~第三十三話~魔王、仲間に加える~
今回は、別サイドの話で、少し短めとなります。
「まずは、情報を集める事だよな? 実際……あれから一体どのぐらいたっているんだ?」
そう言ったのは、復活した魔王であった。魔王は、情報を集める為に、どうするかを考えている。
「まずは……仲間を増やす事にするか」
そう決めた魔王は、呪文らしき言葉を言う。
「魔法練成、召喚」
魔王がそう言うと、地面に魔方陣が浮かび上がり、その魔方陣から、何かが現れた。現れたのは、背中に黒い翼を持つ者だった。
「我輩を呼び出したのは貴様か、我輩に何の用だ」
「我の仲間になれ」
「断る」
「断るの早いぞ」
「我輩を仲間にしたければ力を示せ」
「解った」
「まあ、我輩に勝てはしないだろうがな? は~っはっは!って、うごわあああ!!!」
魔王の攻撃により、翼を持つ者は凄い勢いで吹っ飛ぶ。
「ぐ……馬鹿な……我輩の守りは完璧だったはずなのに……」
「まだやるのか? もう一発食らわすぞ」
「……すいませんでした! 自分調子乗ってました~!! さっきの攻撃で戦意喪失したので、俺は戦う気ないっす!」
「なんかえらく口調が変わったな? なら……我の仲間になるんだな?」
「はいぃぃ!なりますなります!」
こうして、魔王に仲間が加わった。
「ふう……とりあえずお前の名は?」
「俺っすか? 俺は天魔族のユーノって言うっす」
「天魔族って何だ」
「天魔族っすか? まあ俺みたいに、背中に羽がある奴の事を言うっす。こう見えても俺、結構強いって自信あったんすよ? なのに……」
「ユーノか、俺は魔王だ、よろしくな」
「魔王……それ、本気で言ってるっすか?」
「本気だが?」
「……はあ、まあいいっす。では魔王様って呼べば良いんですね」
「ああ、ところで……」
「はい? 何っすか?」
「その話し方は何なんだ? それが普通なのか? あと……さっきは何で我輩とか言ってたんだよ」
「これが俺の普通っすよ。別に問題無いっす、あとさっきのは、あ~言ったほうがいいかな~って思ったからっすね」
「そうか……」
「ところで魔王様? 俺は一体何をすればいいんですかね?」
「そうだな……ユーノ、お前には情報を集めて欲しいのだ」
「情報っすか? 一体何の情報を集めればいいっすかね?」
「それはだな……」
魔王は、ユーノにこれまでの事を話す。
「成る程……一つ良いっすか? 魔王様」
「何だ」
「勇者を女にして食ったって、変態っすね」
「……何か問題あるのか?」
「……まあいいっす。で、俺はその女になった元勇者がどうなったか、探せばいいんですかね?」
「まあ、そうだな。あと俺を殺した奴が何所にいるかも知りたいのだ、復讐する為にな」
「そうっすか、解りましたっす。魔王様の部下になったのだから、情報を集める事にするっす」
「解った、ふむそうだな……これをやろう」
「これは、何っすか?」
「これは魔法通信機だ、これがあれば魔力を通じて、俺と会話が出来る仕組みになっているぞ」
「了解っす」
「それと一つ気になるのだが……」
「何っすか?」
「その姿で情報を集める気か? かなり目立つと思うんだが?」
「……あ~確かにそうっすね、では……ちょっと」
ユーノがそう言うと、何か呪文らしき言葉を言う。すると、ユーノの姿が変化した。
「これでどうっすか? これで人の子に見えると思うっす」
「お前って……女だったのか?」
「いや、ただ変身出来るだけっすね。まあ俺の特技みたいなものっす。男にも女にもなれるって感じっすね。情報を集めるには、この姿の方が集めやすいと思ったから、この姿にしてみたっす」
今のユーノの姿は、黒髪の女性へと変貌していた。
「その姿で、その喋り方はやめろ。変に見えるんだが?」
「解ったっす……では……魔王様、この話し方でよろしいですわね?」
「……それなら、問題無さそうだな。では、ユーノ、頼むぞ」
「解りましたわ、魔王様、では私、行って参りますわ」
そう言って、ユーノは魔王の元から飛びだす。
その姿を見て、魔王は
「飛んで行ったら、意味がないだろうが……」
そう呟いていたのであった。