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銀の姫騎士リテイク!  作者: 奏白いずも
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十六、危険な招待

見なくても問題ないのですが、一番最初に登場人物紹介を作りました。

キャラクターに迷いましたら参考にしてやってくださいませ。

「王都には慣れたかい?」

 巡回中、アイズさんからの質問に私は元気いっぱいで答える。

「はい! これも先輩方の指導のおかげですね」

 評判は急に変えられなくても私の騎士団生活は順調だと言える。

「というか君、馴染み過ぎだろ……」

「そうですか?」

 疑問符を浮かべながら、私は子どもたちに手を振った。

「リユちゃん、御苦労さま! 精が出るわね」

 今度は通りすがりの主婦さんが声をかけてくれる。

「ありがとうございます。今日も頑張りますね!」

 王都到着十日目ともなれば顔見知りも増えていた。

「いったい、どんな魔法を使ったんだ?」

「魔法なんて使えませんよ。ただ笑顔で挨拶して回っただけです。ほら、挨拶って人間関係の基本ですし!」

 集団で話すご婦人たちの中に飛び込んだ時は不審な顔をされたけれど。初めは畏縮していた相手だって笑顔を向けられれば悪い顔はしない。何よりこの銀髪が役に立ち、女神の加護があると喜ばれた。遠巻きにひそひそ囁かれる状況を変えたくて、初日から繰り返していた行動が十日目にして少しは実を結んだ。

 やはり自分に真似できるものではないとアイズさんが言ってくれたので少し誇らしかった。


 そう、今日は『十日目』に当たる。私にとっては頑張りどころ!


 生誕祭が近づき王都はより活気づいていた。人の流れも活発になれば問題も起こりやすい。より警戒に当たれるよう三人それぞれが別行動となっている。

 現在私は単独行動中の身で、迷子を保護している状況だ。

「お母さんとはぐれちゃったかな?」

 視線を合わせるようにしゃがめば不安げな瞳とぶつかる。

「お母さん、遠くに行っちゃだめって。でも言いつけ破った悪い子だから、置いてかれちゃった……」

「そんなことないよ。お母さんも心配してる。大丈夫、一緒に探そうね!」

「お姉ちゃん、ありがとう」

 幼い手を握る。迷った時、不安な時、こうして手を繋いでくれる人の存在は心強い。私がそうだったように、自分が与えてもらったものを少しでも誰かに返せたら。

「おーい、そこのお嬢さーん!」

 初めこそ自分が呼ばれている自覚はなかったのだが。

「ねえってば!」

 ……ものすごくオニキスの声に聞こえる。

「おーい、銀のお嬢さーん!」

 銀と付加されてしまえば明らかに私しかいない。

「リユです!」

 これ以上、銀を連呼されて注目を浴びたくはない。脱力しかけていたところ控えめに裾を引かれていたことに気付く。

「お姉ちゃん、お母さんいたの!」

 手を離れ駆けだす少女の先には母親らしき人物の姿があった。少女が抱きつくと、母親もしかと抱きしめ返す。母親はしっかりと私に向けて頭を下げる。誰かの役に立てたこと、そしてヴィスティア騎士団である私に感謝を込めてくれたことに胸がいっぱいになった。

 光景を遮るようにオニキスが立ちはだかるまでは。

「久しぶりー。おっけ、リユね。憶えた」

 うんうんとオニキスは納得している。

「王立騎士団様が私に何かご用でしょうか?」

 想像はつくけれど形式は大事。


「ああ、喜びなよ。王妃様があんたに会いたいってさ」


 ついに来た。

「王妃様が一介の騎士である私に、ですか?」

 狙い通りという表情を出してはいけない。ただ招待に驚いているという顔をしなければ不審がられる。

「そ、あんたに興味があるらしいよ。噂の銀の姫騎士様にぜひ会いたいんだってさ」

 にこりと、私は無邪気に微笑んだ。

「……光栄です。有り難くお受けいたします」

「だよねー! んじゃ、今すぐ行こっか。馬車らなあっちに待たせてるから」

 腕を掴まれ問答無用で引きずられそうになった。

「あの、さすがに少し時間をもらえると有り難いんですが! 勤務時間中なので、せめて同僚に伝えてからでないと!」

 せめてちょっとくらい待とうよと全身で訴えかける。騎士の誰かに行き先をくらい告げさせてほしい。オニキスにとってはただの王宮訪問かもしれないけれど私にとっては命がけだから!

「ダイジョブじゃない? えっと、誰かヴィスティア騎士団の人に伝えといてねー」

 オニキスが軽く指示を出せば、かしこまりましたと部下らしき男の人が頷いてくれた。

「本当に、本当にちゃんと伝えてくれますか!? 信じていいんですか? 伝えてくれなかったら恨みますからね!」

 私の必死さに重大任務だと思ってくれたのか、部下の人は重く頷いて走ってくれました。


 王宮に召されることは大変な栄誉。連行されるように馬車に押し込められては苦々しいけれど、これが十日目にして自動発生するイベント。主人公は王妃様から王宮に招待されるの。

 ゲームの主人公に選択肢はなかった。公衆の面前で王妃様からの誘いを断れば騎士団の印象は更に悪くなるし、仕事中なので後日と主張しても強引に連れていかれる。でも私には断るという選択肢や、今日街に姿を現さないという手段もあった。そうしなかったのは対面を望んだから、試してみたいことがあったから。


 ところで女神様、もうネタバレしても許されますか? 

 これから向かうのは黒幕の拠地。私が対面のを望んだのは、お母さま。

閲覧ありがとうございます。

連続更新、まだまだいきます!

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