~第五十四話~元勇者、ワトリさん家族とあう~
はい、今回は本編の続きとなります。
とりあえず……ちょっとづつお気に入り登録増えてますね。
ありがとうございます。
ココネルさんに黒陽の粉の在り処を相談してから数日後。
私達の住んでいる家にやって来る者がいた。やって来たのは、ココネルさんの旦那さんのワトリさんで、まあ……タマコの父親でもある。
「ナナさん、久しぶりだな」
ワトリさんにそう言われたので、ちょっと考えてみる。前にあったのは……確か、タマコの実家であったような気がする。まあ……タマコの実家って、思いっきり豪邸なんだけど……タマコって、やはりお嬢様じゃないだろうか……そんな事を考えていると
「ココネルから聞いたんだが、セレンディア王国に行きたいんだよな?」
「あ、はい、まあ……そう言われればそうなりますね」
「そうか……私の用事も終了したからな? ナナさん達の護衛として、一緒に行ける事になったが……今からセレンディア王国に行く事にするか?」
「今からですか? そうですね……」
そう言われて考える。このバイトール王国からセレンディア王国までの距離ってどのぐらいあるのか?って感じだけど……私がこの国に来たのは、五年以上も前だしなあ……セレンディア王国がどのあたりにあったのか? 全く覚えてないな……まあ……結構遠かった気がする。あの国に行って、このバイトール王国にいつ戻ってこられるのか? ちょっと解らなかった。ワトリさんなら知ってるのかな……と思ったので
「ワトリさん? この国からセレンディア王国まで、どのくらいの距離があったりしますかね?」
「そうだな……馬車とかの乗り物で移動となると……三日はかかるような気がするな。この国からあの国は結構遠いからな? 乗り物等を用意しないと、結構辛い旅になるが……」
「乗り物ですか……私、乗り物とか持ち合わせていないのですけど」
「それは大丈夫だ、馬車は私が用意するからな? ただ……魔物とか野党が現れるかもしれないが、私達家族が護衛するつもりだな」
「そうですか……」
ワトリさん家族が護衛するなら、安心かもしれないな……なら、ワトリさんのお言葉に甘える事にしてみるか。
「解りました、じゃあ、リアネを呼んできますね」
私はそう言って、娘のリアネを呼ぶ事にした。
「お母さん……? 一体何なの?」
「リアネ? 今からセレンディア王国に行こうかな?って思っているのだけど、一緒に行きましょう?」
「セレンディア王国に? 何でなの? お母さん」
「セレンディア王国にちょっと求めてる物がありそうなのよ、だから行こうかな……って思ってね? セレンディア王国って、この国から結構遠いらしいから、リアネが家の中で一人でお留守番とかしたくないでしょう?」
私がそう言うと、リアネがちょっと考える仕草をした後
「う、うん……お母さんがそう言うなら、一緒に行きたいかな?」
「なら、決まりね? リアネ? 出かける準備をしたら行きましょうか?」
「うん」
私はリアネにそう言って、私自身も出かける準備をする事にした。
とりあえず……持って行く物は何にするか……と考えて、食料と武器などを持っていく事にした。ちなみに私の使用する武器と言うのは、サーベルみたいな細長い剣と小型のナイフ、あと弓などであって、昔に使っていた剣は重くて持てそうになかったので、諦める事にした。私の武器の腕前がどのぐらいあるのかちょっと解らないけど、けど……娘を守る為だし、用心する事にしとこう……うん。
リアネも準備が完了したみたいなので、私はワトリさんに
「ワトリさん、準備出来ました」
「そうか、じゃあ……一緒に行く事にするか、馬車を用意しているのでな?」
「はい、じゃあ、行こうか? リアネ?」
「うん」
リアネもそう返事すると、頭の上に乗っているクロも「にゃー」と鳴いたのだった。
とりあえず……外に出るから、私は自分の髪の色を隠す為に、フードを深々と被る。バイトール王国の国の中は、色々な人がいるけど、私みたいな髪の色をしている者が見た感じだと、ほぼいない状態だった。国の中を移動して、馬車がある場所に辿り着く。その場所にいたのは
「ナナさん、お待ちしてましたね」
「こんにちは、ナナさん、リアネちゃん」
杖を装備しているココネルさんと、剣を装備しているタマコの姿があった。
「こんにちはです、ココネルさん、タマコ」
「お母さんから聞いたんですけど、セレンディア王国に行くんですよね? 何か目的があるんですか?」
「まあ……そうね、黒陽の粉と言う品がセレンディア王国にあるって聞いたから、それを手に入れようと思ってね」
「そうですか……解りました、私もセレンディア王国は行った事ないですし、どんな所か? ちょっと楽しみだったりしますね」
「そう……あ、そう言えば、バルバさんに私達が出かける事を報告しないといけないのかな?」
「それは大丈夫だ、バルバには私から言っておいたからな」
「そうですか、ありがとうございます」
「じゃあ、全員揃ったから、早速セレンディア王国に行きましょうか?」
「そうですね」
「ナナさんにリアネちゃん、馬車に乗り込んでくださいな」
「あ、はい、じゃあ……乗ろうか? リアネ」
「うん、お母さん」
私達は馬車に乗り込む事にした。私達が馬車に乗り込んだ後、ワトリさんが
「じゃあ、出発するぞ」
と言って、馬車が走り出す。
こうして……私達は、バイトール王国からセレンディア王国に向かう旅が始まったのであった。