせならハルトで良いぞ、それかライン」
「はい!、ハルトさん!」
「ウルロアが仲間になった━━なんてね」
「ゼル、やかまし」
・
そして朝、自分とウルロアは寮にゼルを残して入学式に出た。場所は講堂兼体育館。戦えるよう頑丈につくられた黒い制服を着用し他の入学生と共に待っていると、一人の魔族が壇上に現れる。真紅の髪をなびかせるその人は、自分と同じ竜人で胸に金色の竜の頭を模したバッチをつけていた。
「私はここの生徒会長を任されているアリアンナ・ゼブルという」
ほう、ゼブルか。ゼブルと言えばバアル様と同じか・・・まさかの娘がここの生徒会長かぁ、シュラアさんめ、凄いところに入学させたな。
「今日入学してくれた200名の強者諸君、どうか弱者にならぬよう常に研鑽を積み重ね、止まることなきよう努力してくれ。さて、さっそくだがその中でもシュラア殿に推薦され、主席と次席となった二人をここに招こう。どうぞ来てくれ、ライン・ハルト君、ウルロア・ヴェアロー君」
まぁこうなるか。おとなしく自分とウルロアは立ち上がると、壇上に上ってアリアンナさんの隣に立つ。
「さて・・・ではまず」
するとアリアンナさんは腰の剣を抜き、殺意と共にその一刀を振るった。狙いはこちらの首であり、自分はその剣筋を見て屈んで避ける。あれはさすがに手で掴もうとしたらスパッといくな。これ他の奴らから見たら速すぎてなにが起こったのかわからんだろ。予想通り下の生徒達は一瞬ぽかんとしていたが、すぐ何が起きたか理解して拍手を送る。隣のウルロアとアリアンナさんも同様に拍手をした。
「さすがはハルトさん、今のを避けますか」
「・・・まさかお前見えてないのか?」
「・・・すみません」
「さて、今のでわかってくれたとは思うが私と同等かそれ以上の強者だ。元勇者程度のことでこいつを認めない弱者は名乗り上げて見せよ!、私が成敗してやろう」
あ、元勇者伝わっていたんだ。まぁそれに異議を唱えるものはいない。代わりに拍手が更に大きくなっていくと、アリアンナさんが手を上に出して静まらせた。
「さて、一つ君ら二人に問おう。ハルト君、君は弱者とはどういう存在だと思うかい?」
「無論、人を蔑む者、差別する者、嘘をつく者かな」
「正解だ、どれも下等で醜い精神から生まれるものだ。では強者とはなんだねウルロア君」
「めっちゃ強いやつ!」
「雑だが概ね正解と言えるから困るな。他者のために動け、尊重できる者をつければ百点だったね」
「がむむ・・・」
「さて、では最後に一言くれるかなお二人とも」
「では自分から行こう・・・これから誠心誠意この学院で生活することをここに誓う。あと自分の力を直に感じたい者は何時でもこい、殺さない範囲で相手をしてやる」
その言葉に歓声があがる。立ち上がり今にも襲ってきそうだ。まぁ何人でもこいって感じだが。
「良いね、手加減してやるといいたいのかね」
「では今度は俺だ、最強を目指しているんでよろしく!」
先ほどより歓声は少ない、てかアリアンナさんは少し笑みを浮かべている。まぁ最強を目指すというのはアリアンナさんを倒すと言っているようなもんだからな。
「面白いね君も。さて後は各々教室で説明の紙を貰っていくこと。後は先生達から聞くように。それでは解散!」
それだけ言い終えるとアリアンナさんは指を一回鳴らしこの場から消える。無詠唱転移魔法か、これはまだ本気がどこまでか計れないなうん。
「思っていたよりも楽しめるかもな、この学院」