エピソード 1ー5
自室に戻った私は、ぶかぶかのシャツにホットパンツという姿でソファに寝転んでいた。令嬢としてはあり得ない格好だけど、いまはそんな体裁を取り繕う気にはなれない。
アルステリア領にダンジョンが現れたことはすごく嬉しいけれど、そのダンジョンをもたらした存在が始まりの竜――創造神様という事実に驚きすぎて頭が働かない。
「……いやでも、悪いことじゃ……ないよね」
衝撃の事実ではあるけれど、私にとっては幸運だ。なにしろ――と、右手を上げて、手の甲の刻まれたダンジョンマスターの証である文様を眺める。
これがあれば、ダンジョンを好きに改造することが出来る。
「……つまり、希少な素材とかも入手し放題、ってことだよね? ……ヤバすぎでは?」
とりあえず、たしかめてみたい。
本当にダンジョンがあるのか、そして、本当にダンジョンを自分の思うままにカスタマイズが出来るのか、この目で確認しないと安心できない。
「……まずは、やり方を聞かないと。たしか、ルミナリア様の部屋は隣だったよね」
お風呂から上がった後、ルミナリア様はバルコニーを伝って隣の部屋へ帰っていった。つまり、ルミナリア様の部屋は私の右隣のはず、である。
時空が歪みまくっているこの場所で、どれだけその推測が当てになるか分からないけど……と考えながら、隣の扉のまえへ。
そこには、『配信中につきノック&立ち入り禁止』というプレートが貼られていた。
「……配信中? ルミナリア様が? なんで?」
ルミナリア様から基礎知識を焼き付けられたため、配信の意味は分かる。けど、ルミナリア様がなにを、どこで配信しているのかは分からない。
「まぁでも、禁止と書いてあるなら仕方ないか」
不興を買ってダンジョンを取り上げられたら困る。部屋に戻った私は頬に指を添えて、これからどうしようと考えた。
いつ配信が終わるか分からない以上、待つのは不合理だよね。となると、ダンジョンに行くのは……場所が分からないし、設定は――そうだ。
私はモニターが並ぶ机へ移動し、チェアに座りながらパソコンを立ち上げる。わずか数秒後、真っ黒だった三枚のモニターは、ルミナリア様のイラストを映しだした。
「たしかここに……あった」
ホーム画面の左端。ゴミ箱など、いくつかあるショートカットアイコンの並びに、私の右手の甲に刻まれたのと同じ文様のアイコンがあった。
「管理ソフト――これ、ダンジョンを管理するためのソフトってことだよね」
私はそのアイコンを選ぼうとして――ミスって隣のアイコンをダブルクリックしてしまう。立ち上がったのは、再生のマークがアイコンの動画配信サイト。
慌てた私は、再び操作をミスってライブ配信の一つを選択してしまった。
「――ここで見切り斬りっ! 攻撃チャンスだ。……よしよし、今日の私はさえているぞ。ん? 機嫌がよさそう? まあ、いいことはあったな」
開いた動画の右下、お姉様っぽいキャラがおしゃべりをしている。そしてメインに映っているのは、刀を持ったキャラクターが、モンスターを狩る映像だった。
私はびっくりして、慌ててその動画を閉じる。
「……焦ったぁ。いまのなんだろ? というか、どこかで聞いた声な気がしたけど……まあいいや。気を取り直して、こっちのアイコンにカーソルを合わせて……」
ダンジョンマスターになった影響か、これでダンジョンを管理できると理解していた。私はあらためて、管理用ソフトのアイコンをダブルクリック。
一瞬遅れでメインモニターにソフトが立ち上がる。
【ダンジョン管理ソフト:起動シークエンス】
・紋章認証>>>認証完了
・システムチェック>>>異常なし
・データベースの整合性チェック>>>同期完了
・ダンジョンコアとのリンク状態>>>接続完了
・ダンジョン管理ソフト起動完了
「ダンジョン管理ソフトは正常に起動しました。初めまして、ダンジョンマスター様。まずは名前を登録して、チュートリアルを確認ください」
