~第三十八話~勇者、元勇者と再会する~
はい、今回の話は勇者君サイドの話にしてみました。
とりあえず、ちょっと短めですが、今日二本執筆します。
一体いつになったら、彼女を見つける事ができるのだろうか……?
俺がこの国、バイトール王国に滞在して、結構な日数が経過しているのだがな……? 彼女の特徴は銀髪で、名前はナナと言う事は解っている。この国だと銀髪は特に目立つので、直ぐに解りそうな物なのだが……何でこうも見つからないのだろう? このバイトール王国の中にいる筈なのだがな?
中央広場にいた女店主に、彼女の事を聞きだそうとしたのだが……俺が彼女の事をどんなに愛しているかとかを語った所
「なんか、嘘っぽいわねぇ~」とか、言われてしまった。
俺の想いはどうやら伝わらなかったみたいだが……俺が、彼女を思う気持ちは本物だと思っている。この女店主は、あてにならんので、やっぱり自力で探すしかないみたいだったので、探す事にしたのだが……一体何所に行けば良いのだろうか? まだ、探していない所に行けば、もしかしたら……いるのかも知れないと思ったので、俺は、バイトール王国の中を移動する事にした。
しかし……歩いていて思うのだが、色々な人種がいるな? 獣人もいるしな? けど、見た感じ、銀色の髪の色をしている女性を見かけられないな……そんな事を思いながら、歩いていると、教会が見えた。
この教会は「バイトール教会」と呼ばれているみたいで、そういや……まだ中には入ってなかったなと思ったので、俺は、このバイトール教会の中に入る事にした。中に入って、直ぐに解った事があった。
彼女がいる! 銀色の髪の色をしているから、彼女に間違いない!
「見つけた!」
そう言った後、俺は彼女に突撃する。俺を見た彼女は、なんか驚いている風に見えたけど、前と変わってなく、俺が、好きになった彼女に間違いは無かった。
「やっと見つけた……ずっと探していたんだ……」
俺がそう言うと
「あれ……もしかして貴方は……勇者殿ですか?」
彼女は誰だ? ここの者なのか?
「まあ……そう言われているが……」
「そうですか! あの……その勇者様が、このバイトール協会に一体何の用なんです?」
「何の用って……俺はこの国でずっと探している人がいたんだ。で……やっと見つけた……確か……ナナと呼ばれているそうだよな?」
俺がそう言うと、彼女が何か考えてる様子だった。何を考えているのだろうか?
「まあ……そう呼ばれていますが」
やはり間違っていなかった! 俺は彼女の手を掴んで
「ずっと探していたんだ……あの時言った事は覚えているか?」
「あの……あの時言った事って何です? それと……手を離して下さい」
「覚えてないのか……? 俺は貴方に言ったんだ、俺の妻にすると言う事を」
その為に、俺は彼女を探し続けて来たのだからな?」
「お母さん? この人、何でお母さんに妻にするって言っているの?」
な、何だと……!?
「お、お母さんだと……? そこの娘、もしかして……ナナがお母さんだとい、言うのか?」
「そうだよ? だよね? お母さん」
「ええ、そうよ?」
「何だと……ナナに娘? と言う事は……誰かがナナを傷物にしたって事か? 一体誰だ? その野郎……見つけたら、倒す……ナナは俺の物だ……」
一体何所のどいつだ! 俺のナナを傷物にした奴は!娘だと? これはもっと詳しく聞きだすしかないかもな? そう思ったが……
「い、いない……」
いつの間にか、ナナとその娘がいなくなっていた。俺がちょっと考えているうちに一体、何所に行ったんだ……せっかく見つけたのに!
「あの……勇者様」
「何だ、娘」
「お姉様は、勇者様になんか渡しませんから」
「は? お、お姉様だと……? 娘……お前はナナと姉妹だと言うのか?」
「いえ、違いますよ、すいませんね、勇者様、娘がナナさんを勝手にお姉さまって言っているだけです」
そう言って来たのは、神父の格好をした男だった。
「え~っと、この娘は貴方の?」
「はい、実の娘です、ちょっと性格に問題がありましてね……手を焼いているものなのですよ」
「そ、そうか……じゃあ、ナナとは実の姉妹と言う訳でもないのだな?」
「はい、そう言う事になりますね」
「ちょっと、お父様何言ってるの? お姉様は、私のお姉様になる人なの、勇者様になんかぜ~ったいに渡さないのだから!」
何でこの娘は、ナナの事をお姉様とか言っているのだろうか? その考えが、余計に解らない。だが……ナナは、この娘に何かに取られたくはないな。
「何か本当にすいません、勇者様、娘の言う事は気にしないでください」
「あ、ああ……」
とりあえず……これ以上ここにいても意味が無いと思ったので、俺はバイトール教会を出る事にした。
解った事は、ナナには娘がいるという事。けど父親が誰なのかまだ解らないな? この国にいる事は解ったので、娘がいるのだったら、この国から離れないと思う。 なら、まだこの国に滞在して、探していくしかないのかもな? そう決めた俺は、まだこの国に居続ける事を決意したのであった……