~第三十九話~元勇者、色々と驚く~
はい、一ヶ月ぶりの執筆です。
今回は、本編の続き」となっております。
時間取れたら、また続きを書いていると思います。
私と娘のリアネは、同僚のタマコの家へ招待される事になった。
しかし……タマコの家ね……全く想像が付かない。一体どんな家なのだろうか?って思いながら、三人でバイトールの国の中を移動する事にした。とりあえず……外に出ているので、私はフードを被り、姿を隠す事にした。この国には、またあの勇者君がいるかも知れなかったので、勇者君には見つかりたくは無かったし、この国では、私の髪の色、銀髪が特に目立つので、フードを被って、気づかれないようにしているのだけれど……やはり……髪の色を変えた方がいいのかもしれないなあ……とか思うけど、方法が解らないので、その方法があったら、直ぐに実行してみるのもありなのかも?って思う。
移動中、リアネがニコニコしてるので、私はリアネに
「リアネ、何か楽しそうね?」
そう聞いてみると
「うん、お母さんとお出かけだもん、楽しいに決まってるよ」
リアネがそう言うと、リアネの頭の上に乗っているクロが、にゃーと鳴いて同意した風に見えた。
……良い子に育って、お母さんは嬉しいよ……本当に
やはり、あの勇者君には見つかる訳にはいかないな……と、改めて思ってしまった。
そんな事を思いながら、バイトールの国の中を歩いて、数十分後
「さあ、着きましたよ? ここが私の家になりますね」
タマコがそう言ったので、改めて家を見てみる。えっと……何と言うか……一言で言うと、豪邸なんですが?
え? タマコってもしかして、お嬢様だったのか?って思ってしまうんだけど……
「えっと……タマコ」
「はい、何ですか? ナナさん」
「ほ、本当にここがタマコの家?」
「はい、そうですよ? あ、もしかして小さい家だと思ってましたか?」
「え、ええ……」
「えっとですね……実は私のお母さんが、結構な資産家でして、その関係でこの家に住んでるんです、あ、でも私は、お嬢様では無いかな?って思ってたりしてますよ?」
「そ、そう?」
「はい、お嬢様だったら、あの場所で働いてなんかいませんよね?」
「そうなるのかな……」
そう言われるとそうだけど……けど、何か可笑しい気がするのは気のせいか?
「はい、だから私はお嬢様ではないんです、さ、部屋に案内致しますね?」
タマコにそう言われて、私達はこの豪邸の中に入る事になった。玄関を開けると、メイド服を着た女性が「お嬢様、お帰りなさいませ」と挨拶して来た。いや、この時点でもうお嬢様って言ってるし、やはりタマコはお嬢様なんだと思うんだけど……そう思っていると、タマコが「今日は同僚を食事に誘ったんです、用意してくれますか?」と言うと、メイドさんが「かしこまりました、では準備に入りますので、お待ちくださいませ」と言って、離れて行く。
「食事の準備が出来るまで、私の部屋を案内しますね?」
「え、ええ」
「お、お母さん……何か凄いね……?」
「そうね……」
うん、もう気にする事はやめようかな……
そう決めて、私達はタマコの部屋に案内して貰う事にした。
「ここが私の部屋になりますね」
部屋に案内されて、部屋の中を見てみると、うん、明らかに広い。
ベットもでかい、何かも高級感漂ってるし、良い品に囲まれているって感じがする。
「何か凄い部屋ね……」
「そうですか? 私にとっては普通だと思いますけど?」
そう思ってると、リアネがベットにダイブして「ふかふか~すご~い」ってやっていた。
……何か和むなあ……本当に可愛いな? この子は
「あの……ナナさん?」
「何かしら?」
「私の家の中ですし、そのフードは取ってもいいと思いますよ?」
そう言われて、確かに……ここなら、フードを脱いでもいいのかも知れないと思ったので、私は被っているフードを脱ぐ。
「やっぱりナナさんの髪の色って、綺麗ですね?」
「うん、お母さんの髪の色は、私も綺麗だと思う!」