そんな女性のボイスメッセージと共に、名前の入力欄が表示される。私はキーボードに指を踊らせ、リシェル・アルステリアと記入した。
「確認しました、リシェル様。私は案内人のナビ。よろしくお願いします」
「……案内人?」
なんだろうと呟くと、「管理ソフトのサポートAIです」という返事が返ってきた。
「……もしかして、会話が成り立ってる?」
「はい。リシェル様の質問に柔軟にお応えします」
「頼もしいわね。なら、私が最初になにをすればいいか教えて」
「かしこまりました。まずは、ダンジョンの構造を確認してください」
そのメッセージと共にダンジョンの全体マップが表示される。
入ってすぐのところはなにもないセーフエリア。そしてその奥からは草原エリア、荒野砂漠エリア、雪原エリア、密林エリアなど、様々な環境のエリアに分けられている。
そしてボス部屋があり、その奥には、この屋敷がある草原が広がっていた。どうやら、この屋敷のある場所が、ダンジョンの最深部という扱いのようだ。
この構造は、従来の迷宮型ダンジョンとはまるで違っていた。
「どうしてこんな構造なのか分かる?」
「ダンジョンに指定したエリアの、元々の環境のせいです」
「元々の環境? あぁ……ルミナリア様の箱庭か」
いや、箱庭というにはあまりにも大きすぎるのだけどと苦笑する。
最深部だけではなく、他のエリアにも空があるし、なんなら気候も違っている。そんな多彩な空間は、箱庭どころかダンジョンでも聞いたことがない。
「構造を変更しますか?」
「……そうね。セーフエリアだけ少し調整するわ」
フィールドは広大で、様々な環境が用意されていて、私が弄る必要はなさそうに見える。ただ、セーフエリアになにもないのはいただけない。
私も直接見たことはないのだけれど、他のダンジョンのセーフエリアは、区画ごとに分けられていて、上下水道などが整備されている。
このままだと、ダンジョンの発展の妨げになるだろう。そう思った私は、セーフエリアを石畳の道で区画を整理、街を造りやすいように手を入れた。
「……うん、これでよし」
作業は思ったよりも簡単に終わった。既に建築物で埋め尽くされている街と違い、区画の整理はものすごくやりやすかった。
「構造はこれでよし。次の作業に移るわ」
「かしこまりました。では続けて、資源や魔獣の配置、それらの再ポップまでの時間などの設定をおこなってください」
ナビの言葉と共に、様々な素材と魔獣のリストがサブモニターに表示される。
そこには、誰でも知っているような薬草や草食動物の名前から、聞いたことのないような素材や魔獣の名前が並んでいた。
「これ……無制限で設定できるの?」
「いえ、ダンジョンポイントが必要になります。ポイントはダンジョンのレベルごとに決められているので、その決められたポイント内で各種設定を行ってください」
「あぁ、なるほどね……」
説明を聞きながら、ポイントを確認する。
レベル1のダンジョンでは10000のダンジョンポイントが支給され、その範囲内で魔獣や素材の設定を行い、再設定も可能という仕様らしい。
そんなわけでセーフエリアの区画整理を終えると、2000ポイントほどが減っていた。
ぱっと見た感じ、神話級の素材なら最低でも五桁、エンシェントドラゴンに至っては七桁が必要なようなので、現時点で配置出来る素材は限られているようだ。
まあ、そこまでうまい話はない、ということ。
でも逆を言えば、レベルさえ上げれば、いつかは――ということでもある。
「レベルはどうやったら上がるの?」
「侵入者の活動時間や内容に応じて経験値が増え、一定のポイントがたまるとレベルが上がります。ちなみに、侵入者の能力が高いほど、時間単位の経験値が増える仕様です」
それに併せて詳細が示された表を見る。
