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5話:母さん

土曜日の練習試合から1週間、あの試合を思い出すと今でも笑みがこぼれてくる。

6回を2安打、12奪三振だった。 バティングでは3打数1安打1打点と、こちらも好調♪ 新藤は4打数3安打1本塁打でこの試合の監督賞だった。 そんな事を考えていると監督が慌てた感じで走って来た。

「白鳥、母さんが亡くなったって病院から電話が」

 ・・・えっ?  俺は一瞬状況が飲み込めなかった。 母さんが・・・『死んだ』? 嘘・・・ ありえない 嘘だ 嘘だ 嘘だ 

「監督、嘘ですよね」

 俺は恐る恐る聞いた。『嘘だよ』と笑いながら言ってほしかった。 でも答えはNOだった。

俺は泣けなかった。 っていうか信じきれなかった。 走って病院に行った。 だかそこには母さんの姿は無く、病院の先生に聞くと母さんは通夜の会場に運ばれたらしい。

その時母さんは『死んだ』と言う実感がわいてきて、じわーっと涙がでてきた。 家に帰って泣きじゃくれた。 目がカラカラになるまで泣いた。 そして綾に電話をした。 

綾「もしもし?」

俺「俺だ」

綾「翼?何?」

俺「別れよう」

綾「なんで・・・」

 

俺は電話を切った。 今から俺はどうやって生きていけばいいんだろう・・・ リビングに入ると母さんの携帯があった。 それを開くと未送信メールがあった。


『翼へ

翼がこのメールを読んでいる頃には私は死んでいる頃だと思います。 多分翼はこれからどうやって生きるのだろう、なんて考えていると思います。 翼はお婆ちゃんの所に行く様に話をつけています。 台所の棚の中に封筒があります。 その中には昔から少しずつ貯めてきたお金があります。 少ないですが、どうか頑張って下さい。

あと綾ちゃんとはこれからも仲良く付き合って下さいね         

            母より』


「母さん・・・」

 俺はまた泣いた。 泣きじゃくれた。 

母さんは俺にとって唯一の親であり、家族と呼べる存在だった。 

いつでも俺を応援してくれて、たまには本気でぶつかったこともあるけど、次の日の朝には何事もなかったかのように振舞ってくれた母さん。 父さんがいない事をいじめられて悩んでいた時には慰めてくれた母さん、一番つらかったのは母さんのはずなのに・・・

俺はそんな母さんが好きだった。いや、好きだ。そしてこの気持ちは一生変わらない、変えられない。

俺は母さんが、母さんの事が・・・大好きだ!



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