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俺のステータスが留まることを知らない  作者: 軌黒鍵々


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第15話 契約

「何もわかってないようだがな、レン」


 ゼノはまだ焦げた胸当てをパンパンと叩きながら、ニヤリと笑った。


「ギルド結成のための大金ってのは、自分たちだけで払うもんじゃねぇ。スポンサーをつけるんだよ」


「……スポンサー?」


 聞き慣れない単語に思わず首を傾げる。

 ユナがため息をつきながら腕を組んだ。


「レン、まさか知らないの? ギルドのスポンサー制度」


「そんなの初耳だ」


「ギルドにはね、資金を出してくれる商会や貴族、あるいは領主がつくの。代わりに、そのスポンサーの依頼を優先的に受けたり、名義を貸したりするのよ」


「つまり――金の代わりに、借りを作るってことか」


「そういうこった」


 ゼノが指を鳴らし、口元を歪める。


「でも、スポンサーなら――あてがあるわ」


 ユナが静かに口を開いた。


「……あるのか?」


「ええ。私、昔から武器屋と仲がいいの」


 武器屋か。確かに大金を払えるような額は持っているだろう。


「で、それはどこにあるんだ?」


「王都の北区――『鋼刃の宿』っていう店よ」


 ユナが地図を指でなぞりながら言う。


「小さな路地にある店だけど、扱ってる武器は王都でもトップクラス。特に剣や短剣の魔力加工品は他に負けないわ」


「なるほど……小さい店でも、腕さえ確かならスポンサーになる価値はあるな」


 ゼノが肩をすくめ、アックスを軽く振った。


「しかも、金も出してくれるってわけか。面白そうだな」


 もし、武器の提供もしてくれるならかなりありがたい。


「ええ、ただし条件付きよ」


 ユナは少し眉をひそめ、続けた。


「アルベルトさん――店主は少し変わり者でね。武器屋でもあるし冒険者でもあるの。ちょうど三ヶ月前だったかしら。近くのB級ダンジョンで行方不明になっちゃってね」


「え……行方不明?」


 俺は思わず眉をひそめた。


「そう。アルベルトさん、あのダンジョンで珍しい魔獣に遭遇して、足止めを食らったまま帰ってきていないの」


 ユナが説明を続ける。


「だから、今回のスポンサー契約には条件があるの。店員さんが言うには――もし私たちがアルベルトさんを無事に助け出すことができれば、その時点で契約成立、ということらしいわ」


「なるほど……つまり、スポンサー契約の前に救出任務があるってことか」


 ゼノがアックスを肩に担ぎ直す。


「面白そうだな。金も武器も、その成果次第ってわけか」


「ええ。でも、ダンジョンはB級でも油断できないわ」


「でもこのメンバーなら負けることはないだろ」


 一人でB級ダンジョンに挑むってことはそれなりに腕が立つんだろうな。


「ふん、そうかもしれねぇな。でも、ちなみにどこのダンジョンなんだ?」


「それが問題でね...。黒影の迷宮。B級ダンジョンの中でも最も難易度が高いっていう噂のダンジョンなの」


 名前からして不気味だな...。


「地図には正確な内部構造は描かれていないし、入った者のほとんどが迷子になって帰ってくると言われているわ」


 ユナが地図を指でなぞりながら続けた。


「魔獣も強力だけど、罠や落石、地形の変化も多い。侮ると命が危ない場所よ」


 ゼノがにやりと笑い、アックスを肩に担ぎ直した。


「面白そうじゃねぇか。俺たちが行く意味、十二分にあるな」


「ただし、準備は万全にしておくことよ。装備、食料、回復薬――すべてを整えなきゃ、途中で詰むわ。もし途中で危険だと思ったら、無理せず撤退することも考えないと……アルベルトさんの命も、私たちの命も守らなきゃいけないんだから」


「わかった」

「冒険の始まりだな」


 ――こうして、スポンサー獲得とギルド結成をかけた最難関B級ダンジョン攻略計画が始まった。



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