どうやら、強い冒険者が戦闘をしているときがダントツで経験値が入る仕様のようだ。ようするに、まったく魔獣が出ないダンジョンでは成長が見込めない、ということ。それを踏まえて、私がどんなダンジョンを求めているかを考える。
私が欲しいのは、アルステリア領が豊かになるようなダンジョン。マリエス族が腕を振るえるような素材も欲しい。それに――と、私はギルドでの出来事を思い出す。
孤児院の子供達が、仕事を探していた。
清掃の仕事を与えたけれど、あれは一時しのぎでしかない。あるいは、子供が働かなくても済むように出来ればいいのだけれど、いまのアルステリア領でそれは不可能だ。だから――と、私は管理メニューから設定を進める。
セーフエリアと隣接する草原エリアに出現するのはウサギのような原生生物に絞って魔獣は出ない、子供でも採取ができる安全なエリアにした。
更に採取できる素材をアルステリア領で不足している資源、染料や香辛料の原料、それに鉄鉱石などに限定、領地で推進している農作物などは競合しないように避ける。
熟練の冒険者には旨味がないけれど、地元民や、子供達でも安全に稼げるエリアを意識する。
「……うぅん、バランスよく配置したいけど、地図で見てるだけだと難しいわね」
「VRモードを利用しますか?」
ナビが提案してくれる。VRがなにかは、ルミナリア様がくれた知識の中にあるので、私はすぐに「お願い」と声に出した。
直後、私の視界に草原が広がった。
「すごい。ルミナリア様の転移みたいだね」
「はい。ですがヴァーチャル映像ですので、実際には移動していません。見えないだけですので、家具にぶつからないようにお気を付けください」
「うん、それは分かるよ。だって……」
と、自分の身体を見下ろす。
パソコンのまえでチェアに座っていた私はいま、草原で空気椅子に座っている。
「ねえ、椅子とかパソコンだけ表示することは出来ない?」
「可能です。――反映しますか?」
「お願い」
次の瞬間、草原にパソコンの机とモニター、それに椅子が表示された。
「おぉぉ、ありがとう! それじゃ、さっそく採取ポイントの調整をするね。えっと、この辺りに採取ポイントを――うひゃっ!?」
少し遠くを選択すると、椅子と机ごと地面の上を滑るように移動した。ただ、実際には景色が流れているだけなので慣性は働かず、身構えた私は逆に椅子から落ちそうになる。
「あ、危なかった。……でも、慣れると楽しいかも」
椅子に座ったまま、まるで草原を実際に旅しているような感覚が味わえる。私は子供が採取する目線で考えながら、様々な採取ポイントを設定していった。
「じゃあ次、荒野と砂漠エリア」
再び周囲の景色が切り替わる。
この辺りにはそこそこ強めの、それでいて素材の需要が高い魔獣を配置。
続けて素材は地形由来の、建築素材や、武器防具を作るのに必要な素材、それに高価なポーションの素材を中心に採取ポイントを設定。冒険者が効率よく狩りをすることで、領内で経済が回るように意識した。
同じように、雪原エリア、密林エリアも効率よく経済が回ることを意識して調整していく。
「……ふう、とりあえずはこんなもの、かな」
欲を言えば、よそから冒険者が飛んでくるような目玉となる素材が欲しかったけれど、いまのダンジョンポイントではそこそこレベルが限界だった。
それでも、ダンジョンのフロア設定にポイントを使わない分、美味しいダンジョンになったと思う。ひとまずはこれでいこうと、私は決定ボタンを押した。
「――ダンジョンボスが設定されていません。決定してもよろしいですか?」
「ボス? そんなの配置したら、冒険者が死ぬかもしれないからなしでいいよね」
私はそう結論づけて『はい』を選択する。
「ダンジョンボスは未設定です。ダンジョンコアが破壊された場合、ダンジョンマスターは死亡、ダンジョンも崩壊することになりますのでご注意ください」