「ありがとうと言えば良いのかな……この場合」
綺麗と言われてもなあ……自分では実感があまり湧かないんだけどな……そんな事を思っていると、コンコンとノックする音が聞こえて「お嬢様、食事の準備が出来ました」と聞こえて来た。
「どうやら準備が出来たみたいですし、行きましょうか?」
「判ったわ」
タマコにそう言われたので、案内して貰う事にした。
食堂と思われる部屋に辿り着き、その部屋の中に入ると
「お、久しぶりではないか?」
そう声をかけて来たのは、タマコの父親のワトリさんだった。
何と言うか……この部屋にワトリさんがいるという状況が、何か不自然に見えて来るのは気のせいなのか?ま、まあ……気にしない事にしていると
「貴方が、ナナさんかしら?」
そう言ったのは、綺麗な女性だった。でも猫耳が付いているので、この人もタマコと同じ「ヒーリングキャット」と呼ばれている種族なのだろうか? 取りあえず……質問されたので、私は
「あ、はい、そうです」
「そう……主人から聞いてるわ、私がタマコの母のココネルと言うわ、宜しくね?」
「あ、はい……宜しくお願いします」
「お父さん、何か珍しい食材を仕入れたんだよね?」
「ああ、そうだな。そうか……だからナナさん誘ったのか? タマコ」
「うん、そうだよ」
「そうか……じゃあ、ナナさんにリアネ、食事にしようか」
ワトリさんそう言うので、娘のリアネと一緒に、食事にする事にした。
テーブルの上に並べてある食材を見てみると、何か見覚えのあるような食材が並べられていた。
「お父さん? 珍しい食材ってこれ?」
「ああ、そうだぞ? 何でもサシーミとか言うらしい。マグーロとか言う魚の切り身をそのまま食べるんだそうだ。普通は焼いたりして食べるだと思っていたが……この食べ方を教えて貰ってな? ちょっと食べてみようと思ったのだ」
「そうなんだ? 美味しいのかな?」
「さあ? 初めて食べるからな? ちょっと味が想像出来ないんだが……ナナさん、どうかしたのか?」
「いえ……何でもないです」
えっと……突っ込んじゃいけない気がする。マグーロって言う魚って、私が知っている鮪の事だと思うし、この世界に来る前によく食べていたお刺身だよね? これって。まあ……嫌いじゃ無いから、有難く頂く事にしよう。そう思いながら、ワトリさん一家と一緒に食事を取る事になった。
ちなみに、思いっきり鮪の味でした。リアネも好んで食べていたので、これはまあ……当たりかなと思う事にした。食事が終わった後
「えっと、ナナさん? ちょっと質問いいかしら?」
ココネルさんが、そう言って来たので
「質問ですか?」
「ええ……貴方……禁術をかけられてるけど、それはどうして?」
「禁術……? お母さん……そうなの?」
「えっと……」
禁術……それってあれか? 魔王にかけられた性転換の術の事か? ここで真実を話した方がいいのだろうか? いや、この場には娘のリアネがいるから、真実は話さない方がいいのかも知れない。
そう思っていると
「何か事情がありそうみたいね……解ったわ」
ココネルさんがそう言って、私の側に近寄って、耳元で
「2人きりの時にでも事情を話してくれはしないかしら? 何か力になれるような事があれば、協力するわね?」
そう言って私から離れて行き
「それにしてもリアネちゃんだっけ? 貴方の頭の上に載っているのって、珍しいわね?」
「え、そうなんですか?」
リアネの頭の上に載っているのは、クロだが……珍しいのだろうか? 普通の猫じゃないのか? ココネルさんがそう言っても、クロは「にゃー」って鳴くだけだった。
「まあいいわ……2人とも今日はもう遅いし、泊まっていってはどうかしら? あなたもそれでいいわよね?」
「ああ、部屋は余っているしな? 全然問題ないぞ」
2人がそう言っているので、私はリアネに
「えっと……じゃあお言葉に甘えて泊まらせて貰う? リアネ」
「うん」
そう決めた私達は、この豪邸に泊まらせて頂く事になったのであった。




