脱獄
駄文ですが、見ていただけると嬉しいです。
一切の光の届かない場所。
そんな牢獄にある理由で閉じ込められた1人の男。長めの白い髪に、碧い目。年は20ほど。
男はもう助けは来ないと思い、いつ死のうかということばかり考えていた。
いつから閉じ込められたのかも覚えていない。意識が朦朧とする中、今男がいる場所の左側からカチャカチャと音が聞こえてきた。そして鍵が開く音と共に扉が開き、誰か入ってきた。
「ロア・レグナードですね…?」
フードを被っているので顔はよく見えないが女性の声だった。いや、どちらかというと少女だろうか。
「……誰だあんた」
「話は後にしましょう。今はとにかくここを出ることを優先します」
「…わかったよ」
事情はよくわからないがここから出られるのならなんだっていい。
閉じ込められていた男、ロアはついにその牢から出た。
「どうやってここに来た。ここは地上からは隔離されているハズだが」
ここ、『囚院』は危険だと判断された者達を閉じ込めておく場所で、大陸からはかなり離れた小さな島に建てられている。
「魔鳥です。そのおかげで周囲を警戒していたガーゴイルにも気づかれませんでした」
「なるほど…」
魔鳥とはその名の通り魔界の鳥で、かなり大きい。ガーゴイルといった下級悪魔なら手を出してはこないだろう。
などと言っている間に出口前の広場まで来た。
「ここを出た所に魔鳥を待たせています。急ぎましょう」
「……いや、その前に一仕事だ」
「え…?」
その瞬間、上空から大きな悪魔が落ちて来た。
「あれは… デーモン⁉︎ どうして…」
「ここの番人だろ。それより、悪いが今の訛り切った状態じゃあいつには勝てない。……手伝ってくれるか?」
「はい…! 当然です!」
「それは良かった。じゃ、やろうか」
ロアはデーモンへ突っ込んで行く。デーモンはロアめがけて持っていた棍棒を振り落とした。
ギリギリのところで回避。そして地面にめり込んだ棍棒の上を走って行く。
「ノロいんだよこのデブ!」
デーモンの顔まで一気に走り抜けたロアは顔に一発、拳を入れた。が、大したダメージにはなっていないらしく、デーモンは動じなかった。
ロアはデーモンの肩から飛び降り、背中を蹴って距離をとる。デーモンがロアの方を向き、少女に背中を見せた瞬間、少女は大きい火の玉をデーモンへ飛ばした。火の玉は直撃し、デーモンは燃え尽き塵と化した。
「ご無事ですか!」
少女がかけより、心配そうな顔でロアを見る。
「大丈夫だ、なんともない。それより、今の魔法…」
「はい。私は『混沌の姫』の1人です。……といっても、末っ子で血も薄いですが」
混沌の姫……かつて魔神フォルネウスと戦った英雄の1人、『混沌の王・カオス』の力を受け継いだ者。
最も、どういうわけか女性にしかその力は受け継がれなかったそうだ。
「…驚いた。姫ってのは自陣から動かないもんかと思ってたが…」
「姉さん達はそうですけど… 私は…」
少女の声が小さくなっていく。
これ以上はよろしくないと思ったはロアは、少し強引だが話題を変えることに。
「そういえば、まだ聞いてなかったな。名前」
すると少女はハッとし、フードをとった。そこには肩まで伸びた赤い髪、ツーサイドアップの少女がいた。
人懐こそうな可愛らしい顔をしていて、とても先ほどの大火球を放ったのと同一人物とは思えなかった。
「遅れてすみません…。私はルーナ・リングスタッド。……といっても先ほども申した通り、私は末っ子なので姉さん達ほどの権力も魔力もないんです」
少女の顔が曇っていく。
しまった、これでは話題を変えた意味がない。
「まぁ… なんだ。それでも俺を助けたのはアンタだってのは変わらない、感謝してる。……ところで」
「はい、なんでしょう」
「まさか善意で俺を助けた訳じゃないだろ? 何があった」
ルーナがわざわざこんな所まできた理由、ロアはそれが気になっていた。
何か目的でもない限りこんな危険な場所まで来る理由がない。
「…それはここを出てから話します。乗ってください」
「…わかった」
2人は魔鳥に飛び乗り、首に巻いてあった持ち手を持つと、魔鳥は飛び立った。
更新は月曜と金曜を予定しています。