~第十九話~勇者、引き受ける~
今回は、勇者君の話にしてみました。
最近毎日執筆している気がしますが。まあいいかな・・・と。
たまには、少し休んで、明後日執筆とかもありかもしれないですね。
俺がこのバイトール王国やって来て、数日が経過した。けど……未だに俺の捜し求めている女性が見つからなかった。本当にこの国にいるのだろうか……? そんな疑問にさえ浮かんでくる。
とにかく……銀髪の女性の名前は解っている。この国では、ナナと名乗っているとあの男が言っていたので、まずは……あの男を捜して、情報を聞き出すしかないな……そう思った俺は、この国の住人に聞き込みをする事にした。しかし……有力な情報はほとんど得られず、もうこの国にいないのではないか……とか、そう思いはじめた頃、俺はある場所に辿り着いていた。ここは……ふむ、色々な人種がいるな? 何と言うか……雰囲気が独特な気がする。見かけるのは、身なりが貧相な者ばかりだし、この国にもこういった場所があるのだな……と、そんな事を思っていると、遠くからこちらに走ってくる者がいた。
フードを被っているので、顔は良く見えないが、何かに追われているのだろうか? 必死になってこちらに走ってくる。 走ってくる者を追いかけている男がいた。
男が「待てやこらーー!逃げるんじゃねえ!」と、強い感じで言っているが……ふむ……この逃げている者は、顔は見えないが……女性ではないだろうか? もしかしたら……俺は、こちらに走ってくる者を庇う事にした。
「大丈夫か?」
俺がそう言うと
「あ、あの……助けてくださるのですか?」
と、女性の声が聞こえた。やはり女性だったか、とりあえず俺は
「すまないが、被っているフードを取ってくれないか?」
俺がそう言うと、フ-ドを被っている女性は、フードを脱ぐ。フードから出た顔は、綺麗な顔立ちをした女性で、髪の色が銀髪だった。銀髪!、もしや……! 俺はすかさず彼女に
「あの! 俺と会った事はありませんか?」
そう彼女に聞いてみる。しかし……彼女は
「……いえ、すみませんが……会った事はありません」
「そ、そうか……っむ、良く見たら君はエルフか?」
「あ、はい……」
エルフ……そう言えばあの、奴隷オークションで俺が買い取ったあのエルフの子供も髪の色が銀髪だったな? もしかして、あの子の母親なのだろうか? そんな事を考えていると、追いかけてきた男が
「おい、てめえ……俺様の奴隷に何してるんだ?」
そう怒りながら、言ってくる。
「奴隷? この女性をか?」
「そうだ、俺様が買い取ったんだからな? あの奴隷オークションで俺が落札したのに、この女、俺に攻撃を与えて逃げやがったんだ、さ、お前が誰だか知らないが、その女をとっとと寄越せよ? おら、死にたいのか? お前?」
そう言って男が手持ちの剣を構える。死にたいのかか……こいつの実力はそれほど強くは無いんじゃないか? 剣の持ち方が素人過ぎる。生憎、俺はここで死ぬつもりはないんでな? この男に彼女を引き渡すか? けど……何で彼女は奴隷になったんだ? とりあえず、聞いてみるか。
「ところで、何で奴隷になったんだ? 金が無かったからか?」
「……違います、無理矢理襲われたんです、自ら奴隷になった訳ではありません、私はあの子を探さないといけないんです、お願いです、助けて下さい!」
そう言われた。これは助けるしかないな。どう見てもあの男が悪者っぽいし。
それに俺はこれでも勇者だしな? 困っている人をほっとく事は出来そうも無いしな……それに俺に剣を向けたんだ、俺を殺そうと思っているしな? 俺はこの男に
「断る、気が変わった、彼女を守る事にする」
「ああ、そうかよ! じゃあ死にな!」
そう言って切りかかって来たので、やはり攻撃が雑で、簡単に避ける。俺は自分の剣で踏み込んで、一撃を与える。両手を切り飛ばすと、男が「痛てぇーーー!!」と言って、転げまわった。
俺は、この男に
「回復しないと二度と手がくっつかないぞ、俺は回復術は使えんからな? それとも……ここで死ぬか?」
俺がそう言うと、この男が
「っく、覚えてろよ!」
そう言って、逃げるように立ち去った。おい……両手忘れてるんだが? それ持っていかないと、両手くっつかんぞ? まあいいか、奴の人生だ、どうしようが、俺の知った事ではないしな?
「あ、ありがとうございます……強いんですね?」
「いや、それほどでもない。ところで……あの子と言っていたが、探しているのか? 誰かを」
「あ、はい! 娘です」
娘……この女性はエルフ、もしかしたら……
「娘って、8歳ぐらいの女の子か? エルフの」
「は、はい! 知っているのですか!?」
「ああ、奴隷オークションで出品されていたからな、俺が買い取った、で、エルフの里に届けるように依頼したな」
「ほ、本当に?」
「ああ」
「あ、ありがとうございます! じゃあ私もエルフの里に戻らないと……」
「ちなみに……君の名前は何と言う?」
「私ですか? チナと言います、娘はエリンです」
違ったか……どうやら、銀髪の女性はナナと言っていたし、この女性ではないのだろう。
「あの……貴方は?」
「俺か? まあ……名乗る程でもないから、気にしないでくれ」
「そ、そうですか? あの……ありがとうございました。私はエルフの里に戻ります、もし貴方がエルフの里にやって来るのでしたら、お礼もしたいので、歓迎致しますね? たいした物は用意出来ないかも知れないですけど」
「エルフの里か……まあ、行く機会があるかどうか解らないが、その行為はありがたく受け取っておこうと思う、あと……その格好はこの国では目立つと思うぞ?」
「そうですね……忠告ありがとうございます」
彼女はそう言って、フードを被って、顔を隠す。
「では……ありがとうございました」
そう言って、彼女が俺から離れていった。 一人で大丈夫だろうか? けど、彼女はエルフだし、杖を持っていたから、魔法は使えるのだろう。そんな事を考えていると
「見てましたぞ、流石ですな? 勇者殿?」
そう言ってきた男がいた。誰だ? この男?
「誰だ? お前は?」
「申し送れました、私はこの国の大臣をしている者です、貴方が勇者だと言う事は、私は知っておりましたので、声をかけさせて頂きました。あの……それでですね? 勇者殿に是非頼みたい事があるのですが、よろしいですか?」
「断る」
「そ、そんな……まだ何も言っておりませんぞ」
「じゃあ、何だ?」
「実はですね? この国のお祭り、建国祭があるので、せっかくのお祭り、勇者殿にも是非参加して欲しいのです、もし引き受けてくださるのなら、勇者殿がこの国で滞在している事のお手伝いを致しますが……」
そう言われて考える。ふむ……国が手伝ってくれるのだったら、俺の探している彼女の情報もすぐに集まるかもしれない。そう思ったので、俺は
「解った、引き受けよう」
そう、答えるのであった。
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「え?マジで・・・?」
って、なりましたね。うん。