~第六話~元勇者、娘とお散歩する~
昨日お気に入り登録件数50件突破って書いたら
今日確認したら、80件突破してますよ。
ちょっと驚きです。評価も下さって、ありがとうございます。
勇者君と遭遇してから次の日。
結局あれから、勇者君が家に現れる事は無かった。つまり……旨く逃走成功したと言う事だと思う。
しかし……まだ安心は出来ないし……様子見も兼ねて、家の外に行くとするか……と決めようとしたら、娘のリアネが「お母さん……私も一緒に行きたいな……」と、可愛い顔で言って来た。これは断れないよね。本当に娘は天使だな……と思う。まあ……私と一緒なら、変に絡まれる事はしないだろう……と考えて、娘にもフードを被せようと思ったら、娘が「お母さん。私……そのままの格好でお出かけしたいな……」と、言われてしまった。そう言われてしまったので、娘にフードを被せる事はしなく、今日は娘と一緒にお出かけする事にしたのであった。
「お母さん、今日は何所に行くの?」
家の外に出て、娘のリアネがそう尋ねてくる。
そう言えば……特に行き先を決めていなかったな……とりあえず……
「リアネ? 何所か行きたい場所はある?」
リアネにそう聞いてみると
「えっと……じゃあ、お母さんがいつも行っている場所に行きたいかも……」
「いつも行っている場所? それは……仕事現場って事でいいのかしら?」
「うん、ちょっと気になるんだもん」
「あら、どうして?」
「だって……お母さん、その格好でしょ? その仕事現場の人にどう見られているのかな……って……」
「そ、そう……」
娘にそう言われてしまった。確かに今の格好は、フードを被っていて、顔がよく見えない状態だしな……
娘が気になるのもなんとなく解る気がする。まあ……あそこなら、特に問題は無いと思うので
「解ったわ、じゃあ案内するわね?」
「うん」
そう言って、娘と手を繋いで、私の仕事現場へと向かう事にした。
仕事現場に辿り着くと
「あれ? ナナさん? 今日はお休みですよね? 一体どうしたんですか?」
「ナナ、一体どうしたのだ?」
そう言ってきたのは、仕事仲間のタマコと、上司のバルバさんだった。
「今日は、この子が仕事現場を見たいというから、つれて来たのよ」
私は二人にそう言う。ちなみにこの上司のバルバさんという男は、私の素性。見た目の容姿を知っている。まあ……この仕事を紹介して貰った時に、色々と自分の事を明かしたしね。
「そうなんですか~あ~可愛い子ですね~」
タマコが、ニコニコ顔でリアネに話しかけている。うん、どうやら悪印象は与えていないようなので、ほっとした。リアネは、話しかけられてびくっとして、私の後ろにちょっと隠れた。
うん。動作が可愛いな? 本当に。
「あのナナさん? この子って一体?」
タマコがそう聞いて来たので、どう答えようか?と思っていると
「あの! 娘のリアネです……」
そう小さい声で言った。
「え!? ナナさんって、結婚してたんですか!?」
「む、娘だと!? け、結婚してたのか!?」
なんか……二人が凄い驚いているのだけれど。私が結婚してたら、そんなに驚く事なのか?って感じだった。まあ、結婚はしていないけど。
「結婚はしてないわ。けど娘と言うのは、本当よ」
私がそう言うと、バルバが
「しかし……とてもそうは見えんな……ナナは……あれだしな」
「あの、バルバさん? あれって何です?」
「あ、そう言えば、タマコは知らんのだったな? ナナ、タマコには教えてもいいんじゃないか?」
バルバさんがそう言うので、確かに……タマコには教えてもいいかな?と、思ったので
私は、被っているフードを脱ぐ。それを見たタマコが、驚いた表情をした後
「ナナさんって……エルフだったんですか?」
「違うわよ」
「違うのか?」
「何でバルバさんも驚いているのよ。前に説明したでしょ?」
「いや、身を隠す為に、嘘ついたんじゃないか……と、思ったからな」
「あ、何か納得しました。ナナさんがなんでいっつもフードを被っているか?を」
「ありがとう、やっぱり……この髪は、この国では珍しいわよね?」
「そうですね……珍しいと思いますよ? そ、それに……ナナさん……綺麗ですし。 男の人がほっとかないのもなんか解る気がします」
「確かにな。ナナ? その髪の色で困った事とかあったんじゃないか?」
「ありましたね。金貨200枚でどうだ?って言われましたし」
「金貨200枚!? す、凄い値段ですね……それがあったら、家買えますよ。本当に」
そうだったのか……じゃあ前に話しかけて来たあの男は、私にそのぐらいの価値だと思っていたって事なのか。 まあ、そう言われても素直に頷くとかはしないけど。
「お母さん? 金貨200枚って……?」
「リアネは気にしなくていいのよ? で、二人に改めて言うけど、この子は本当に娘のリアネよ? よろしくね?」
「そうですか……よろしくね? リアネちゃん。私はタマコって言うよ?」
「私はバルバだ、ナナの上司になるって感じだな? よろしく」
二人がリアネにそう挨拶するので、リアネが小さい声で
「よ、よろしく……」
そう言った。
「可愛い~~!!」
「うむ……いいな」
とりあえず……二人にリアネの事を紹介したから、私に何かあった時に任せられるかもしれない。私がそう思っていると
「タマコ、そろそろ仕事の時間だ。 で……ナナ、今日は休みだが、どうする?」
「そうね……リアネはどうしたい?」
「えっと……お腹すいてきたから、何か食べたいかな……」
「そう……じゃあ、何か買ってから、家へ戻りましょうか?」
「うん」
「じゃあ、二人とも、私は行きますね?」
「うむ、そうか。ナナ、明日からまたよろしくな?」
「了解ですナナさん、ではお疲れ様です。 リアネちゃんも~またね?」
「えっと……う、うん」
「それでは、私達は行きますね?」
そう言って私は、リアネと一緒に仕事現場から離れる事にした。
建物の外に出るので、フードを被り直して、食材を買ってから、家へと戻る事にしたのであった。