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9話:退学

「我が校は君を退学処分にする事を決定した。 理由は・・・分かってるな」

 夏は過ぎたというのにまだ未練があるらしく、9月に入っても暑い。

髪をきれいに7:3に分けた初老の校長はまるでけだものを見るような“目”で俺を見た。 

その目は3ヶ月前、初めて校長と話した時とは真反対の目をしていた。

人間という生き物は世間体というものを気にする。 学校の校長という立場なら学校の評価を気にするのは当たり前なのだが、あの期待に膨らんだ校長の“目”を知っている俺にとってその「お前は学校の恥だ」という視線は苦痛の他なかった。

早く帰りたいのになかなか話は終わらない。

もうこの学校を退学するのだから後は好きにさせてくれ、と言いたかったが履歴書には《帝都高校中退》と書かなければいけないらしく、下手すれば今後の在り方にまで口出しされそうになった。 いや、下手しなくても口出された。

「君はもう我が校にとって部外者なのだからその部外者が外でなにかやらかして学校の評判を落とさぬよう、くれぐれも気を付けて行動するように。 分かったね?」

 校長は二回目の部外者と評判という言葉を特に強調しながらそう締めくくった。

俺はこの窒息しそうな部屋を出ると、外の空気をめいいっぱい吸いこんだ。 そうすると身体中に酸素が送り込まれたみたいで少し体が軽くなった、ような気がする。

学校を辞めさせられた訳、それは俺がちょっとした事件を起こしたせいだった。 その事件の発端は二週間前、俺は今日も学校をさぼり街中をぶらぶらしていると誰かの肩にぶつかった。

あいにくぶつかった相手がいかにもって感じのヤンキーで謝る隙もなく、絡んできた。

「いてっ どこ見て歩いてんだてめぇ」

 ヤンキーは必要以上にがんを飛ばし、顔をすれすれまで近づけてきた。 俺は病んでいて、どうかしてた。 その後そのヤンキーと喧嘩をやるはめとなった。 一応喧嘩には勝てたものの、近隣住民から通報があり警察に身柄を確保されてしまった。 もちろんそのことは学校側に渡り、この事態になったという訳だった。

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