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コーヒー砂糖ミルクあり  作者: 長谷川真美
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【キスとキスの合間に】

この作品は恋したくなるお題(管理人:ひなた様)からお題をいただきました。

恋したくなるお題(配布) 管理人:ひなた様

http://hinata.chips.jp/

 帰り際にいつものようにキスをする。キスとキスの合間に空白ができる。その空白に耐えられない時が来た。「知世(ともよ)さん。俺のことをただの後輩だと思っている?」思わず強い口調になり発した言葉を消したくなったがそれはできない。空白は更に続く。知世さんはゆっくりと答える。「ただの後輩とはキスはしないよ」知世さんは怒って更に荒いキスを続ける。「今日、兄貴はアパートにはいないけど?」誘いをかける。誘いは受理された。知世さんは家族に帰宅しない旨を淡々と短く電話をした。研究が忙しく帰りが深夜になったり、学校に泊まったりする事が多い彼女の言葉はあっさり受け入れられた。「一度、悠人(ゆうと)の家に行ってみたかったんだ。」知世さんはどこか楽しげに語る。夜に男が一人の家に行くことの意味を知っているか疑問になったが問いかけるのも無粋だ。電車に乗ってアパートに向かう。駅に近づくにつれ緊張してきた。深夜でも営業しているスーパーで食べ物と飲み物を買う。スーパーの会計を済ますと見たくない顔を見てしまった。3歳年上の兄貴だった。「悠人、こんな遅くにどうした?」こちらが聞きたい。知世さんを見て、兄貴の顔がさらに微笑む。「あなたが椎名(しいな)さんですか?いつも愚弟がお世話になっています。」知世さんが丁寧に答える。そのやり取りをみていて頭が痛くなってきた。口から生まれただろう兄貴には好奇心しか感じられない。早くこの場から去りたい。兄貴は知世さんの情報をたんまり仕入れた後、何もなかったように研究室の仲間と合流して大学へと去っていった。


知世さんと二人きりにはなったがとてもではないが恋愛モードに変換できそうにない。アパートに向かうのは危険だと察知して知世さんと一緒に大型アミューズメント施設に向かった。知世さんは意外にも運動が苦手なことがわかった。ボーリングではガーターを連発し、バッティングセンターではバットを空に切ってばっかりだった。そんな中でも知世さんは笑顔を絶やすことはなかった。その笑顔につられて笑っていた。散々遊び倒して朝を迎えた。始発までの短い間の駅の待合室で遊び疲れた眠たげな知世さんはこちらに体重をかけていく。柔らかい体の感触を感じる。理性が勝つ我が身が悲しい。そんな気を知ったのだろうか知世さんが小さく「悠人のバカ」と囁く。その口をキスで塞ぐ。「今度は悠人の家に行くんだからね。二人きりでだよ。絶対だよ。」その独り言にも聞こえる言葉にゆっくりと子供を諭すように答える。「わかったよ。今度は一緒に行こう。二人きりでいよう。」朝の白い月の光の下この問答が続いた。キスとキスの間の空白は前よりも怖くなくなった。FIN.


この作品は『拝啓 愛しき君へ』のスピンオフです。

また、悠人と知世さんの二人を書けて楽しいです。

前作品と同じ、またはそれ以上に甘々にしていきたいです。


執筆中のBGMはハニーワークスでした。

ハニーワークスの甘さが伝染しているかもしれません。


まだまだこの二人とお付き合いして下さい。


2017年6月3日 長谷川真美


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