「――はあっ!?」
想定外の警告を受けて混乱する。
慌ててヘルプを確認すると、ナビが言ったのと同じことが書かれていた。
「……それじゃ、話が変わってくるじゃない」
私が造ったダンジョンは冒険者にとっての利益効率が最優先で、続いてダンジョンレベルを上げるための経験値効率。ボス部屋を突破されないようにする考慮は一切ない。このままなら、あっという間にダンジョンを破壊されてしまう。
「……立ち入り禁止の看板を立てる? ……ダメだよね」
ダンジョンが破壊されると不利益を被るので、大半の人間は事情を知ればダンジョンコアを破壊しようとは想わないだろう。
だけど、悪意をもって壊さない者が現れないとは限らない。そして、悪意ある人間が一人でも現れたときの結末を考えると、善意に期待することは出来ない。
「……他のダンジョンも同じ仕様だとしたら、ダンジョンの敵が強いのも当然だね。だってそうしなければ、管理者ごとダンジョンが消えてしまうんだから」
私は死にたくないし、ダンジョンを失う訳にはいかない。
つまり、最優先はダンジョンコアを護ることにしなければならない。
初っぱなから予定が狂った。
どこかでポイントを削って、ボスを配置する必要がある。でも、危険な魔獣が存在しない採取エリアは子供達のためにも消すことは出来ない。かといって、セーフエリアを元に戻すのは本末転倒だし、魔獣がいるだけで、採取ポイントがないダンジョンもあり得ない。
「ナビ、ダンジョンポイントを増やす方法は、レベルを上げる以外にないの?」
「ありません。ですが、マナクリスタルを使えば、魔獣を配置することは出来ます」
「……マナクリスタル?」
なにそれとヘルプを確認する。それによると、すべてに使えるダンジョンポイントに対して、魔獣関連にだけ使えるのがマナクリスタルと言うことだった。
そしてマナクリスタルは、様々な実績を解除することで得ることが出来るらしい。
「実績は……あ、これか」
実績のページを開くと、初めてヘルプを開いたとか、名前を登録したとか、素材の採取ポイントを設定したとか、いくつかの実績が解除されていた。
それらの報酬を受け取ると、500ほどマナクリスタルが増えた。
「……500じゃ、足りないよね」
弱い魔獣なら何体か設定できるけれど、いま必要なのはボスだ。それも、絶対に突破されないボスである必要がある。欲を言えば、半端に冒険者が挑んで被害を出さないように、挑む気にならないくらい圧倒的な強さであるのが望ましい。
そう考えると、最低でも2000ポイントくらい。
出来れば3000ポイントを超える魔獣をボスにしたい。
でも、いますぐに達成できそうな実績はない。どうしようと考えていると、不意にほっぺになにかが触れた。なんだろうと思っていると、今度は背中をついーっと撫でられる。
「え、なになに――あっ、そっか! VRモード解除っ!」
慌てて視界を元に戻すと、真横にルミナリア様が立っていた。
「ル、ルミナリア様、びっくりするじゃないですか」
「一応ノックはしたんだがな。それより、早速ダンジョンの設定をしているようだな。どうだ? 設定は順調に……って、なにかあったのか?」
「え? な、なにがですか?」
「泣きそうな顔をしているぞ?」
「そ、そんなことは……」
ないと言おうとした瞬間、目から涙がこぼれた。
「リシェル?」
「ご、ごめんなさい」
「いや、謝る必要はないが……なにがあった?」
「そ、それは……」
弱音を吐きそうになって、とっさに口を閉じる。
せっかくルミナリア様が私のためにダンジョンを用意してくれたのに、不満を言うなんてしたら嫌われるかもしれないと思ったから。
そうして顔を逸らすと、ルミナリア様が私の顔を両手で掴んだ。
「リシェル、なにかあるなら言え。私はおまえへの詫びとしてダンジョンを用意した。決して、おまえを悲しませたり、困らせたりするためじゃない」
