プロローグ
二章の始まりです
「エル、動きを止めろ!」
「……ん」
指示に従ったエルは地面を隆起させて岩の柱で白い毛の四本腕のモンスターを囲い、動きを封じる。
動きを封じこめてしまえば後は簡単だ。火炎玉の魔法を動きを止めたモンスターにぶつける。
「やったか」
炎を浴びたモンスターは黒焦げになっており、生き絶えている。
だが、一匹倒せたとはいえ、油断はできない。
「キュイ!」
早速、次のモンスターが現れた。
木の棍棒を手にした三匹のゴブリンだ。
数では劣るがゴブリン程度なら倍いても問題ない。
「エル、俺一人で仕留める。新手の警戒を頼む」
「……ん!」
エルに指示を出してから前進する。
上体を低くし一気にゴブリンに迫る。
俺に気付いたゴブリンの一匹が棍棒を振り上げるがその動きは遅い。
棍棒が振り下ろされる前に石槍の一突きで一匹を仕留める。
――――まずは、一匹目。
深く突き刺さった槍は手放し、生き絶えたゴブリンの棍棒を奪い体を捻った勢いそのままに二匹目のゴブリンを殴打する。
「グゴォ」
骨が砕ける感触を得ると共に二匹目のゴブリンは気を失いよろける。
視線を後ろに控える三匹目に向けると既に棍棒を振り下ろしている所だった。
棍棒を振り抜いた体勢ではステータスが上昇しているとはいえ避ける事はかなわない。
――――なら。
棍棒をも手放し空いた手で二匹目のゴブリンを掴み引き寄せる。
引き寄せたゴブリンを三匹目の棍棒の間に入れる。
――――二匹目。残り一匹。
「ギャ!」
自らの手で仲間に止めをさした事に驚愕しているゴブリンの眼球に指を突き入れ、そのまま薙ぎ倒すように腕を振りぬく。
「これで、三匹目……まぁ、こんなもんか」
魔力を纏わないでの多数戦だが思ったよりも冷静に対処できた。
「じゃあ、使えそうなもの剥ぐとするか」
モンスターは肉や武器等の素材として売ることができる。
ダンジョン都市アスタールでは依頼を除いても稼ぐ事ができる。
――――ダンジョン都市。そう、この都市にはモンスターが蔓延るダンジョンがある。
俺とエルは一ヶ月の間、ダンジョンでモンスターを倒し生計をたてていた。
そう、坂井との戦闘を終えてから既に一月の月日が経っていた。
のんびり更新ですがよろしくお願いします