「ルミナリア様……」
優しくてまた泣きそうになる。
私はコクリと頷いて、実は――と口を開いた。
「ダンジョンコアを破壊されたら、私が死んだり、ダンジョンが消滅するという仕様を知らなくて、それで、その、ボスをどうしようかな……と」
「あぁ、普通は小さなダンジョンから始めるからな。これだけの規模となるとポイントが足りないか。なら、ポイントに余裕が出来るまで、ボスは設定しなくてもかまわないぞ」
「え? でも、ダンジョンコアが破壊されたら……」
「うむ。世界が崩壊するな」
あっけらかんと言う、彼女の言葉をすぐには理解できなかった。
「………………世界、ですか? ダンジョンではなく?」
「むろんダンジョンやおまえも消滅するが、そもそも世界が崩壊する。なにしろ、この世界を作ったのは私だからな。私がいなくなれば、世界が崩壊するのは必然だ」
私はかくんと首を傾け、ルミナリア様の言葉の意味を考えた。たっぷり数十秒は考え、ようやくある可能性に思い至る。
涙はいつの間にか引っ込んでいた。
「あのぉ……ダンジョンコアって……なんですか?」
「普通は魔力の結晶、水晶球のようなものだが、このダンジョンのコアは私だ」
「……なるほど」
それは世界が崩壊しても仕方ない。創造主が死んだら、そりゃ世界くらい滅びるだろう。
「――いや、大事じゃないですか!」
「まあ、私が死んだらな?」
「……まさか、死なないんですか?」
「死ぬぞ? この世界を一瞬で吹き飛ばすくらいの攻撃を何発も食らったら」
「つまり死なないってことですね」
ルミナリア様が死んだら世界が崩壊するけど、ルミナリア様を殺すには、世界を何度も破壊する力が必要とか、もはや不死身と言っているのも同然だ。
私は一体、なにを思い悩んでいたんだろうと馬鹿らしくなった。
「……とりあえず、最初はボスなしでいきますね?」
「それでかまわない。ただ、いつまでもボスが未設定だと、ここまで来る冒険者が現れるかもしれないし、そうなったらなにかと面倒だ。ポイントに余裕が出来たらボスを設定しろよ?」
「はぁい」
私が気の抜けた声で返事をすると、ルミナリア様は「元気が出たようだな。なら、私は部屋に戻る。配信中だからな」と言って部屋を出て行った。
忙しいのに様子を見に来てくれたのかなと感謝して、私はモニターに視線を向ける。
「……それじゃ、このまま決定で」
と、カーソルを動かした私は、新たな実績が解除されているのに気が付いた。
『始まりの竜に気に入られた』
「……うわ、本当にルミナリア様が始まりの竜だったんだ。……って言うか、獲得マナクリスタルが、一、十、百、千、万、十万、ひゃくまん……」
私は目をゴシゴシ擦ってからもう一度桁を数え直し……無言でボス部屋にエンシェントドラゴンを配置した。
大陸中の冒険者が束になっても勝てないような強敵だ。そのうえで、自分からは攻撃を仕掛けないように設定する。
……うん。
これでボス部屋を突破する人どころか、無謀に挑んで亡くなる人もいないだろう。
本当に、なにを思い悩んでいたんだろう。
苦笑しつつ、他の魔獣の設定に使ったポイントも、ダンジョンポイントからマナクリスタルに切り替える。これで少しダンジョンポイントに余裕が出た。
私はそれを使い、採取ポイントを少し充実させる。
「……出来た、出来たよ! 冒険者と領地のためのダンジョン。これなら、冒険者だってたくさん来てくれるよね」
ダンジョンの存在を公表して、冒険者を誘致する。
そうすれば、商人が、多くの人々が行き交う、豊かなアルステリア領が出来るはずだ。
お父様とお母様、そしてお兄様私の悲願が叶う。そんな幸せな未来を思い浮かべ、私は期待に胸を躍らせた。
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